中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

赤星の男気

2008-02-21 18:44:27 | Weblog
 この日の安芸市営球場は、約6000人のファンで賑わった。昼間は半袖一枚でもいいくらいのポカポカ陽気。午後0時半から行われた紅白戦では、新外国人投手・アッチソンが先発、新井や今岡といった主力どころも出場とあり、ファンはおろか、我々報道陣も注目して試合をみた。記者席ではなく、スタンドでスコアをつけていたら、顔が痛い。土佐の日差しの強さといったら、やはり南国である。

 じっくりと新助っ人・アッチソンを見たのは、これが初めて。大柄な割には、投球フォームが小さいのが特長なのだろう。豪快さは全くない。その代わり、助っ人にありがちな制球難はなさそうだ。2回を投げて無安打無失点。四球を1つ与えたが、ボールになったのは変化球ばかりで、速球はほとんどコントロールされていた。実戦初登板で、すべてを見せたとは思わない。まだまだ隠しているものがあると推測する。ただ、この2回を見た感想を言えば「ストレートの球威がもう少しほしい」ということ。初めて対戦する打者は、小さなフォームに戸惑うかもしれないが、慣れてくれば、今の球威ならばガツンといかれる。

 彼に対して、今季で2年目のボーグルソンは、2回を1失点ながら、球威はあった。初回坂、鳥谷を連続見逃し三振に仕留めた真っ直ぐなんかは、去年のいいころのものと感じた。この投手は意外にやるのではないか。ひょっとしてエース格になったりして…。

 この紅白戦の詳しい情報は、デイリースポーツ紙上の虎番原稿をじっくりと見てもらうとして、本題に入る。タイトルにした「赤星の男気」だ。紅白戦を見終え、ホテル(選手と同宿)に帰ると、選手会長・赤星が少し遅れて戻ってきた。すると、入り口の前に立ち止まり、待っていた大勢のファンにサインを始めたのである。「さすが選手会長や!」と感心して見ていたら、その一団が「選手のサイン、写真撮影はお断り」というロビーになだれ込んできた。赤星がホテル関係者に了解を得て、即席サイン会が本価格的に始まったのだ。ファンを縦に並べ、順番にサインと写真撮影に応じていく。先頭まで行って、声をかけた。「会長、大変やね」。すると、こっちを向いて「いやいや。1回くらいはやらないとダメですから」と微笑んだ。その間も手は動かしていた。

 赤星は「沖縄では4回もやったんですよ」と言った。だが、それは球団を通しての、球場でのサイン会だろう。ホテルでやるのとは違う。まして、サイン禁止エリアなのだ。「禁止だからね。ごめんだけど、また今度ね」とか何とか言って断っていいのだが、それを承知で自らがホテルに頼んでやってあげた。「さすが赤星さんよね」と言うファンの声が飛び込んできた。あの瞬間、ロビーで待っていたファンはラッキーだった。でも、原則禁止なのだからね。みなさん、ご協力してあげてくださいな。

 でも、ファンを大事にすることはいいこと。できる範囲で、サインや写真撮影に応じてやってほしい。これは我々新聞業界の人間だって同じ。読者がいてこそ商売になる。もっと読者目線に立った記事をかかないといかんです。