中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

宜野座の「元旦」

2008-02-01 22:31:18 | Weblog
 あけましておめでとうございます。本年も熱い感動と興奮を、我々に下さいませ。どうか、よろしくお願いします。2008年2月1日、プロ野球の元旦。

 いつもより早く目覚めた。ベットから飛び起き、宿舎の部屋のカーテンをバァと開けて確かめると、降っていない。前夜の雨は、この日だけは我慢してやろう、という感じで上がっていた。那覇の空は分厚い雲に覆われてはいたが、めでたい元旦に雨が降るのとそうでないのでは、気分が全く違ってくる。とにかく、よかった。キャンプ取材もはかどる、てなもんだ。

 身なりを整え、向かった先は阪神のキャンプ地・宜野座。もう少し先に行くと、中田フィーバーに沸いた日本ハムの名護がある。しかし、初日は宜野座だ。デイリースポーツの記者が、初日に阪神を見ないでどうする。本紙評論家・江夏豊氏とともに“虎の穴”に着いたのは、午前11時前。タクシーから降りると、ガラのよくなさそうな、サングラスをかけたソリ込みのあんちゃんがいた。その隣りに、金本や新井を追いかけている虎番・吉田がいる。ということは…。ソリ込みのあんちゃんは、ヤツか?そう、ヤンキー記者・松下だった。

 相変わらずの風情で取材するヤンキーを横目に、ブルペンに視線を注ぐ。続々と投手陣がやってくる。金村、福原、安藤、そして下柳。第1陣のベテラン連中が、小気味いい音を響かせた。安藤などは、昨オフから継続して投げ込んでいるだけに、初日にしては感じがよさそう。福原もだ。ただ、彼ら2人は去年、第2クールでケガをしただけに、全幅の信頼は置けない。宜野座のキャンプをすんなり通過し、さらに高知・安芸も乗り切ったとき、はじめて「順調だ」とか「やってくれるだろう」とかいう評価が与えられる。決して初日の様子だけで判断してはいけない。厳しいようだが、そうなのだ。

 この日のブルペンを見ていて不思議に思ったのは、昨年の「投げ込み王」久保田の姿がなかったこと。自主トレですでに投げていたことを思えば、初日からバンバン行くものだと想像していた。しかし、藤川や助っ人らと共に、走り込みなどの基礎練習に終始した。それはそれでいい。ただ、久保田が鬼気迫る表情で投げていた去年と比べると、今年の初日のブルペンは、若干物足りなさを感じた。

 そんな宜野座から宿舎に戻り、部屋のテレビをつけると、各地の模様が映し出されていた。どこのブルペンも活気がある。現場に行き、間近で投手たちの熱い息吹を感じると、プロ野球ってええなあ、と思う。「球春」とはよく言ったものだ。ブルペンでのミットを弾く音。球場全体に響くバットの音。やっぱりええわ。プロ野球元旦の日に、外で取材できる幸せ。記者冥利に尽きる。あすは沖縄・広島キャンプを見に行きます。