中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

大人気のソフトBキャンプ

2008-02-15 16:15:07 | Weblog
 平日というのに、王ソフトバンクがキャンプを張る「生目(いきめ)の杜」は大勢のファンで賑わっていた。前日に訪れた「サンマリン」の巨人より確実に多い。巨人のキャンプ地に負けず劣らず、施設自体はかなり広いのだが、ファンが見やすいように工夫してある。選手が通る道には「これ以上入ったらダメよ」のロープが張られていて、事故が起こらないようにしている。だから、選手たちは歩いて移動(ほとんどが走っていた!)できる。ファンは選手の表情を間近で見ることができ、時にはハイタッチなんかもしてもらえる。巨人にはない親近感が味わえるところが、人気の秘密だろうか。

 これが明日の土曜日、明後日の日曜日ともなれば、万単位の観客でごった返すのだろう。九州に根ざしたチーム。もっともっと人気が出ればいい。そしてもっともっと人が集まればいい。取材する側は大変だろうが、いいじゃないか。人垣を掻き分けて取材したらいいのよ。なあ、折原くん!(うちの若い担当です)。

 ただ残念なことに、明日(16日)の紅白戦を見越し、この日の練習は地味だった。真っ先に見たいと思っていた黄金ルーキー・大場君は、ブルペンに入らずじまい。エース・杉内や助っ人たちも投球練習をしなかった。ブルペンに来たのは、新垣と大隣、水田のたった3人だけ。これには本紙評論家・江夏豊氏も「3人だけじゃどうしようもない。一番悪い日に来たな」とガックリだった。そんな中で見た2年目・大隣を、折原は「今年はいいと思いますよ。大場が入ってきて一番燃えているのが彼です」と解説。実際、去年は大注目の投手で、パの新人王最右翼と騒がれていたことを思い出す。何でも腰を痛めたこともあって、去年は春と秋の両キャンプを完走できなかったらしいが、今春はここまで順調に来ているという。斉藤や和田が手術明けで出遅れ確実という中にあって、この大隣の存在は、王ホークスのカギを握るかもしれない。

 メイングラウンドに眼を移すと、入念なシートノックや投内連係が行われていた。主砲・松中やリードオフマン・川崎の動きがいいように見えた。新外国人選手・レストビッチ。やたらでかい。当たれば飛ぶだろうが、あまり当たらんだろうな。6月頃に復帰予定の小久保の穴は、この助っ人が埋めることになるのだろうが、どんなものやら…。

 選手はいい。このおっさん記者の目を一番惹いたのは、王監督だ。風が強く、寒いにもかかわらず、外で立ったまま練習を凝視していた。顔艶も悪くない。あれだけの大病をし、激務の仕事に戻ってきて2年目になるが、闘志今だ衰えず、って感じだ。「今年を集大成にしたい」という偉大なる指揮官の情熱がほとばしっているように見えた。世間を騒がせているパウエル問題の是非はともかく、王監督の姿に感動すら覚えた。

 しかし、本音を言うと、大場くんの投げている姿を見たかったな。沖縄のヤクルト・由規、そして巨人のラミちゃん。見たい選手を見損ねた己の不運を嘆いているうちに、腹がグゥーッと鳴ってきた。