中村正直の「頑張れプロ野球」

ベテラン野球記者の本音ブログです。

「サク越え○発」の価値

2008-02-07 18:10:48 | Weblog
 毎日この「沖縄キャンプリポート」を楽しみにしてくれている方たちに、あらかじめお断りしておきます。1日から各地を回り続け、ここらで一休み、ということで現地休暇(のようなもの)をとらせていただきました。よって、どのキャンプ地も行っておりません。行ったかのように書くのはできますが、そんな「偽装」はしたくないので、はっきりと真実のみをお知らせします。で、何をしてたのって?それは「個人情報」ですので、内密に内密に…。すんまへんなあ。

 会社のプロ野球デスクに各地の様子を聞くと、名護の日本ハムがキャンプ初の紅白戦を行い、あの怪物・中田がデビューしたとか。結果は、3打数無安打の2三振だったようだが、別にいいんじゃないの。というか、ホロ苦デビューの方が今後のためになる。いきなりガンガン打てるほど、プロの世界は甘くない。たとえ、2軍の投手が相手だとしても、中田よりプロのメシを食っている連中だ。打ったらやはり凄い、ってなるけど、打てなくても「怪物じゃないのか?」と落胆することもない。これからまだまだ試練が訪れる。そのスタートにすぎない。

 それは横に置き、ここではこの時期に必ずスポーツ紙に載る「サク越え○発‼」という文字について、少し講釈を垂れようと思う。特打などでスタンドインした数をそう表現し、打者のすごさ、好調さを示すのだが、はっきり言うと、この数字は大した意味はない。100発100中なら「すごいやん」となるが、それ以外なら当たり前の範ちゅう。打撃投手が打たそうと思って投げる「ちょうどいい加減の」球ならば、6割から7割をスタンドに入れても不思議じゃない。もちろん、誰しもが、というわけではない。中距離打者以上の主力ならば、である。

 本当の実力を持つ打者が、その気になってスタンドインを目標にして打てば、だいたいがサク越えする。その昔、巨人のV9時代を知るOBにこんな話を聞いたことがあった。「長嶋さんや王さんがフリー打撃を始めると、面白いように球が飛んで行った。グラウンドで守っているのは、レフトとライトに1人ずつ。あとはフェンスの外だった」。これをよく考えると、サク越えをできる球しかスイングせず、そのほとんどをサク越えさせていたことになる。

 日本ハムの中田が何本打ったとか、飛距離がどれほどだとか、それはそれでいいのだ。打者の1つのバロメーターなのだから。ただ、それのみで打者の評価をしてもいけないし、好不調を勝手に推測してもいけない。参考程度にみておけばいいのである。てなことで「休日リポート」はおしまい。あしたはロッテがキャンプを張る石垣島に行ってきます。雨、降るなよな!