大工風の道

仮設住宅ってわけでもないけれど、
ま、しばらくここで様子みようっと。

富士山麓「おお、むなしく…」

2006年12月10日 | 屁理屈と愚痴
「それは『大工』ではなくて『作業員』なんですよ」と教えてくれたのが、今、手伝いにいっている鈴鹿の現場のO出氏。
実は彼も「うけうり」で、「現場で、自分の意見を言わずに、施工図どおりに、ひたすら材を切り取り付けていく人のことを『大工』と呼んではいけないのだ」という話を、とあるところで聞いたのだという。

「大工」は、本来「木の建築」の専門職(?)で、他の建設工事の「作業員」さんとは違う。
誤解なきよう、付け足しておくが「どちらが人間的に、技術的に優れているか?」という話ではなく、あくまで「職」としての捉え方の違いの話。
もちろん「作業員」として、段取りよく「さすがプロだなあ」と惚れ惚れするような人も居る。
そう、それぞれの道に、そのプロがいて、それぞれの道を極めていくのが本来なのだと思う。


前置きが長くなったが、ここから、先週(4日~8日)過ごした、静岡県裾野市での棟上の話。

「『プレカット(工場で機械加工された軸組みのキット)』なんだよね~、東京からこっちへ引っ越してくる『自称大工』ってひとが、手伝ってほしい、って話でさ~、基礎屋さんの紹介でさ~…」と、Ki山氏には聞いていたので、ある程度覚悟はしていた。
夜中、K内氏とM田氏と、湾岸道から東名に抜け、未明3時ころから「愛鷹(あしたか)PA」で仮眠。
「沼津インター」近くの「デニーズ」で待ち合わせと朝食。
現場まで、別便のKu山氏を含め、向かう。
富士山のふもと。標高550m。

待っていたのは、基礎屋の親方と職人、「自称大工」の親方(施主)、クレーン氏、そして無造作に積み上げられた「軸組みキット(プレカット)」の部材。

「あなだのええようにやっでください」と親方。
(え?、いきなりそういわれても…)戸惑いながらも「プレカット図面」を見ながら、段取りを考える。

親方「もず(まず)、ここをこうやっで、ここからたででえこうと(建てていこうと)おもっちるんでぃすが(思っているんですが)…」
(なんだ、考えてあるんじゃないか)

てな具合でどこから手をつけようかと言うくらい、富士山のごとく積み上げられた部材を、「親方がおもっちる」ようには組み方の都合で進まずも、お昼には、先が見えるくらいにまで減らした。
どうにか1階部分が組みあがったのだ。


(写真=4日目までは、富士を眺めながらの作業、柱も梁も皆「米松」)






しかし、こう言ったら失礼だが、とにかくクレーン氏が下手でヒドかった。
驚いたのが、たまかけの「ベルト」(ロープ)の長さが違うのを一組だけ持ってきて、「(傾くので危ないから)まともなのは無いのか?」と聞くと、「それしかないよ」とぶっきらぼう。
で、どのくらい下手かというと、取り付ける場所にきちんと持っていけない。
ようやくその場所に来て、いざ納めようとすると、ものすごい速さで「すこーん!」と落すので危なくてやってられない。
「ゆ~っくりね~!!」と叫んでやり直すが、やはり「すこーん!」。
「クレーンさん!!!ゆ~~っくり!!!、ゆっくりおろして!!!!!」と大声で何回も叫びやり直す。
「はいゆっくり、ゆっくり…」。
(お、やればできるじゃん…、その調子、よし、そっち入った。こっちOK、下の柱…)「すこーん!」
「あ"~」皆のため息。
何回も何回もそれでやり直し、時間ロス。
こちらは高いところでの作業、危険なことこの上無い。






(写真=3日目夜は、Ki山氏の義弟さんのお店「A-GU(あぐう)」で飲む。
チャップリンのDVDに見入るKi山氏、
そうあなた、そのものですね…)





仮設トイレがあるのにとなりの畑で立ちションするし、挙句の果てに「指示系統がきちんとしてないので、やりづらい」などと、基礎屋の若い氏にこぼして帰ったとか…。
今まで数々、棟上でクレーン屋さんとは出会うが、こんなに大変だったのは初めてだった。
こちらは命がかかってるんだから、普通以上の人を送り出してほしいよ、クレーン会社さん。
静岡のクレーン屋さんってこんなもんかと思うじゃんねえ。

で、詳しくはともかく、ここでぶちきれた私は、「大工」をやめて「建設作業員」として一生懸命5日間の任務をまっとうしたのであった。







(写真=米栂は、シロアリの大好物。下地材(とくに屋根下地)に使うのはどんなもんだろうか??)






しかし、どうしてもあの納まりと、あの材料じゃ、もって10年かな?せっかくの家が残念でならない。などと、どこかに「大工」の血がのこる私なのです。(残念)


皆さんお疲れさま。
「大工」(?)の施主さん、お昼ごはんご馳走様、お世話になりました。
基礎屋の親方、酒、ご馳走様でした。
Ki山氏はじめ、親戚の皆さん、宿泊などでお世話になりました。
ありがとうございました。




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