『今の私をカバンにつめて』

新しい事に挑戦しようとするある女性シンガーとその周りの人たちを描いたミュージカル。

歌手のヘザーは誕生日を期に、新しいタイプのショーをマネージャーのジョーに提案し、目の前で試演するものの、ことごとく反対される。それらの選曲は、今までのショーとはかけ離れたもので、大手プロダクションのスタッフが来る翌日の公演では何時も通りの選曲で売り込みたいジョー。しかし、もう自分に嘘をつけないヘザーは一通りの流れをジョーに見せる。二人の意見は何時までたっても平行線。そんな試演中、実はジョーの結婚生活に破綻をきたしていることが分かる。『自分と付き合ってみないか』と提案するヘザーだが、自立する女・ヘザーより自分に頼る妻を選び、帰るジョー。その後、リハーサルの続きを行い、前向きに生きていく歌を歌い、幕。

戸田。不幸の香りがする場末の元人気シンガーが似合う。歌自体はピンマイクとハンドマイクを使い分けるが、ハンドマイク利用の方がやはりそれっぽい。最終的に自分のやりたい事をするようだが、その後は不明。

石黒。既に嗄れ声。ひたすら戸田に観客の求めるモノ、すなわち自分の好みを押し付ける。そのため、かなり自己チューな男性像。ただ、そういう役は恐ろしく似合うのは何故。


゛女性の自立゛という観点から、前回、観た『ハーパーリーガン』と被る。ただ、こちらは最終的に前向きに生きていくが。こちらも翻訳モノではあるが、翻訳が現代チック。それゆえに、台詞と時代背景（女性の自立）に若干のギャップを感じる。
また、翻訳された歌詞が東宝ミュージカルの訳詞と異なり、歌詞で内容を伝える感が非常に強く、『オケピ！』を観た（聞いた）後の感覚と似ている。