備忘録

舞台の感想を書いています。(ネタばれ有り)Twitterはdacho115。

『オレアナ』

2015-11-08 16:40:58 | 国内ストプレ
ネタバレなアラスジ。


家を購入するため、細事に追われる教授のジョン。

そこに、ジョンの講義内容が分からないと
訴える女子大生キャロルが現れる。
実の処、レポートが落第点で、
単位を落とすことを避けたいと希望。

最初は頭ごなしに、キャロルの要望を認めないジョン。
しかし、話していくうちに、キャロルに興味を持ち、
個人授業をすることで、評価をAに変えると認める。

そして、個人授業が始まるが、やはり、
ジョンの話すことが理解出来ないと言うキャロル。

そこで、キャロルの言い分を聞こうとした時、
ジョンへ、一本の電話が。

その電話は、家を購入することが出来ない、という連絡。
そこで、何か悟るキャロル、で、幕。

二幕

ジョンの元にキャロルが呼び出される。

人事委員会から教え子へのセクハラ疑惑が
掛かっていると言われ、ジョンに謝るべきでは?
と、キャロルに迫るジョン。

なお、人事委員会への訴訟内容は、
一幕でのジョンのキャロルへの言葉ではあるが、
決して、セクハラ目的ではなく、曲解されていた。

しかし、キャロルは、それを
セクハラとし、委員会に訴えていた。

話は平行線を辿り、帰ろうとした
キャロルを強く、引き留めるジョン。
叫びながら、部屋を出ていくキャロルで、暗転。


酒を飲みながら、たばこをふかすジョン。

そこに現れるキャロルだが、
呼び出されたことに意外な顔をする。

状況は更に悪化しており、ジョンの懲戒免職は免れない。

ここで、キャロル達、女子大生の要望が。
それは、ジョンの著作を禁書にすること。

ジョンの思想そのものを否定し、
ジョンを追い込むが、話すうちにジョンが
帰宅していない事が分かる。そこに一本の電話が。

自宅にセクハラを越えた、
キャロルへのレイプ疑惑の訴訟が、届いているという電話。

全てを台無しにされたジョンは、
実際に、キャロルに暴力をふるう。
そして、椅子で殴りつけようとした瞬間、思い留まる。

自分がしようとしていたことに、ハッとなり、幕。


志田@キャロル。

一幕はジョンの言うことが分からない学生。
ただ、それは幼い、ひいては、知識が足りない印象。

二幕になると、服装も落ち着き、
キャロルの仲間の存在が明らかに。
言葉使いも一幕と豹変した、大人びた言葉遣いに。

暗転後の衣装替え。
ジョンへの要求が明らかに。
”分からない”でなく、ジョンの思想が理解できない。
そして、ジョンの著作を禁書にするという目的が明らかに。


一幕がキャンキャン吠える子犬のような、
ガキっぽい演技で、この路線だとツラいなと、
思ったら、それは演出だと、気づく二幕。

ただ、それでジョンを翻弄する魔性の女に
なるかと思えば、そうでは無い。



田中@ジョン
全編通し、学問に対する姿勢や、
学生に対する姿勢は変わらない。

若干のエリート意識があり、キャロルの
書いたレポートも、それは落第点である、と判断。

しかし、途中からセクハラ疑惑で追い込まれる。
それでも、まだ、正常。それが、レイプ疑惑になり、
事実が脚色されている事が分かった時、
ハメられたと、本当に暴力を振るってしまう。


『レッド』の天才画家よりは、
こういう教授、それもエリート意識がある教授がハマる。
展開的に懇願になるかと思いきや、そこは崩れず、
レイプ疑惑で一気に教授としての理性が崩壊。
この、冷静な役から激怒する役へのハバがスゴい。


上手から下手への傾斜のある舞台。
志田さんの低身長をカバーするセットかと思いきや、
雄弁になる人は下手。そして、追い込まれる人は上手。
この下から、ガツガツ言いくるめる構図が新鮮。


単位を欲しい女子大生が、セクハラ論議を持ちかけて、
単位を欲しがる話かと思ったら、ジョンの主義主張を
否定し、大学から追い出したい女子大生達という構図。

なので、最初の落第点だったレポートは
やはり、仕組まれたレポートなのかも。
結果、実際に暴力を振るわれたことにより、
懲戒処分だけでなく、刑事事件になるのか?

ただ、実際に暴力を振るわれたことで、
キャロルに心理的後遺症とか残りそう。


ちょっと、時代設定が古いのか、
ジョンが望んでいた永住権とか、
その審査等の背景が理解出来ていない。

そもそも、この終着点で、
著者が何を言いたかったのか
分からない、という根本的な問題も。


長塚@ジョンと永作@キャロルで有名な今作。
観てはいないけど、結構、記憶に残っていたので、
そう見えるかと思ったが、意外と田中@ジョンがハマり役。

若干、永作@キャロルの小悪魔的豹変が、
頭に浮かんだけど。志田さんだと、
その豹変振りがちょっと弱い。

それでも、長塚@ジョンだと、
どう言いくるめようとして、失敗し、
どう狂気に走ってしまうのか、大変に観たい。
(特に、そこからの我に返った瞬間)

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