漫画原稿紛失、著者が小学館を提訴 Yahooニュース~JNN(TBS系)(06日15:56) 「少年サンデー」に連載していた漫画の原稿を紛失したとして、著者が発行元の小学館を相手取り、330万円の損害賠償を求めて提訴しました。 「何よりマンガに対する情念がこもっている、とても大切な原稿です」(「金色のガッシュ!!」著者 雷句 誠 さん) 訴えをおこしたのは、「少年サンデー」に去年12月まで連載されていた漫画「金色のガッシュ!!」の著者・雷句誠さん(33)です。 雷句さんは「金色のガッシュ!!」の連載終了に伴い、小学館側から原稿の返却を受けましたが、カラー原稿数枚がなくなっていたことが分かりました。このため「美術的価値のある原稿を失った」として、小学館に対し、330万円の損害賠償を求めています。 小学館は、「訴状が届き次第、きちんと対応させていただきます」としています。 |
あーあー,小学館やっちまったか…。
先日ヤンサン休刊の件について書いたときちょろっと
> 小学館と決別?「金色のガッシュ!!」作者にオファー殺到>(Yahoo~ 産経新聞)
>
> う~ん…。雷句先生,いったい何があったんでしょう?
と書きましたけど,こういうことだったんですか。
カラー原稿数枚で330万円という額はちょっと上乗せが大きいようにも思えますが,漫画原稿は全部揃っていてなんぼのもんですし,あれだけ力のこもった連載を続けた『金色のガッシュ!』は絶大な人気を勝ちとったすごく面白い作品だっただけに,作者側にも相当思い入れがあっただろうことは容易に想像がつきますね…。また,小学館側がよっぽど誠意のない対応をしたんでしょうかね…。
久米田先生,講談社の居心地はいかがですか?
走る!漫画家~漫画原稿流出事件渡辺 やよい 創出版 |
一昨年3月の春樹,流出!でも書きました
渡辺やよいさん「原稿横流し事件」。
零細出版社相手の執筆だと原稿料支払いの遅延やら不払いやら多々あるようなんですが,出版社の社長がトンズラして漫画原稿を二束三文でまんだらけに売っ払っちまったという話!
多大な労力をかけ,アシを雇ってまで描いた原稿,零細出版社の雑誌掲載料なんかじゃそもそも元がとれないわけで,ある程度まとまったところで単行本を出してなんぼのものらしいです。ある程度昔の作品でも複刻版やら傑作選集やら出させて欲しいというオファーがある,立派な資産価値のある物件なので,それを適当に扱われてはマンガ家はやってられないって話ですよね。
体験談をまとめたこの本で一番むかついたのが「こちらは法的に全く非はないのだから,原稿を取り戻したければこちらのつけている値で買い取れ」と一貫していたまんだらけの血も涙もない態度,あと,盗難の被害届を受理しなかった警察。まんだらけはそれを承知で盗品であることが立証できれば返還に応じると言っていたようで…しっかり弁護士を雇える弘兼先生の原稿はさっさと返すんだから,より切実で最初から戦っている渡辺さんはやりきれないよな…。
漫画原稿を守る会
http://www.genkou.net/log/mamorukai/index.htm
リンク死んでるみたいですね…。
関連記事(「創」)
この件に関して書かれたWikipediaの解説によると
> 漫画原稿を財産とみなした場合、それを所有する漫画家に多額の税金(財産税など)が課せられてしまう。
って,うわぁ,めんどくせぇ…。
2002年には岸香里さん『天使のたまご』を学研が紛失したとして提訴された裁判では
02/08/28 漫画家の岸香里さんが「原稿をなくされて所有権を侵害された」と主張して、 出版社の「学習研究社」(東京都大田区)に約1300万円の損害賠償を求めた 訴訟で、東京地裁(貝阿弥=かいあみ=誠裁判長)は26日、精神的損害を 認めて120万円の支払いを命じた。 問題となった原稿は、看護婦経験を描いた漫画「天使のたまご」。学研側は 紛失の事実を認めたうえで「原稿料を払った時点で、所有権は漫画家から 出版社に移った」と主張したが、判決は「原稿料は所有権取得の対価ではなく、 原稿は漫画家に返すのが一般的」として、岸さん側に所有権を認めた。 ただし、紛失したのは単行本刊行の後で、製版フィルムを使って再出版が 可能だったことから、財産的損害はなかったと判断した。 |
だそうです。
アメリカンコミックの多くのヒーローものや香港などの漫画は
出版社がプロデュースして作られ,描いている人は「作画担当」に
すぎないってことはありますし,
アニメ『宇宙戦艦ヤマト』での松本零士センセイはほとんどキャラデザ
程度の関わりで裁判でも完敗した(ただし『大ヤマト』は
センセイの完全オリジナルw)とかいう話はありますが
日本の漫画業界ではそんなことはまずないわけで
学研の主張はひどすぎるなぁ…。
特に大手出版社の雑誌だと編集者主導で作品づくりが
進められたりとかしていて,著作権クレジットでも
作者名と出版社名が併記されることが多くなってきている
(主にアニメのスチールなどでですが)昨今,
これから出版社側の権利管理体制も進化していくのでしょうか?
作者側はほとんど法律や経営の素人である個人からスタート
するわけですから,きちんと権利が守られるようにしてほしいですね。
昔はなあなあでルーズだったけれど,
その分,漫画家側が困っているようなときは融通を利かせるなど
業界のよきムラ社会的な慣習が存在していたとも。
今回の雷句先生のケースは,勝ち組作家と大企業の
心情的トラブルという側面が強そうですが
なんにせよいろいろ考えちゃう出来事でした。
本を調べる:出版業界の原稿管理問題(更新2005年4月12日)
※出版業界の問題点を扱いますが、さくら出版・まんだらけ事件における、まんだらけの擁護を意図するものではありません。
個々の出版社・編集者などの批判を目的とするものではありません。 とのこと。
6/7 12:40追記
(株)小学館を提訴。 ~雷句誠の今日このごろ。
雷句先生が訴えに至った実情を実名で公開。
ひどすぎる…サンデーの編集,漫画家と二人三脚どころか
歴代担当がことごとく足引っ張ってやがったのか。
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金色のガッシュ!! (少年サンデーコミックス)雷句 誠小学館 | 笑うナース岸 香里いそっぷ社 | 大YAMATO零号 VOL.01-05 (SPECIAL BOX)株式会社 God Ship | マンガ原稿料はなぜ安いのか?―竹熊漫談竹熊 健太郎イーストプレス |
らいくまこと ライクマコト http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1135710.html
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1135827.html
こちらこそコメント&TB返しありがとうございます。
誰かが声をあげざるを得ないところまで問題が
積もっていたということでしょうね。
雷句先生やほかの漫画家先生たちが溜飲を下げられるような結果を期待したいものです。
(330万円という額より歴代担当者やサンデー編集長,小学館幹部の謝罪が本当は望ましいんでしょうが…だって,雷句先生,小学館の経理ミスで230万円の追徴を受けて,それを肩代わりさせたことが既にあるってんですから,このくらいの額のお金なら似たような処理で片付けられそうな恐れがありますしね。
それこそ,今後同様の件で漫画家が舐められないよう“紛失”賠償相場の確立と“紛失”自体の抑止という最低限のラインを守られれば「勝利」としなければならない,かなり厳しい戦いといえるでしょうね)