大方の予想通りではありますが,死刑でした。
かつてこの事件・裁判に関しては,
一遺族である本村洋さんをマスコミも一斉に祭りあげて
彼の挙げた声に世論が一気に流される構図はいかがなものかと
書いたときもありましたが,
要は,世間の人びとがもともと治安への先行き不安や
司法への不信を抱いていたってわけで
本村さんが立ち上がったことは触媒に過ぎなかった,
いずれこのような動きが起こることは不可避だったといえるのかもしれません。
本村さんが世間の好奇の対象となることも厭わずに
フラッグシップとなるべく立ち上がり闘い続けたことは
本当に並の人にはできないこと,
また,他の人だったら世の中がここまで動かなかったのでは
ないかと思われるにつけ,
彼がこの残酷な役目を負うべく神に選ばれてしまった
運命の不思議を感じてしまいます。
光市母子殺害、当時18歳の男に死刑判決…広島高裁(読売新聞) - goo ニュース
母子殺害の元少年に死刑 広島高裁「18歳、回避理由ない」(共同通信) - goo ニュース
日テレの朝の番組では被告人が記者と接見して(そんなん可能なのか?!)
「審議をしていただいていることに感謝しています。
僕のような者も人として扱われたことは、もったいない思いです。
まず、いの一番に言わなければならないのは謝罪の言葉です。
亡くなられた方に対しては、申し訳ない気持ちは変わらず持っています」
「死刑というのは、一審から求刑されていたことです。
早い段階から死を受け入れていました。一審で死刑が出ていたら、
上訴していたかわかりません」
「自分のしでかした過ちを通じて伝えられることがあるとしたら、
今、命を大切にしきれていない人もいる。生きる喜びを知ることに
よって、死が重大性を持ってくると思います」
と述べ、裁判への感謝の気持ちと、被害者への謝罪の言葉を口にした。
なんて殊勝なことを語っていたそうです。
被告の元少年が判決前に心境語る 母子殺害<4/22 6:33> 日テレNEWS24
人間の心を取りもどした状態で死刑判決を受け
命を奪われるというのは矛楯して残酷なことだと思います。
ですが,人間誰しもが死ぬという厳然たるこの自然界のルールの下
己の犯した過ちと真摯に向きあって,
自分が奪った命およびその遺族の喪失に命をもって償うというのは
これから過ちを犯すかもしれない世の人びとのためにも
大きな意味があるのではないでしょうか…
■でも,弁護側は上告するんですってよ。
こうなっちゃうと,
今回の被告人の殊勝なコメントも本人の心からのものだったのを
弁護団主導で上告にもっていったのか
あのセリフ自体弁護団が用意したシナリオだったのか
(「申しわけない」云々の後に「一方で僕自身、誤解を招くような
ことも多々目に付いたかと思います」という話が続いていた
そうですし)わかりませんね…。
こうなるのは分かりきっていたことだけに
なんで一昨年の最高裁で差し戻しなんかせずに
逆転判決で確定させなかったのかってことですよね。
これまでの死刑相当のラインを大きく引き下げる
ことになるので地裁→高裁→最高裁→差し戻し高裁→最高裁
と三審制どころか五回も裁判を開く必要があるってことですか。
最高裁で確定するのが来年になるのか再来年になるのか
わかりませんが(調査官が即行で棄却する可能性もあるますけど),
五回も裁判をやった揚げ句あの人権派弁護団さまたちは
「重大な誤審だ」とか曰うんでしょうかね。
「早い段階から死を受け入れていました。一審で死刑が出ていたら、
上訴していたかわかりません」
と昨日の朝の時点で語っている元少年の後半生を
弄んだ責任など全く感じもしないんでしょうね。
■少年法の精神とか更生の可能性とか,
たしかに尊いと思います。
自分が若くて分別がきっちりついていなかったり
理屈ではわかっていても感情をコントロールする術を
十分に身に付けていなかった頃のこと
自分がたまたま過ちを犯さずに済むような恵まれた環境で
育ってきたのだということを考えれば
犯罪を犯した側の人間だって同じ人間であって
一度の過ちで人ひとりの将来すべてを奪うのは
成熟した社会として愚かなことだ…とは思います。
けど,コンクリ詰め殺人事件の犯人(元少年)がのうのうと
大手を振って娑婆をまかり歩き平気で暴行事件を起こしたり,
人を殺しても未成年だから何年で出られると
公言したりする輩がまかり通る世の中にあって,
死刑を避ける判決理由としてとなえられる
「更生の可能性が否定できない」という決まり文句が
御題目にしかすぎないと世間一般に広く認識されているとすれば
いくら司法の側が「法」,(というより「判例」)に忠実に
あろうとしても無理があるってことですよね…。
う~ん…難しい…。
百年前,数十年前よりも今の日本での命の重さは重くなっていると思います。
社会が成熟し科学が発達して,人を死なせることは一番の悪だというのは
(個人的にそう思うか否かはともかくとして)常識であることに
異を唱える人はまずないと思います(「国家転覆罪は死刑しかないから
殺人より上」とかいう理屈は除外)。
ですが…,「命は等しく尊い」「命の重さに差をつけてはいけない」
という美しい言葉の“正しさ”を認めた上でも
人の命を大事にしない,平和や安全を維持するための
社会のルールを馬鹿にする人たちの命まで
尊重しなければいけないのでしょうか?
という疑問はぬぐえないですね…。
殺人犯にも寛容になることで救える魂がある
本当に更正する人もいるし,赦すことで
次の人生の一歩を歩むことができた遺族もいる
ということは否定しませんが…。
■関連エントリー
話題の凶悪事件3件◆光・宇治・藤里(2006-06-20)
山口県光市の母子殺害事件 三者三様(2006-06-21)
光市母子殺害事件の差し戻し審が始まったわけですが(2007-06-27)
ショートコメント/母子殺害・本村さん会見,緒方元長官逮捕(2007-06-29)
光市母子殺害事件 差し戻し控訴審集中審理終わる(2007-07-27)
橋下徹弁護士,懲戒請求受ける(2007-12-16)
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http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1117161.html
かつてこの事件・裁判に関しては,
一遺族である本村洋さんをマスコミも一斉に祭りあげて
彼の挙げた声に世論が一気に流される構図はいかがなものかと
書いたときもありましたが,
要は,世間の人びとがもともと治安への先行き不安や
司法への不信を抱いていたってわけで
本村さんが立ち上がったことは触媒に過ぎなかった,
いずれこのような動きが起こることは不可避だったといえるのかもしれません。
本村さんが世間の好奇の対象となることも厭わずに
フラッグシップとなるべく立ち上がり闘い続けたことは
本当に並の人にはできないこと,
また,他の人だったら世の中がここまで動かなかったのでは
ないかと思われるにつけ,
彼がこの残酷な役目を負うべく神に選ばれてしまった
運命の不思議を感じてしまいます。
光市母子殺害、当時18歳の男に死刑判決…広島高裁(読売新聞) - goo ニュース
母子殺害の元少年に死刑 広島高裁「18歳、回避理由ない」(共同通信) - goo ニュース
日テレの朝の番組では被告人が記者と接見して(そんなん可能なのか?!)
「審議をしていただいていることに感謝しています。
僕のような者も人として扱われたことは、もったいない思いです。
まず、いの一番に言わなければならないのは謝罪の言葉です。
亡くなられた方に対しては、申し訳ない気持ちは変わらず持っています」
「死刑というのは、一審から求刑されていたことです。
早い段階から死を受け入れていました。一審で死刑が出ていたら、
上訴していたかわかりません」
「自分のしでかした過ちを通じて伝えられることがあるとしたら、
今、命を大切にしきれていない人もいる。生きる喜びを知ることに
よって、死が重大性を持ってくると思います」
と述べ、裁判への感謝の気持ちと、被害者への謝罪の言葉を口にした。
なんて殊勝なことを語っていたそうです。
被告の元少年が判決前に心境語る 母子殺害<4/22 6:33> 日テレNEWS24
人間の心を取りもどした状態で死刑判決を受け
命を奪われるというのは矛楯して残酷なことだと思います。
ですが,人間誰しもが死ぬという厳然たるこの自然界のルールの下
己の犯した過ちと真摯に向きあって,
自分が奪った命およびその遺族の喪失に命をもって償うというのは
これから過ちを犯すかもしれない世の人びとのためにも
大きな意味があるのではないでしょうか…
■でも,弁護側は上告するんですってよ。
こうなっちゃうと,
今回の被告人の殊勝なコメントも本人の心からのものだったのを
弁護団主導で上告にもっていったのか
あのセリフ自体弁護団が用意したシナリオだったのか
(「申しわけない」云々の後に「一方で僕自身、誤解を招くような
ことも多々目に付いたかと思います」という話が続いていた
そうですし)わかりませんね…。
こうなるのは分かりきっていたことだけに
なんで一昨年の最高裁で差し戻しなんかせずに
逆転判決で確定させなかったのかってことですよね。
これまでの死刑相当のラインを大きく引き下げる
ことになるので地裁→高裁→最高裁→差し戻し高裁→最高裁
と三審制どころか五回も裁判を開く必要があるってことですか。
最高裁で確定するのが来年になるのか再来年になるのか
わかりませんが(調査官が即行で棄却する可能性もあるますけど),
五回も裁判をやった揚げ句あの人権派弁護団さまたちは
「重大な誤審だ」とか曰うんでしょうかね。
「早い段階から死を受け入れていました。一審で死刑が出ていたら、
上訴していたかわかりません」
と昨日の朝の時点で語っている元少年の後半生を
弄んだ責任など全く感じもしないんでしょうね。
■少年法の精神とか更生の可能性とか,
たしかに尊いと思います。
自分が若くて分別がきっちりついていなかったり
理屈ではわかっていても感情をコントロールする術を
十分に身に付けていなかった頃のこと
自分がたまたま過ちを犯さずに済むような恵まれた環境で
育ってきたのだということを考えれば
犯罪を犯した側の人間だって同じ人間であって
一度の過ちで人ひとりの将来すべてを奪うのは
成熟した社会として愚かなことだ…とは思います。
けど,コンクリ詰め殺人事件の犯人(元少年)がのうのうと
大手を振って娑婆をまかり歩き平気で暴行事件を起こしたり,
人を殺しても未成年だから何年で出られると
公言したりする輩がまかり通る世の中にあって,
死刑を避ける判決理由としてとなえられる
「更生の可能性が否定できない」という決まり文句が
御題目にしかすぎないと世間一般に広く認識されているとすれば
いくら司法の側が「法」,(というより「判例」)に忠実に
あろうとしても無理があるってことですよね…。
う~ん…難しい…。
百年前,数十年前よりも今の日本での命の重さは重くなっていると思います。
社会が成熟し科学が発達して,人を死なせることは一番の悪だというのは
(個人的にそう思うか否かはともかくとして)常識であることに
異を唱える人はまずないと思います(「国家転覆罪は死刑しかないから
殺人より上」とかいう理屈は除外)。
ですが…,「命は等しく尊い」「命の重さに差をつけてはいけない」
という美しい言葉の“正しさ”を認めた上でも
人の命を大事にしない,平和や安全を維持するための
社会のルールを馬鹿にする人たちの命まで
尊重しなければいけないのでしょうか?
という疑問はぬぐえないですね…。
殺人犯にも寛容になることで救える魂がある
本当に更正する人もいるし,赦すことで
次の人生の一歩を歩むことができた遺族もいる
ということは否定しませんが…。
■関連エントリー
話題の凶悪事件3件◆光・宇治・藤里(2006-06-20)
山口県光市の母子殺害事件 三者三様(2006-06-21)
光市母子殺害事件の差し戻し審が始まったわけですが(2007-06-27)
ショートコメント/母子殺害・本村さん会見,緒方元長官逮捕(2007-06-29)
光市母子殺害事件 差し戻し控訴審集中審理終わる(2007-07-27)
橋下徹弁護士,懲戒請求受ける(2007-12-16)
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死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う森達也朝日出版社(2008/1/10) | 元刑務官が明かす死刑のすべて坂本 敏夫文藝春秋 (2006/05) |
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1117161.html
なんのための刑罰。こんな男に無駄飯食わせるよりは、死刑にしろよと思ってしまいます。
殺人事件を起こした少年の再犯率が高いと聞きました。
2度目に殺された人は、こいつが死刑になっていたら、犠牲にならなくて済んだと恨みながら死んでいったのかもしれません。
今回の事件は本村さんの犠牲的な活動によって、被害者の立場からの刑罰のありかた、被害者の救済など、画期的な成果が得られたと感じます。
本当に仰るとおりですね…。
少年の再犯率が高いかどうかはきちんとしたソースを確認しないと何ともいえませんが(ここ数十年で上がっていないとも聞きますし,少し話はずれますがよく問題になる仮出所の是非については満期務めて出所した元囚人より再犯率は低いそうです…そうでなければおかしいわけですが),性犯罪者の再犯率は間違いなく高い。
死刑か無期かなら死刑にならざるを得ない,終身刑があれば…という話をされているブロガーの方も複数おられますが,再犯を防ぎ更生の可能性を追求するという意味では「去勢」も「人権」を守る手段として検討に値すると思うんですけどね。
> uesama01さん
日テレの報道を聴いて,死刑のかかった裁判中で(結審しているので判決に影響しないとはいえ)被告にマスコミが接見できるどころか取材してしまうのが許されるのか耳を疑いましたが,TBSもっすか…。
女性記者に限って接見に応じたのなら,それは本人の勝手ですが,罪状が罪状だけにリアルに可能性高そうですが,それを狙って若い女性記者を送り込んだ局側の戦術(そして成功したこと)がやるせないです。
コメントありがとうございます。
リンクから御訪問しようとしたらエラーになってしまったのですが,URLの「hotino」の部分を「hontino」に直したら無事読むことができました。
日テレ報道での接見内容は判決前日(つまりさきおととい)のことですから,元からこのような心境だったのに法廷戦術で支離滅裂な主張を行ってきたのか,最初は世の中をなめていたのが裁判を経てこのような心境になったのか,はたまたこのコメント自体が演技なのかはわかりません。
本村さんの「」という会見コメント,ここだけ切り出して読むと怖ろしく冷酷な物言いですが,私は共感・支持する思いです。
カメレオンさん
先進国のうち死刑制度が存在する国は少数派である
という理由で死刑制度を支持しないというのは何も考えていないのと同じだと思います。
国の法律はそれぞれの歴史や文化,宗教観のもとで作られ改編されて存在するわけですから,この制度があることによってどんな問題があるのか・なくしたらどうなるのか(冤罪の危険,国が殺人を犯すことの倫理的問題,刑による犯罪抑止効果の有無)をそれぞれの国民が考えて決めればいいことです。
日本は明治維新と大戦後に欧米の文化や技術を採りいれ経済成長を遂げた大きな成功体験はありますが,歴史や文化風土の異なる欧米の制度を何でも採り入れればいいというものではありませんし「成熟した社会」だの「先進的な制度」だのと言われたものでもいくらでも失敗例はあります。