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今さら浅田次郎『プリズンホテル』最高!

2006-10-24 18:20:28 | 本・コミック・かってに配役
プリズンホテル〈1〉夏
集英社
浅田次郎にハズレはないね。
ほんとうに,笑いあり人情ありで無茶苦茶1冊のコストパフォーマンスが高い(もちろん読者にとってね)作品ですね。『怪笑小説』でお笑い小説分野への進出した東野圭吾氏は「たしかに書くのに時間はかからないけど精神的にすごく消耗する」「それなのに世間での地位はミステリーに比べて低い」「笑わせる小説でハズすと救いようがなく,プレッシャーが大きい」「笑いのツボと泣かせるツボは非常に近いところにある」と笑わし文学の苦労を語ってますが,浅田作品を読んでないわけでもないだろうに。
※『あの頃ぼくらはアホでした』『怪笑小説』の初出が95年
 『プリズンホテル』の初出が93年。


それにしても濃い!
ほとんど全編「奥湯元あじさいホテル」を舞台に繰り広げられるのだけれど,地元では「プリズンホテル」と呼ばれているだけに客も従業員も,そしてもちろんオーナーも皆ヤクザ!
主人公の木戸孝之介は職人の家に生まれたカタギの小説家なんだけれど,映画にもなったヒット作は極道小説で私生活でも女に暴力を振るう最低野郎。そんな孝之介が浅からぬ縁あって訪れたこのホテル,同業者向けだけあって壁やドアは要塞並みに頑丈,内装は剥製やら五円玉の五重塔やら派手なら何でもいいという感じでコテコテに飾り立てられ,しかも一家内の格式が違えば客のほうが番頭に頭を下げる異質な構図。
こんな,ふつうの観光客なら絶対泊まらない・泊まりたくないようなホテルなのに,何の因果かやって来たわけありの宿泊客たちとともに,いつの間にか読んでいる私も癒やされてしまうんだからたまんないねぇ。
謎解きの要素も強烈な魅力を与えていて,正体不明というかどういう意味を持つのかわからない人物・人影,孝之介の記憶や,一見意味不明の孝之介の言動など数々の伏線がラストでビシッと1本の線につながる瞬間なんか,頭の中をビビビッと感動とも快感ともつかぬ閃光が走りました。これが今流行りのアハ体験ってやつですね。浅田次郎作品,脳の活性化にもいいかもしれません。

今,続編の「(2) 秋」を読んだところですけど,ちょうど先週末の社員旅行で幹事してたとこなんで妙に親近感をもってドタバタを楽しんでます。
美加ちゃん(6歳)のけなげなキャラはお父さん世代にはぐっときますし,
そのセリフがかなり高い確率で笑いのツボをついてきます。
「あと,油の入ったお鍋とか,包丁とか飛んでます。
 お顔の皮がぺろんとむけたり,血だらけではいずり回ったりしてます」
「だーめ。ごめんですむなら警察はいらないわ」

 ※このセリフでなぜ笑えるのかは同書を読んでのお楽しみ。
おっと,「あい」という返事がついつい口癖になってしまう。あぶないあぶない…。
そもそも同行する女性(清子)の都合がつかないからってその娘と2人で温泉旅行に出かけるという最初の展開からして突拍子もなく意表を突きすぎですわw。


さて,当ブログお決まりの「勝手にキャスティング」ですが,
10年以上前の作品だけあって,映像化されているんですね。しかもドラマ。
 ・93年・95年TBS月曜ドラマスペシャル(古谷一行さん,中田喜子さん出演)
 ・96年映画 (福岡芳穂監督,2005年DVD発売) 
 ・99年テレ朝連続ドラマ
 ・05年(予定)韓国映画(キム・スヒョン監督)…完成・公開情報未確認


『有頂天ホテル』のヤクザ版といった感じで,ちょっとテレビじゃまずいだろ
と思う内容も多々あったのですが,連続ドラマのほうのキャスティング,
主人公の孝之介が松本明子さんなんですね。これはうまい。
男女を入れ替えればDVシーンもギャグにもっていくことができます。
その他の登場人物ですが,
 田村清次(原作では清子)…井ノ原快彦
 木戸仲蔵(オーナーで孝之介の叔父)…武田鉄矢
 花沢一馬・支配人…北村総一朗
 花沢繁(支配人の息子)…徳山秀典
 黒田旭(番頭)…大杉漣
 須藤幸枝…小野麻亜矢
 萩原みどり…青田典子
 大曽根勉(宿泊客・大曽根一家の親分)…桜金造
 千恵子…銀粉蝶
 木戸富江(孝之介の継母)…大島蓉子
 岩井…藤井尚之
 梶平太郎・板長…河原さぶ
 ルビー・モレノ、井端珠里、今江冬子、でんでん


テレビ向けに大幅にアレンジしているせいでしょうが,
仲蔵おじさんが武田鉄矢さんって,そりゃないだろうという印象。
仲蔵親分にせよ黒田番頭にせよ,読んでて最初,丹下段平とか
ストロング金剛とかいかつい感じのキャラを想像していたんですが
確かに品はよくないものの,実は長身で若い頃よくモテただの,
黒田はバイクを乗り回す格好いい男だのって…
原作のイメージでは,武田さんはないw。
北村さんの支配人だって,いくら7年前でもすでに湾岸署の署長だったでしょあんた。
花沢支配人は初老では,ない。w

というわけで,視聴率とか関係なしに,原作のイメージだけで
考えた実写版プリズンホテルのキャスティング案です。いかがでしょう?
ヤクザを義理人情に厚く礼儀正しい人間だとあんまり美化するのも今のご時世どうかと思いますけど,最近では『ごくせん』なんかもドラマでやってますしまぁいいか。

                             
木戸孝之介窪塚洋介さん『仁義の黄昏』シリーズがヒットした小説家。メリヤス職人の子に生まれ,幼い頃母親に駆け落ちされたトラウマを持ち,編集者からは偏屈で通っている。
木戸仲蔵
大杉漣さん
考之介の叔父で血の繋がった唯一の親戚。しかし父親が「一生つき合うな」と言い残している関東桜会の大親分で,プリズンホテルのオーナー。
田村清子
中森明菜さん
考之介が月20万円で買っている愛人。懲役中の男との間に生まれた娘と心臓病の持病を持つ母を抱え,考之介に殴られながら言うがまま尽くしている。聖子ちゃんの娘があんな大きくなってることからして年齢的に無理があるのは否めませんが,僕的には彼女のイメージしかないんだなぁ…。田中裕子さんだったらもっとギャップあるでしょ?あ,(3)冬以降は井川遥さんか原沙知恵さんで(ちょっと雰囲気が変わるんで『釣りバカ日誌』みたいにパートナーチェンジ)。
花沢一馬
市川勇さんプロフィール
プリズンホテル支配人。一流のクラウンホテルのエリートホテルマンだったが,あまりに真面目でお客第一・収益そっちのけの行動をとるために地方の系列店を転々とさせられているところを仲蔵にスカウトされるホテルの支配人ってある意味主役ですから,映画だとすごく格好いい人が配役されそう(役所広司・佐藤浩市…)ですが,あくまで原作のイメージ重視で。強い意志を持ちつつどんなトラブルにもソフトに対応w
花沢繁亀田大樹選手支配人の息子。親の頻繁な転勤で友達ができない,できてもすぐ別れてしまう積み重ねからグレてしまい高校を休学状態,暴走族に。黒田の下でフロントマン見習いとして根性を叩き直される。ハウンドドッグ歌ってる場合か(昔輪島さんも『昭和枯れススキ』歌ってたらしいが)。チンピラ親父より黒田にしごいてもらえ。イケメンバージョンなら塚本高史くんで。
黒田旭竹内力さん番頭がしら。実は考之介の父親の工場で働いていた若者で,遊び人の仲蔵に感化され極道の道に。『椿山課長』のときも竹内さんを(勝手に)キャスティングしたよなぁ…。今のところ,読んだ浅田次郎作品,ことごとくヤクザ者が出てくるんだもんw
大曽根勉志賀勝さん宿泊客・大曽根一家の親分ドラマ版の桜金造さんもはまり役だと思いますけど,本職(悪役)のいかつい俳優さんにやっていただきたい。
千恵子大原麗子さんホテルの女将。めったに姿を現さない。
木戸富江さん孝之介の母が駆け落ちした後,17で女工から後添いとなった継母。歳より十は老けて見られ,愚直を絵に描いたような女性で,考之介に毎日罵倒されながら30年尽くしてきた。
梶平太郎松重豊さんプリズンホテル厨場の板長。ホテルの中では先代オーナーからの生え抜き。食べた者を感動させる凄腕の持ち主。強面でカッコイイ台詞を決めるがマジボケもあり。『離婚弁護士II』の大庭保っちゃんのイメージですね。
服部正彦小木茂光さんプリズンホテルのシェフ。クラウンホテルでフレンチの第一人者としての名を欲しいままにしていたが,彼を欲しがる仲蔵に弱みを握られた経営陣によって食中毒の濡れ衣を着せられ,転勤の名目でプリズンホテルに送り込まれる。実は霊能マニア。
アニタモニーク・ローズさん従業員。家族をフィリピンに残し,1度も帰らず仕送りを続ける。※泣かせるセリフが多い重要な役なのですが…若すぎるかな?
ゴンザレスクルーンさん(横浜)番頭の1人。※ラテン系でも東南アジア系でもないと思いますが…そこは大目に見て。
若林隆明清水章吾さん定年退職した。堅物で横柄。この旅行に誘った妻・志保(しお)が離婚届をカバンに忍ばせているとも知らず…もう少し若い役が多いんだろうけど実の息子さんも大学生の年だしそろそろ老け役をやってみては。
小田島仙治西村和彦さん知人の借金や技術者の引き抜きなどでビル保守の会社を破産させてしまった男。妻と病気の娘を連れ,一家心中のため山林に入り,プリズンホテルにたどり着く。どう?西村さんそこそこ大人で若くてまじめそうで結構合ってません?


『プリズンホテル(2)秋』の登場人物はこんな感じで。
渡辺莞爾(ナベ長。万年幹事で定年間際の巡査係長)
 …左とん平さん。実年齢69だけど,最初の右往左往キャラと
  後半のいいキャラを兼ねられそう。
松倉岩夫警部補(鬼松。数々の手柄を挙げたマル暴歴戦の猛者。
  その分宿泊客としてのガラは最悪)…六平直政さん。
  凄みを求めるとこのくらいの人になっちゃうよな…実年齢52歳だしOKでしょう。
佐々木広之警視正(青山警察署キャリア署長)…細川茂樹さん。
  偉そうでいざとなったら情けないエリートを演じてほしい。
真野みすず(往年の名歌手で仲蔵の育ての親・相良直吉の愛人)
  …テレビバージョンなら加賀まりこさん,
   映画バージョンなら梶芽衣子さんで。
柏木ナナ(元アイドル歌手。天才的歌唱力を誇ったが,
   マネージャーの独立騒動でスター街道から転落)…小沢真珠さんで。
林章太郎(ナナのマネージャー。ドサ回りで稼がせた
   金を酒や博打に使う屑野郎)…あまり年食ってたり
   救いようのないキャラだと困るから,
   古田新太さんといったところでしょうか。
香川新介(指名手配中の「集金強盗」)…綾田俊樹さん。

『プリズンホテル(3)冬』は,読み始めたところですがこんな感じで。
荻原みどり(丹青出版編集者)…眞鍋かをりさん。
阿部マリア(救命センター看護婦)…財前直見さん。
   すごみのあるナースというと坂口憲二版『医龍』で医者を演じた
   夏木マリさんのイメージが強いですが(あのドラマ,外科で女医率高杉)

こんなところで。
さあ,続きを読もうwkwk

この本を読んだ人は幅広い層でたくさんいるでしょうから
皆さん,どんなイメージを持っておられるか興味ありますね…
感想や御意見・反論などコメント・トラバいただけると嬉しいです。

座右の書,心の友同然に扱っているという安藤優子さん,
いかがでしょう?(←何様?!)


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