ワクチンの価値は、
1.対象となる感染症の重症度
2.ワクチンの効果の高さ
3.ワクチンの副反応の少なさ
などで決まります。
では、この3つを満たせば生産・販売されるかというと、そう単純ではありません。
もうひとつ、コストの問題があります。
それは需要と供給のバランスが関係します。
如何にそのワクチンが優れていても、必要とする人口が少なくてコストに見合わないので生産を担当する企業がいないのです。
とくに新興感染症と呼ばれる感染症は、アフリカが舞台となることが多いので、先進国にとっては“人ごと”と捉えられ、優先順位が低くなる傾向があります。
その辺の事情を解説した記事を見つけました。
■ ワクチン開発に期待も〜新興ウイルス感染症
(時事メディカル:2018.10.3)
1970年以降に新たに知られるようになったウイルスによる感染症を「新興ウイルス感染症」と呼んでいる。致死率が比較的高い新興ウイルス感染症とそれに対するワクチンの開発の現状などについて、国立感染症研究所(東京都新宿区)ウイルス第1部の西條政幸部長に聞いた。
◇ 動物から人に感染
ウイルス感染症は、インフルエンザを代表とする人から人に感染するものと、エボラ出血熱や鳥インフルエンザなど動物から人に感染するものに分けられる。西條部長は「動物由来のウイルスは感染の機会は限定されるものの、致死率が高くなる場合があります」と指摘する。
◇ 新興ウイルス感染症の種類
新興ウイルス感染症は原因となるウイルスが動物を宿主とするものが多く、オオコウモリ由来と考えられているエボラ出血熱、ヒトコブラクダが感染源の一つと疑われる中東呼吸器症候群(MERS)、マダニが媒介する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などが知られている。中でも76年にスーダン(現南スーダン)で初めて感染が確認されたエボラ出血熱は2014年にも西アフリカで大流行し1万人以上が死亡した。
11年に中国で病原体が特定されたSFTSは日本でも13年に初めて感染が報告され、今年9月までに西日本を中心に23府県で患者の発生が報告されている。97年には、鳥しか感染しないと考えられていたインフルエンザウイルスA(H5N1)型の人への感染が香港で確認された。
◇ ワクチンに期待も
動物由来のウイルスは体内で増殖して重症化しやすい一方、ワクチンが効果を発揮する可能性は高い。しかし、西條部長は「宿主である動物に接している人には予防にはなりますが、動物由来のウイルスは人から人には感染しにくく流行地も限られ、インフルエンザワクチンのように多くの人が予防接種を受けることは期待できません。そのため、開発しようにもコスト的になかなか見合いません」と説明する。
また、H5N1型ウイルスのワクチンが既に実用化されている一方、中国では新たにH7N9型ウイルスの感染も確認され、次から次へと新たな対策が求められてくるのが実情だ。
西條部長は「MERS予防にもワクチンが効果的だと思いますが、現時点では実用化されていません。国内でも毎年死亡例があるSFTSや、熱帯・亜熱帯地域で流行しているジカウイルス感染症に対するワクチン開発も待たれます」と話している。
1.対象となる感染症の重症度
2.ワクチンの効果の高さ
3.ワクチンの副反応の少なさ
などで決まります。
では、この3つを満たせば生産・販売されるかというと、そう単純ではありません。
もうひとつ、コストの問題があります。
それは需要と供給のバランスが関係します。
如何にそのワクチンが優れていても、必要とする人口が少なくてコストに見合わないので生産を担当する企業がいないのです。
とくに新興感染症と呼ばれる感染症は、アフリカが舞台となることが多いので、先進国にとっては“人ごと”と捉えられ、優先順位が低くなる傾向があります。
その辺の事情を解説した記事を見つけました。
■ ワクチン開発に期待も〜新興ウイルス感染症
(時事メディカル:2018.10.3)
1970年以降に新たに知られるようになったウイルスによる感染症を「新興ウイルス感染症」と呼んでいる。致死率が比較的高い新興ウイルス感染症とそれに対するワクチンの開発の現状などについて、国立感染症研究所(東京都新宿区)ウイルス第1部の西條政幸部長に聞いた。
◇ 動物から人に感染
ウイルス感染症は、インフルエンザを代表とする人から人に感染するものと、エボラ出血熱や鳥インフルエンザなど動物から人に感染するものに分けられる。西條部長は「動物由来のウイルスは感染の機会は限定されるものの、致死率が高くなる場合があります」と指摘する。
◇ 新興ウイルス感染症の種類
新興ウイルス感染症は原因となるウイルスが動物を宿主とするものが多く、オオコウモリ由来と考えられているエボラ出血熱、ヒトコブラクダが感染源の一つと疑われる中東呼吸器症候群(MERS)、マダニが媒介する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などが知られている。中でも76年にスーダン(現南スーダン)で初めて感染が確認されたエボラ出血熱は2014年にも西アフリカで大流行し1万人以上が死亡した。
11年に中国で病原体が特定されたSFTSは日本でも13年に初めて感染が報告され、今年9月までに西日本を中心に23府県で患者の発生が報告されている。97年には、鳥しか感染しないと考えられていたインフルエンザウイルスA(H5N1)型の人への感染が香港で確認された。
◇ ワクチンに期待も
動物由来のウイルスは体内で増殖して重症化しやすい一方、ワクチンが効果を発揮する可能性は高い。しかし、西條部長は「宿主である動物に接している人には予防にはなりますが、動物由来のウイルスは人から人には感染しにくく流行地も限られ、インフルエンザワクチンのように多くの人が予防接種を受けることは期待できません。そのため、開発しようにもコスト的になかなか見合いません」と説明する。
また、H5N1型ウイルスのワクチンが既に実用化されている一方、中国では新たにH7N9型ウイルスの感染も確認され、次から次へと新たな対策が求められてくるのが実情だ。
西條部長は「MERS予防にもワクチンが効果的だと思いますが、現時点では実用化されていません。国内でも毎年死亡例があるSFTSや、熱帯・亜熱帯地域で流行しているジカウイルス感染症に対するワクチン開発も待たれます」と話している。