これも製薬会社からいただいた冊子(Astellas Square 2014年10-11月号)の記事です。
現在、喘息治療の基本は吸入ステロイド薬です。
これを十分量使用しても発作のコントロールができない例に対し、追加治療のオプションがあります。
内服では抗ロイコトリエン薬、吸入ではβ刺激薬がその代表です。
さて、吸入β刺激薬は即効性のある短時間作用型(SABA)と長時間作用型(LABA)に分けられます。
さらに近年、吸入ステロイド薬とLABAの合剤が開発・発売され、吸入ステロイド薬でコントロールしきれない例の次の選択枝として導入されるようになりました。
商品名では「アドエア®」「シムビコート®」「レルベア®」の3種類、今回の記事はこのシムビコート®を扱ったものです。
小児喘息ではなく成人喘息に関する記述ですが、参考になりそうな箇所を抜粋しメモメモ(青字);
成人喘息の治療指針である「喘息予防・管理ガイドライン2012」(JGL2012)には重症度に応じて4つの治療ステップが示されており、そのステップ2と3においてSMART療法が記載されている。
★ SMART療法(Symbicort maintenance and reliever therapy):ブデソニドとホルモテロールの配合剤であるシムビコート®を、定期吸入に加えて発作発現時に追加吸入する治療法。
SMART療法の利点は、シムビコート®1剤で維持療法・発作治療の両方を行うことができる点である。
これはLABA(long acting β-agonist:長時間作用性β刺激薬)でありながら即効性を有するというホルモテロールの優れた性質による。ふつう、長時間作用薬は効き始めもゆっくりで、例えばホクナリンテープは貼付後4時間しないと効いてこない。ホルモテロールの“即効性のあるLABA”は画期的である。
また、一つのデバイスで維持療法と発作治療の両方が実施できる点もアドヒアランス(携帯性や吸入方法の煩雑性/混乱など)に関して大きなメリットである。
<エビデンス>
・COSMOS試験(2012):
シムビコート®COSMOS試験と他のICS/LABA配合剤+発作時SABAの群を比較し、喘息増悪(入院・救急受診、3日以上の傾向ステロイド薬使用、予定外受診)の最初の発言までの期間・発現頻度を1年間観察したところ、シムビコート®SMART療法群は、最初の増悪発現までの期間が長く、喘息増悪の累積発現頻度を有意に減少させた。
・喘息増悪予防に対する15種類の長期管理治療法を比較した64のランダム化比較試験のネットワークメタアナリシス(2014):
「重度の増悪の発現」を有効性の指標としたところ、「ICS/LABA配合剤による定期吸入に症状発現時の同剤追加吸入する治療」が最も優れており、次いで「ICS/LABA配合剤の固定用量(SABAによる頓用吸入可)」が有意に優れていた。また、「中等度と重度の増悪の発現」においても同様の結果であった。
フムフム、究極の抗喘息薬吸入治療法と言ってもよいかもしれません。
2つめの論文で登場する治療法を具体的な薬剤名にすると、
「ICS/LABA配合剤による定期吸入に症状発現時の同剤追加吸入する治療」→ シムビコート®SMART療法
「ICS/LABA配合剤の固定用量(SABAによる頓用吸入可)」→ アドエア®(あるいはシムビコート®)+メプチンエアー
となります。
で、具体的な使用法は・・・
<添付文書より>
【用法・用量】
1. 気管支喘息:
通常、成人には、維持療法として1回1吸入(ブデソニドとして160μg、ホ ルモテロールフマル酸塩水和物として4.5μg)を1日2回吸入投与する。 なお、症状に応じて増減するが、維持療法としての1日の最高量は1回 4吸入1日2回(合計8吸入:ブデソニドとして1280μg、ホルモテロールフ マル酸塩水和物として36μg)までとする。
維持療法として1回1吸入あるいは2吸入を1日2回投与している患者 は、発作発現時に本剤の頓用吸入を追加で行うことができる。本剤を維持療法に加えて頓用吸入する場合は、発作発現時に1吸入する。数分経過しても発作が持続する場合には、さらに追加で1吸入する。必要に応じてこれを繰り返すが、1回の発作発現につき、最大6吸入までとする。 維持療法と頓用吸入を合計した本剤の1日の最高量は、通常8吸入までとするが、一時的に1日合計12吸入(ブデソニドとして1920μg、ホルモテロールフマル酸塩水和物として54μg)まで増量可能である。
・・・まことにわかりにくい(苦笑)。表に整理したものを見つけました;
<参考資料>
□ シムビコートの吸入方法(アステラス製薬HP)
□ SMART療法(自治医科大学さいたま医療センター呼吸器科教授:小山 信一郎先生)
現在、喘息治療の基本は吸入ステロイド薬です。
これを十分量使用しても発作のコントロールができない例に対し、追加治療のオプションがあります。
内服では抗ロイコトリエン薬、吸入ではβ刺激薬がその代表です。
さて、吸入β刺激薬は即効性のある短時間作用型(SABA)と長時間作用型(LABA)に分けられます。
さらに近年、吸入ステロイド薬とLABAの合剤が開発・発売され、吸入ステロイド薬でコントロールしきれない例の次の選択枝として導入されるようになりました。
商品名では「アドエア®」「シムビコート®」「レルベア®」の3種類、今回の記事はこのシムビコート®を扱ったものです。
小児喘息ではなく成人喘息に関する記述ですが、参考になりそうな箇所を抜粋しメモメモ(青字);
成人喘息の治療指針である「喘息予防・管理ガイドライン2012」(JGL2012)には重症度に応じて4つの治療ステップが示されており、そのステップ2と3においてSMART療法が記載されている。
★ SMART療法(Symbicort maintenance and reliever therapy):ブデソニドとホルモテロールの配合剤であるシムビコート®を、定期吸入に加えて発作発現時に追加吸入する治療法。
SMART療法の利点は、シムビコート®1剤で維持療法・発作治療の両方を行うことができる点である。
これはLABA(long acting β-agonist:長時間作用性β刺激薬)でありながら即効性を有するというホルモテロールの優れた性質による。ふつう、長時間作用薬は効き始めもゆっくりで、例えばホクナリンテープは貼付後4時間しないと効いてこない。ホルモテロールの“即効性のあるLABA”は画期的である。
また、一つのデバイスで維持療法と発作治療の両方が実施できる点もアドヒアランス(携帯性や吸入方法の煩雑性/混乱など)に関して大きなメリットである。
<エビデンス>
・COSMOS試験(2012):
シムビコート®COSMOS試験と他のICS/LABA配合剤+発作時SABAの群を比較し、喘息増悪(入院・救急受診、3日以上の傾向ステロイド薬使用、予定外受診)の最初の発言までの期間・発現頻度を1年間観察したところ、シムビコート®SMART療法群は、最初の増悪発現までの期間が長く、喘息増悪の累積発現頻度を有意に減少させた。
・喘息増悪予防に対する15種類の長期管理治療法を比較した64のランダム化比較試験のネットワークメタアナリシス(2014):
「重度の増悪の発現」を有効性の指標としたところ、「ICS/LABA配合剤による定期吸入に症状発現時の同剤追加吸入する治療」が最も優れており、次いで「ICS/LABA配合剤の固定用量(SABAによる頓用吸入可)」が有意に優れていた。また、「中等度と重度の増悪の発現」においても同様の結果であった。
フムフム、究極の抗喘息薬吸入治療法と言ってもよいかもしれません。
2つめの論文で登場する治療法を具体的な薬剤名にすると、
「ICS/LABA配合剤による定期吸入に症状発現時の同剤追加吸入する治療」→ シムビコート®SMART療法
「ICS/LABA配合剤の固定用量(SABAによる頓用吸入可)」→ アドエア®(あるいはシムビコート®)+メプチンエアー
となります。
で、具体的な使用法は・・・
<添付文書より>
【用法・用量】
1. 気管支喘息:
通常、成人には、維持療法として1回1吸入(ブデソニドとして160μg、ホ ルモテロールフマル酸塩水和物として4.5μg)を1日2回吸入投与する。 なお、症状に応じて増減するが、維持療法としての1日の最高量は1回 4吸入1日2回(合計8吸入:ブデソニドとして1280μg、ホルモテロールフ マル酸塩水和物として36μg)までとする。
維持療法として1回1吸入あるいは2吸入を1日2回投与している患者 は、発作発現時に本剤の頓用吸入を追加で行うことができる。本剤を維持療法に加えて頓用吸入する場合は、発作発現時に1吸入する。数分経過しても発作が持続する場合には、さらに追加で1吸入する。必要に応じてこれを繰り返すが、1回の発作発現につき、最大6吸入までとする。 維持療法と頓用吸入を合計した本剤の1日の最高量は、通常8吸入までとするが、一時的に1日合計12吸入(ブデソニドとして1920μg、ホルモテロールフマル酸塩水和物として54μg)まで増量可能である。
・・・まことにわかりにくい(苦笑)。表に整理したものを見つけました;
<参考資料>
□ シムビコートの吸入方法(アステラス製薬HP)
□ SMART療法(自治医科大学さいたま医療センター呼吸器科教授:小山 信一郎先生)