小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

「小児の重症喘息治療・管理のアプローチ」(群馬大学:荒川浩一先生)

2014年11月03日 10時16分17秒 | 気管支喘息
 製薬会社からいただいた冊子(infoAllergy 2014.September No.69)に、先輩の荒川先生が執筆している記事を見つけました。
 臨床現場に役立つヒントがありましたので、メモメモ:

■ 小児重症喘息と診断する前にチェックすべき事
・アドヒアランス不良
・増悪因子からの回日が不十分
・合併症の有無
・診断が正しいか

■ 小児重症喘息の標準治療
 小児気管支喘息治療・管理ガイドライン(JPGL)2012によると、
・高用量の吸入ステロイドが基本
・必要に応じてロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)を併用
・2歳以上であればテオフィリン徐放製剤や長時間作用性β-2刺激薬(LABA)の上乗せ、あるいはICS/LABA配合剤への変更
 一方、世界各国で発刊されたガイドラインに共通するメッセージを集約したICONでは、オマリズマブが推奨されている。

■ ICS+LABA vs ICS増量群
 メタ解析では、前者が有利(朝晩のピークフロー改善、β-2刺激薬頓用回数減少)と判定されたが、喘息増悪の頻度を示す全身ステロイド薬の投与回数に差は出なかった。
 治療期間中の身長の伸びは、後者が有意に低下していた。
 FDA(米国食品医薬品局)やJPGL2012ではLABAの使用はできるだけ短期間にとどめることを推奨している。

■ オマリズマブも無効なときの治療
 上記の治療が無効な礼に対しては、末梢気道をターゲットとした微粒子系のICSの使用、特殊ではあるが抗真菌薬、マクロライド系抗菌薬、免疫調整薬なども考慮されている。さらに、アレルギー炎症に関連したサイトカインをターゲットにした生物学的製剤を用いた治療法も開発されてきており、小児への臨床応用が期待される。

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