小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

肥満を予防するためには、一日何歩のウォーキングが必要か?

2023年03月11日 07時05分59秒 | 予防接種
小児の肥満対策には、食事療法とともに運動療法が欠かせません。

そして、
「適当・適切な運動とは何をどのくらいやればいいのか?」
と具体的に指導すべく、調査中です。

現時点の知識では、
肥満傾向の児はもともと運動が嫌いなので、
息が切れるレベルの運動は指導しても無理があると思われ、
「汗ばむくらいの運動を一定時間」
が適切ではないかと感じています。

そんなタイミングで、
▢ 病気予防を目指すなら、ウォーキングは1日何歩がいい?
高血圧は1日8000歩程度、糖尿病は1日9000歩程度で頭打ち
大西淳子=医学ジャーナリスト(2023.3.9:日経ビジネス
という記事が目に留まりました。
ポイントと思われる個所を抜粋します。

・スマートウォッチ(Fitbit)に6カ月以上にわたって記録されていたデータを提供した18歳以上の6042人(年齢の中央値は56.7歳、73%が女性、BMIの中央値は28.1)を分析対象。 

・参加者の1日あたりの歩数は7731.3歩(中央値)でした。さまざまな慢性疾患を対象として、1日の歩数が1000歩増加するごとの発症リスクの変化を調べたところ、糖尿病や睡眠時無呼吸症候群などのリスクが有意に低下した;
 神経障害のある2型糖尿病:31%減
 睡眠時無呼吸症候群:15%減
 肥満:11%減
 うつ病:8%減
 胃食道逆流症:8%減
 高血圧:8%減

・肥満、睡眠時無呼吸症候群、胃食道逆流症、うつ病の4疾患の発症リスクは、1日の歩数が増えると、ほぼ直線的に低下したが、糖尿病、高血圧という2疾患と1日の歩数の関係は非線形で、比例関係は見られなかった。

・肥満リスクは、肥満発症の有無に関する情報が得られた人たちの1日あたりの歩数の中央値(8280歩)から1万歩に増えた場合には、31%低下した。
・研究参加時点のBMIも考慮して分析すると、たとえばBMIが28だった人が歩数を1日6000歩前後から1万1000歩まで増やすと、肥満発症リスクは64%低下 する。

・1日に6000歩程度しか歩かない人が、歩数を2倍弱まで増やせば、個々の疾患のリスクはおおよそ4分の1から2分の1程度低下する;
 糖尿病:32%減
 高血圧:24%減
 胃食道逆流:34%減
 大うつ病:34%減
 肥満:41%減
 睡眠時無呼吸:52%減

・糖尿病はおおよそ1日9000歩、高血圧は1日8000歩までは、歩数が増加するにつれて発症リスクが低下しましたが、それ以上歩いてもリスク低下は見られなくなった。

・今回のデータは、1日あたりの歩数は一般的な慢性疾患6疾患の発症リスクと関係し、肥満、睡眠時無呼吸症候群、胃食道逆流症、うつ病のリスクは歩数が増えるほど低くなること、糖尿病と高血圧については、リスク低下の最大の利益は1日8000~9000歩で得られることを示唆する。

肥満対策として取り入れるとすれば、
「運動不足がちな人が1日の歩数として現在の倍くらいまで増やすと十分な効果が期待できる」
といったところでしょうか。

昔、万歩計で自分の一日の歩数を測定した経験がありますが、
1日10000歩歩くのは結構大変ですよねえ。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「コレクチム軟膏が生後6ヶ月... | トップ | ステロイド点鼻薬の副作用 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

予防接種」カテゴリの最新記事