前項と同じく、第52回小児アレルギー学会(2015年11月開催)の講演メモ(実際はWEB配信)です。
入浴方法や石けんの使い方について、世界各国のガイドラインを比較して相違点を浮かび上がらせています。
ただ、薬物療法ではないので、エビデンスは乏しい傾向がありますね。
■ 「アトピー性皮膚炎に効果的なスキンケアは? 〜入浴、体の洗い方、石けんの使用、保湿剤について考える」(海老島優子Dr.)
<各国のアトピー性皮膚炎ガイドライン(以降GL)>
① 欧州皮膚科学会(Europian Academy of Dermatology and Venereology)2012年
② 米国アレルギー学会(American Academy of Allergy, Asthma & Immunology)2013年
③ 米国皮膚科学会(American Academy of Dermatology)2014年
④ 日本皮膚科学会:2009年
⑤ 日本アレルギー学会:2015年
<国別GLによる入浴の評価>
※ 記載順(GL番号:推奨度:エビデンスレベル)
① C:3b
② D:ー
③ C:III
④ ○:ー
⑤ ○:ー
入浴方法は欧米と日本では異なるようです。
日本は湯船につかるのがふつうですが、欧米ではシャワーが中心と聞きます。
どう比較評価してよいのか今ひとつピンときません。
<国別GLによる石けん使用の評価>
※ 記載順(GL番号:推奨度:エビデンスレベル)
① ー:ー
②(不使用)B:ー
③ C:III
④ ー:ー
⑤ ○:ー
石けんの使い方も欧米と日本では異なるようです。
石けん=soapと訳されますが、イギリスで soap というと香料入り高級石けんを指すそうです。では牛乳石けんなどシンプルなものはなんと呼ぶか・・・“クレンザー”と呼ぶと聞いたことがあります。米国皮膚学会(③)ではNon-soap(中性か弱酸性、低アレルゲン、無香料)と表現されています。
なのでこちらも比較評価が難しい。
米国アレルギー学会(②)のみ、「石けん不使用」を推奨していますね。理由は「itch-scratch cycleのトリガーとなるので避けるべき」「マイルドな石けん(無香料の“Dove”など)も同様」との説明があります。
<国別GLにおける保湿剤の評価>
※ 記載順(GL番号:推奨度:エビデンスレベル:保湿剤の効果:使用方法)
① B:2a:軽症中等症に対するステロイド減量効果、維持療法として有効:1日2回以上塗布、消費量として成人500g/週(幼児は150-200g/週)
② D:ー:保湿剤はファーストラインの治療として推奨、ステロイド外用薬減量効果あり:皮膚水分保持のために入浴後に塗布
③ A:I:疾患重症度・抗炎症薬の減少に強いエビデンスを持つ:使用量や使用回数に関する系統的研究はないが、十分量・頻回塗布が必要であると一般的には考えられる
④ A:2:1日2回のヘパリン類似物質の外用は再燃を有意に抑制する:1日2回が原則、再燃を生じないことが確認されれば漸減・間欠投与に移行
⑤ ○:ドライスキン・障害された皮膚に対するスキンケアとして推奨:1日2回の外用が1回よりも保湿効果が高い、一般的には入浴直後に使用すると説明
各国のGLに微妙な違いはありますが、総じて保湿剤の使用を推奨しています。①の欧州では使用量の記載もあり、すごく多い気がします・・・。
回数は1日2回が基本。
日本の大矢先生のグループによる研究でも、1日1回塗布では卵アレルギー感作が防げなかったけれど、1日2回塗布して完璧にドライスキンをコントロールしたら減ったと報告しています。
<石けんの使用のメリットとデメリット>
医師対象の某ワークショップWebアンケートによると、
・石けんの使用を勧める理由ベスト3;
① 皮膚表面の汚れ(汗、垢など)を取り除く
② 皮膚表面の黄色ブドウ球菌の繁殖を抑える
③ 皮膚に残った外用薬を取り除き、経皮吸収をよくする
・石けんの使用を勧めない理由ベスト3:
① 皮脂を落として搔痒感が強くなる
② 入浴又はシャワーで汚れは十分落とせる
③ 石けんの刺激感が皮膚症状を悪化させる
石けんを勧めない理由①は、入浴後に保湿剤でスキンケアすれば解決しそうです。
なお、私自身(ドライスキン傾向あり)が「石けんなし」を数ヶ月試したことがありましたが、気がついたら肌が痒くなり掻き壊してガサガサ・ザラザラになってしまいました。
なので、患者さんにはケース・バイ・ケースで指導しています。基本的には「泡立たせて石けん使用、それで皮膚が荒れるようなら一旦中止して様子観察」です。
<石けんを泡立てることの利点>
① 少量の石けんで広い面積を洗うことができ、石けんの過度の使用を防ぐ
② 皮膚への摩擦を減らす
③ 泡立てた細かい泡は、汚れを包み込み効率的に汚れを落とす
④ 石けんが流れやすくなり、皮膚への石けんの残留を減らす
石けんを泡立てる理由は「泡が油汚れを浮かせて落とす」と説明されてきました。きめ細かい泡の方がよいようで、当院では百均で売っている「ほいっぷるん」をお勧めしています。女子の洗顔用グッズとしてベストセラー商品だそうです。
<保湿剤に求められる作用>
① 角質柔軟化作用
② バリア機能
③ 保湿機能
よく見かける表ですが、ポイントを;
(ワセリン)油なので、加湿作用はありません。乾燥している皮膚に塗っても潤うことはなく、保護する(1枚膜を張る)だけです。なので「入浴後」の塗布が望ましいわけです。朝、塗る前にすでにカサカサがひどかったら「霧吹きで潤わせてから塗ってください」と指導することもあります。
幼児期以降ではワセリンはべとついてテカテカするので、(とくに女子は)嫌がるため、クリームタイプや液体タイプの保湿剤に切り替えることが多いです。
軽い保温作用もあるので、夏期に熱心に塗っていると汗疹の原因になり得ます。
また、油ですので水・お湯では落ちにくく、石けんの使用が必要です。
※ 「鉱物油とは(パラフィン・ワセリン・ミネラルオイル)」(リップクリーム店ビーズグロスHP)
・・・このHPを読むと、3つの物質はすべて石油から作られており、
・パラフィンは固形でロウソクの原料
・ワセリンは半固形
・ミネラルオイル(=流動パラフィン)は液状
なんだそうです。「ミネラルオイル」って言葉の響きがいいですが、この場合の「ミネラル」は電解質(ナトリウムやカリウム)ではなく鉱物という意味で、直訳すると「ミネラルオイル=鉱物油」となります。
(ヘパリン類似物質)使用感がよいのですが高価なのが玉に瑕。100gが3000円、ジェネリックでもその2/3程度。近年、「医療費を圧迫している」「健康女性がファンデーション代わりに使用しているのはイカン」などとよく話題になります。
(尿素)ウレパール®やパスタロン®という名前です。角質柔軟化作用に優れ、肘やかかとのガサガサがよくなります。ただ、傷があるとしみて痛い。子どもはこれを一度経験すると、逃げ回って塗らせてくれなくなります。しみて痛いところは湿疹前状態なので、保湿剤だけではよくならない証拠と捉えることもできます。
私自身、尿素軟膏を塗っていた時期がありました。入浴後に尿素軟膏を塗ると、翌朝すごくカサカサする(悪化する?)のでやめました。
(セラミド)唯一、三つの作用をクリアしている保湿剤ですが、不思議なことに処方薬には存在しません。市販品は高価ですね。
(ビタミンE配合)処方薬であるユベラ®軟膏です。基剤はパラフィン/流動パラフィンですから、ワセリンとそう変わりません。ビタミンAも入っています。
当院では、主に3つの保湿剤を処方しています。季節や皮膚の状態で使い分けています。
これらを選んだわけは「安い」から、そして実際に自分たちで試して決めました。
① プロペト:別名「眼科用ワセリン」:唯一、「目に入っても大丈夫」と書いてある貴重な保湿剤です。ワセリンより少し柔らかい印象で、冬季中心にカサカサ感がひどい患者さんに。顔面は外にさらされて乾燥しやすいので、季節にかかわらずプロペトが基本です(本人が嫌がらない限り)。
② 親水クリーム:ワセリンを25%含んでいるクリームで水溶性です。つまり水やお湯で落ちます。このクリームは患者さんにより好みが分かれ、リピーターになるヒト、「広げにくいからイヤ」と好まないヒトに分かれます。
私自身は、親水クリーム愛用者です。
なぜか私、ワセリンを塗るとその場所が温かくなって痒くなるのですが、親水クリームはまったく刺激がありません。
③ グリセリンカリ液:別名「ベルツ水」:グリセリンは天然保湿因子でもあります。プロペト、親水クリームより角質軟化作用に優れている印象があり、四肢のカサカサ感がなかなか消えない乳幼児(とくに触ると硬い感じの時)に頻用しています。
グリセリンカリ液の添付文書には「皮膚軟化剤」「効能・効果:手足の亀裂性・落屑性皮膚炎」とあり、アルカリ性が強いとの情報もありますので、顔面には使用していません(参考:「グリセリンとグリセリンカリ液」「グリセリンカリ液の使い方、グリセリンと違う?」)。
なお、「ベルツ水」という名前の由来は、明治時代に来日した医師のベルツ博士(草津温泉を世界に紹介した人物)が、温泉旅館(箱根富士屋ホテル)で働く仲居さん達の手荒れを見て、何とかしてあげたいと調合したのが始まりだそうです。
<まとめ>
Q1:アトピー性皮膚炎に効果的な入浴頻度は?
A1:1日1回以上、汗をかいたり汚れたときは適宜追加する
Q2:入浴時あるいはシャワー浴に体を洗うのに石けん(固体と液体)を使用するように勧める?
A2:汚れなどを落とすのに石けんの使用は必要。石けんはよく泡立てて使用し、しっかりと洗い流す。
Q3:保湿剤は、いつ・何回・何を塗るのが効果的?
A3:朝と入浴後、1日2回、患者さんの皮膚に合う者、好むものを使用する。
Q4:保湿剤とステロイド外用薬、どちらを先に塗るのが効果的?
A4:どちらが先でも臨床的効果は変わらないようなので、続けやすい方法を選択する。
入浴方法や石けんの使い方について、世界各国のガイドラインを比較して相違点を浮かび上がらせています。
ただ、薬物療法ではないので、エビデンスは乏しい傾向がありますね。
■ 「アトピー性皮膚炎に効果的なスキンケアは? 〜入浴、体の洗い方、石けんの使用、保湿剤について考える」(海老島優子Dr.)
<各国のアトピー性皮膚炎ガイドライン(以降GL)>
① 欧州皮膚科学会(Europian Academy of Dermatology and Venereology)2012年
② 米国アレルギー学会(American Academy of Allergy, Asthma & Immunology)2013年
③ 米国皮膚科学会(American Academy of Dermatology)2014年
④ 日本皮膚科学会:2009年
⑤ 日本アレルギー学会:2015年
<国別GLによる入浴の評価>
※ 記載順(GL番号:推奨度:エビデンスレベル)
① C:3b
② D:ー
③ C:III
④ ○:ー
⑤ ○:ー
入浴方法は欧米と日本では異なるようです。
日本は湯船につかるのがふつうですが、欧米ではシャワーが中心と聞きます。
どう比較評価してよいのか今ひとつピンときません。
<国別GLによる石けん使用の評価>
※ 記載順(GL番号:推奨度:エビデンスレベル)
① ー:ー
②(不使用)B:ー
③ C:III
④ ー:ー
⑤ ○:ー
石けんの使い方も欧米と日本では異なるようです。
石けん=soapと訳されますが、イギリスで soap というと香料入り高級石けんを指すそうです。では牛乳石けんなどシンプルなものはなんと呼ぶか・・・“クレンザー”と呼ぶと聞いたことがあります。米国皮膚学会(③)ではNon-soap(中性か弱酸性、低アレルゲン、無香料)と表現されています。
なのでこちらも比較評価が難しい。
米国アレルギー学会(②)のみ、「石けん不使用」を推奨していますね。理由は「itch-scratch cycleのトリガーとなるので避けるべき」「マイルドな石けん(無香料の“Dove”など)も同様」との説明があります。
<国別GLにおける保湿剤の評価>
※ 記載順(GL番号:推奨度:エビデンスレベル:保湿剤の効果:使用方法)
① B:2a:軽症中等症に対するステロイド減量効果、維持療法として有効:1日2回以上塗布、消費量として成人500g/週(幼児は150-200g/週)
② D:ー:保湿剤はファーストラインの治療として推奨、ステロイド外用薬減量効果あり:皮膚水分保持のために入浴後に塗布
③ A:I:疾患重症度・抗炎症薬の減少に強いエビデンスを持つ:使用量や使用回数に関する系統的研究はないが、十分量・頻回塗布が必要であると一般的には考えられる
④ A:2:1日2回のヘパリン類似物質の外用は再燃を有意に抑制する:1日2回が原則、再燃を生じないことが確認されれば漸減・間欠投与に移行
⑤ ○:ドライスキン・障害された皮膚に対するスキンケアとして推奨:1日2回の外用が1回よりも保湿効果が高い、一般的には入浴直後に使用すると説明
各国のGLに微妙な違いはありますが、総じて保湿剤の使用を推奨しています。①の欧州では使用量の記載もあり、すごく多い気がします・・・。
回数は1日2回が基本。
日本の大矢先生のグループによる研究でも、1日1回塗布では卵アレルギー感作が防げなかったけれど、1日2回塗布して完璧にドライスキンをコントロールしたら減ったと報告しています。
<石けんの使用のメリットとデメリット>
医師対象の某ワークショップWebアンケートによると、
・石けんの使用を勧める理由ベスト3;
① 皮膚表面の汚れ(汗、垢など)を取り除く
② 皮膚表面の黄色ブドウ球菌の繁殖を抑える
③ 皮膚に残った外用薬を取り除き、経皮吸収をよくする
・石けんの使用を勧めない理由ベスト3:
① 皮脂を落として搔痒感が強くなる
② 入浴又はシャワーで汚れは十分落とせる
③ 石けんの刺激感が皮膚症状を悪化させる
石けんを勧めない理由①は、入浴後に保湿剤でスキンケアすれば解決しそうです。
なお、私自身(ドライスキン傾向あり)が「石けんなし」を数ヶ月試したことがありましたが、気がついたら肌が痒くなり掻き壊してガサガサ・ザラザラになってしまいました。
なので、患者さんにはケース・バイ・ケースで指導しています。基本的には「泡立たせて石けん使用、それで皮膚が荒れるようなら一旦中止して様子観察」です。
<石けんを泡立てることの利点>
① 少量の石けんで広い面積を洗うことができ、石けんの過度の使用を防ぐ
② 皮膚への摩擦を減らす
③ 泡立てた細かい泡は、汚れを包み込み効率的に汚れを落とす
④ 石けんが流れやすくなり、皮膚への石けんの残留を減らす
石けんを泡立てる理由は「泡が油汚れを浮かせて落とす」と説明されてきました。きめ細かい泡の方がよいようで、当院では百均で売っている「ほいっぷるん」をお勧めしています。女子の洗顔用グッズとしてベストセラー商品だそうです。
<保湿剤に求められる作用>
① 角質柔軟化作用
② バリア機能
③ 保湿機能
よく見かける表ですが、ポイントを;
(ワセリン)油なので、加湿作用はありません。乾燥している皮膚に塗っても潤うことはなく、保護する(1枚膜を張る)だけです。なので「入浴後」の塗布が望ましいわけです。朝、塗る前にすでにカサカサがひどかったら「霧吹きで潤わせてから塗ってください」と指導することもあります。
幼児期以降ではワセリンはべとついてテカテカするので、(とくに女子は)嫌がるため、クリームタイプや液体タイプの保湿剤に切り替えることが多いです。
軽い保温作用もあるので、夏期に熱心に塗っていると汗疹の原因になり得ます。
また、油ですので水・お湯では落ちにくく、石けんの使用が必要です。
※ 「鉱物油とは(パラフィン・ワセリン・ミネラルオイル)」(リップクリーム店ビーズグロスHP)
・・・このHPを読むと、3つの物質はすべて石油から作られており、
・パラフィンは固形でロウソクの原料
・ワセリンは半固形
・ミネラルオイル(=流動パラフィン)は液状
なんだそうです。「ミネラルオイル」って言葉の響きがいいですが、この場合の「ミネラル」は電解質(ナトリウムやカリウム)ではなく鉱物という意味で、直訳すると「ミネラルオイル=鉱物油」となります。
(ヘパリン類似物質)使用感がよいのですが高価なのが玉に瑕。100gが3000円、ジェネリックでもその2/3程度。近年、「医療費を圧迫している」「健康女性がファンデーション代わりに使用しているのはイカン」などとよく話題になります。
(尿素)ウレパール®やパスタロン®という名前です。角質柔軟化作用に優れ、肘やかかとのガサガサがよくなります。ただ、傷があるとしみて痛い。子どもはこれを一度経験すると、逃げ回って塗らせてくれなくなります。しみて痛いところは湿疹前状態なので、保湿剤だけではよくならない証拠と捉えることもできます。
私自身、尿素軟膏を塗っていた時期がありました。入浴後に尿素軟膏を塗ると、翌朝すごくカサカサする(悪化する?)のでやめました。
(セラミド)唯一、三つの作用をクリアしている保湿剤ですが、不思議なことに処方薬には存在しません。市販品は高価ですね。
(ビタミンE配合)処方薬であるユベラ®軟膏です。基剤はパラフィン/流動パラフィンですから、ワセリンとそう変わりません。ビタミンAも入っています。
当院では、主に3つの保湿剤を処方しています。季節や皮膚の状態で使い分けています。
これらを選んだわけは「安い」から、そして実際に自分たちで試して決めました。
① プロペト:別名「眼科用ワセリン」:唯一、「目に入っても大丈夫」と書いてある貴重な保湿剤です。ワセリンより少し柔らかい印象で、冬季中心にカサカサ感がひどい患者さんに。顔面は外にさらされて乾燥しやすいので、季節にかかわらずプロペトが基本です(本人が嫌がらない限り)。
② 親水クリーム:ワセリンを25%含んでいるクリームで水溶性です。つまり水やお湯で落ちます。このクリームは患者さんにより好みが分かれ、リピーターになるヒト、「広げにくいからイヤ」と好まないヒトに分かれます。
私自身は、親水クリーム愛用者です。
なぜか私、ワセリンを塗るとその場所が温かくなって痒くなるのですが、親水クリームはまったく刺激がありません。
③ グリセリンカリ液:別名「ベルツ水」:グリセリンは天然保湿因子でもあります。プロペト、親水クリームより角質軟化作用に優れている印象があり、四肢のカサカサ感がなかなか消えない乳幼児(とくに触ると硬い感じの時)に頻用しています。
グリセリンカリ液の添付文書には「皮膚軟化剤」「効能・効果:手足の亀裂性・落屑性皮膚炎」とあり、アルカリ性が強いとの情報もありますので、顔面には使用していません(参考:「グリセリンとグリセリンカリ液」「グリセリンカリ液の使い方、グリセリンと違う?」)。
なお、「ベルツ水」という名前の由来は、明治時代に来日した医師のベルツ博士(草津温泉を世界に紹介した人物)が、温泉旅館(箱根富士屋ホテル)で働く仲居さん達の手荒れを見て、何とかしてあげたいと調合したのが始まりだそうです。
<まとめ>
Q1:アトピー性皮膚炎に効果的な入浴頻度は?
A1:1日1回以上、汗をかいたり汚れたときは適宜追加する
Q2:入浴時あるいはシャワー浴に体を洗うのに石けん(固体と液体)を使用するように勧める?
A2:汚れなどを落とすのに石けんの使用は必要。石けんはよく泡立てて使用し、しっかりと洗い流す。
Q3:保湿剤は、いつ・何回・何を塗るのが効果的?
A3:朝と入浴後、1日2回、患者さんの皮膚に合う者、好むものを使用する。
Q4:保湿剤とステロイド外用薬、どちらを先に塗るのが効果的?
A4:どちらが先でも臨床的効果は変わらないようなので、続けやすい方法を選択する。