小児アレルギー科医の視線

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オウム病の感染源は、オウムではなくインコが最多、ハトが次点

2017年07月30日 07時34分46秒 | 感染症
 「オウム病」はクラミジア(Chlamydia psittaci 以下C. psittaci)による人獣共通感染症です。
 名前からしてオウムが危険と考えがちですが、実際の感染源はインコが最多、ハトが次点だったという記事を紹介します。
 稀な感染症ですが重症化することもあり、あなどれない感染症です。また、抗菌薬(テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系)が有効であり、忘れてはいけない感染症でもあります。

■ オウム病の感染源、インコが最多-感染研が解析、妊婦死亡で注意喚起も
CBnews:2017/07/19
 国立感染症研究所は10日、ハトやインコなどのふんを介して感染する「オウム病」の解析結果を公表した。感染源とされた鳥類はインコが最多で、特に女性の症例で多かった。死亡は3例あり、このうち1例は妊婦だった。同研究所は「妊婦は感染源となりうる鳥類等への接触を避けるよう配慮するべき」としている。
 オウム病の主な感染源はインコやハト、オウムなどで、ペットショップや公園、飼育場所の自宅で病原体が入った排泄物を吸い込むことで感染する。潜伏期間は1-2週間で、せきや急激な発熱を伴い発症。肺炎や気管支炎などを引き起こし、多臓器障害などで死亡するケースもある。感染症法上は4類感染症に分類されており、診断した医師が最寄りの保健所に届け出る義務がある。
 同研究所は、2006年4月から17年3月までに、感染症法に基づいて報告された症例のうち、病原体や遺伝子の検出、抗体の検出が確認できた129例を分析した。都道府県別では、東京と神奈川が共に12例で最も多く、以下は大阪(8例)、宮城と愛知(共に7例)、栃木と香川(共に6例)、埼玉、広島、福岡(いずれも5例)などの順だった。
 症状(重複あり)は発熱(125例)、咳嗽(71例)、呼吸困難(35例)、頭痛(32例)、筋肉痛(24例)、意識障害(17例)などで、所見は肺炎が92例あった。届け出時の死亡症例は3例あり、このうち1例は20歳代の妊婦(妊娠20週)だった。この3例の発症から死亡までの日数は4-6日だった。
 感染経路も調べた。動物などからの感染が確定(推計を含む)した症例は110例(男性63例、女性47例)で、3例がペットショップに勤務していた。110例のうち101例が鳥類から感染したとみられ、インコが56例(男性21例、女性35例)、ハトが27例(男性26例、女性1例)あった。
 同研究所は「妊婦等においてオウム病が疑われた場合には、検査用の検体を採取後、速やかに抗菌薬による治療を行うことが肝要」と指摘。また、推定感染源を特定し、感染拡大を防止する必要性も挙げている。
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