新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

国際紛争の解決には日本の存在感は皆無である

2023年06月26日 12時01分48秒 | 岸田文雄外交

平和ボケしている国内では、こんな世襲政治屋が息巻いていた。
 
河野太郎氏、マイナで陳謝 野党の批判に「おまえが始めた」愚痴も
 


 
まあ、心底から責任を感じない輩なのでこんな愚痴も簡単に飛び出したのであろう。
 
ところで、先週末から「遂にロシア内でクーデターか!」と期待を持たせた内輪もめによって、週明けの朝の情報番組では、ロシア問題に精通しているジャーナリストや専門家が登場してそれなりの見解を述べていた。
 
そして少なくともこのロシアが仕掛けた侵略戦争は簡単には解決しないだろうという結論であった。
 
それにも関わらず、戦後復興を見据えたウクライナ復興会議が、6月21、22日、ロンドンで開催されたという。
 
なんとなく胡散臭さを感じるのだが、タイムリーに自称国際政治学者がこんな記事を発表していた。
 
【舛添直言】停戦の見通しもないのに…ウクライナ復興会議の秘めた『下心』
 

ウクライナ軍は反転攻勢の手を緩めていないが、ロシア軍も地雷を敷設するなどして抵抗しており、期待通りには進んでいない。ゼレンスキー大統領も、「希望よりも遅れている」と述べている。
 そのような中で、戦後復興を見据えたウクライナ復興会議が、6月21、22日、ロンドンで開催された。主催は、イギリス政府とウクライナ政府で、61カ国の政府関係者、企業、国際機関、市民団体の代表者1000人以上が参加した。ブリンケン米国務長官、林外相も参加した。
■「政治」不在の現実離れした対応
復興会議よりも前に停戦の実現に努力すべきだと思うが、復興会議参加者にはビジネスの思惑が見え隠れしている。多くの死傷者を出して貴重な人命を犠牲にしているのは、ウクライナとロシアであり、アメリカをはじめNATO諸国の兵士の血は流れていない。したがって、停戦へのインセンティブもないのである。
 ベトナム戦争のときは、若いアメリカ人兵士が犠牲になり、全米で反戦の大きなうねりが巻き起こった。しかし、今回の戦場はウクライナであり、米兵はいない。アメリカ人から見れば、戦争は遠く離れた海外での話であり、関心も無い。戦争が引き金となって物価が高騰していることに不満はあっても、またウクライナ支援に税金が注がれていても、それが早期の停戦を目指す大衆運動にまでは至っていない。
 また、ベトナム戦争は、朝鮮戦争と同様に、米ソ冷戦の真っ只中の出来事であり、韓国や南ベトナムがアメリカの、北朝鮮や北ベトナムがソ連の代理として戦っているという側面もあった。朝鮮戦争では、中国の人民解放軍、そして国連軍の一員として米軍が参戦した。ベトナム戦争では米軍が北ベトナム軍・ベトコンと戦火を交えている。
 ウクライナ戦争で巨万の富を得ているのは、アメリなどの軍需産業である。戦争が継続することに大きな利益を見出している。しかも、「民主主義を守るための戦い」という錦の御旗を掲げれば、本心を隠蔽するのは容易である。負担をしているのは、アメリカ、ヨーロッパ諸国、日本などの納税者であるが、民主主義防衛というタテマエでその不満を抑えることができる。
 基本的人権、人命尊重という観点からは、一日も早い停戦が望まれるが、そうしないかっこうの理由が山ほどあるのである。
 国際法違反の侵略を行ったのはロシアであり、ロシアが武器を置けば済むことである。まさに正論であるが、そうならない現実をどうするのか。奪われた領土を奪還するまで戦う、だから武器支援などを継続するのみならず、さらに拡大せよというゼレンスキーの意気込みは結構であるが、その希望が実現するまでにどれくらいの時間が必要で、どれくらいのウクライナ人の犠牲と、西側の納税者の負担が必要なのか。
「暴力」の対抗概念として「政治」を位置づけたときに、正論ではなく、現実を直視して最適解を見出すことが必要である。繰り返し言うが、米兵や英兵の血が一滴も流れない以上は、英米の政治指導者はそのような意味での「政治」を実行する圧力からも自由なのである。
■マーシャル・プランを振り返る
 1945年8月に第二次世界大戦が終結し、戦後の国際秩序の構築が始まった。スターリンのソ連は勢力圏の拡大に腐心したが、共産主義が世界に拡散することへの警戒心は西側に強く、1946年3月5日、アメリカのミズーリ州のフルトンで、チャーチル前英首相は、「バルト海のシュテッティンからアドリア海のトリエステにかけて、大陸を遮断する鉄のカーテンが降ろされたのであります」と演説した。東西冷戦の開始を告げる有名な「鉄のカーテン」演説である。
 アメリカのトルーマン大統領は、1947年3月、東西冷戦の開始を認め、全体主義によって自由を抑圧されている人々を援助することが自由なアメリカの責務であるとして、自由主義陣営と全体主義陣営の戦いという二元図式を提示した。
 そして、全世界的規模で共産主義陣営を「封じ込める政策(コンテインメント)」の必要性をうたった。「トルーマン・ドクトリン」である。これを受けて、1947年6月5日、アメリカのマーシャル国務長官は、ヨーロッパ経済復興計画を発表する。アメリカが、欧州諸国に大規模な経済援助を行い、戦後復興を助けるという内容で、正式には「欧州復興計画(ERP)」と言うが、「マーシャル・プラン」と呼ばれた。
 この計画は、欧州復興を促進するという目的とともに、アメリカの機械や農産物を購入させて米産品の販路を確保し、アメリカ経済を活性化させるという狙いもあったのである。また、経済の安定によって、西欧への共産主義の浸透を防ぐという政治的目的もあった。
 第一次世界大戦後の国際秩序を決めたベルサイユ条約は、敗戦国ドイツに対して、領土削減や軍備禁止に加えて、過酷な賠償を科した。そのためにドイツ人の生活は困窮を極め、戦勝国に対する不満が高まった。それに乗じて台頭し、民主的な選挙で第一党にまで到達したのがナチスであり、1933年1月にはヒトラー政権が誕生した。そして、1939年9月には、ヒトラーはポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が始まった。
 この歴史の反省の上に、第二次世界大戦の戦後処理では、アメリカは敗戦国の経済復興を支援する方針を強く打ち出したのである。
 マーシャル・プランは、形式上はソ連や東欧も参加できることになっていたが、スターリンは、アメリカが西欧を支配し、ソ連を封じ込めようとする意図を見抜き、マーシャル・プランには参加しなかった。
 チェコスロバキア、ポーランド、ハンガリーはマーシャル・プランによる援助を受けていたが、スターリンはそれを差し止め、その代わりに、ソ連が援助を行うというモロトフ・プランを発表した。これが、1949年1月にコメコン(COMECON、経済相互援助会議)に発展するのである。
■戦争で儲けて、復興でも儲ける
 マーシャル・プランの表向きの政治目的は、敗戦国のイタリア、(西)ドイツ、日本の復興を支援し、西側陣営に引き留めることであった。しかし、ビジネスの観点からは、アメリカ製品や農作物のマーケットを確保、拡大することに大きな目的があった。

 今回のウクライナ戦争の場合、停戦も実現していないし、ロシアが敗北することが明らかでもない段階で、なぜウクライナ復興会議を開くのか。停戦実現に全力を注ぐべきではないのかという疑問を多くの人が抱くのは当然である。
 世界銀行やウクライナ政府などの3月の推計によると、ウクライナの復興に必要な金額は4110億ドル(約58兆円)だという。ウクライナの2022年のGDPの2.6倍である。細目は、輸送関連が920億ドル、住宅が690億ドル、エネルギー・資源関連が470億ドル、社会保護が420億ドル、地雷除去や爆発物処理が380億ドル、農業が300億ドル、商工業が230億ドルなどとなっている。
 復興に参加する世界中の企業にとっては、大きな、そしてリスクなしの安全なビジネスチャンスとなる。まさにケインズ的公共事業であり、オンラインで会議に参加したゼレンスキーは、いみじくも「ウクライナはヨーロッパで何十年にもわたって経済、産業、技術の成長の源となるだろう」と述べている。要するに、「復興に参加すれば大儲けできますよ」と強調したのである。
 スナク英首相は、企業の投資を促進するために戦争保険を導入し、ウクライナへの投資リスクを軽減させるという。この種の保険は、イギリスの保険会社の得意分野であり、ロンドンの金融街を潤わせることに繋がる。スナクは、金融ビジネス出身というだけあって、儲けには鋭敏である。
■汚職大国、ウクライナ
 さらに問題なのは、ウクライナが汚職大国であることである。Transparency Internationalの調査による腐敗認識指数世界ランキング(2021年)をみると、全対象国180カ国中、最もクリーンな1位はニュージーランド、2位がフィンランド、3位がデンマークとなっている。日本は18位である。ドイツが10位、イギリスが11位、カナダが13位、フランスは22位、アメリカは27位、イタリアが42位である。
 最下位の180位は南スーダンである。ウクライナは122位で、ロシアは136位である。いずれも汚職が当たり前の政治風土となっている。
 戦争中にもかかわらず、ウクライナでは政府高官が賄賂を貪るという信じがたい腐敗が蔓延しており、これではEUに加盟する資格などない。
 ウクライナの調査研究機関「キーウ国際社会学研究所」が6月19日に公表した世論調査によると、ロシアの侵略が終結した際、ウクライナ政府の閣僚など中央権力の構成に何らかの変更が必要だと答えた人が73%に達したという。政府高官の汚職などへの不満である。
 復興のために、我々が血税を投与しても、その4分の1は賄賂で消えていくという。それでも投資する者は、よほどのお人好しであるが、賄賂で消える分以上の儲けが転がり込むとあれば、手を挙げる企業は後を絶たないであろう。
 戦場で失われていく人命などを考慮することもなく、ただハイエナのように餌に飛びつく姿はあまり美しいものではない。
 
戦争が始まれば儲けるのは「軍需産業」であり、戦後の復興には金融関連企業ということになり、「復興」という名目でそこの住民が豊かになったという話は聞いたことがなく、国内では2011年の3.11東電福島第一原発大事故の後始末は10年以上たっても、避難住民の多くは故郷には帰ることができていないという厳然たる事実がある。
 
話をウクライナに戻すと、実はこのような動きもあるという。
 
世界がウクライナを見捨てる日。戦況次第で支援から手を引く米国の裏切り
  

■“失言癖"で反撃。バイデンが習近平を「独裁者」呼ばわりした訳
バイデン政権が発足してから初めて中国を訪れた閣僚となったブリンケン国務長官。
到着後、秦剛外相、実質的な外交トップを務める王毅政治局員と長時間にわたって会談・協議し、国際社会の注目は【果たして習近平国家主席はブリンケン国務長官に会うのか?】という一点に向けられました。
結果的には習近平国家主席とブリンケン国務長官の“面会"は実現したのですが、その“面会"の設えは非常に印象的なものでした。
冒頭の握手こそ横に並んで行われましたが、実際の“面会"は、習近平国家主席が全体を仕切る位置に座り、カメラから見て左側にアメリカ政府代表団、右側に中国政府高官が座るという設えでした。
これが何を意味するのか?
「ブリンケン国務長官は、習近平国家主席のカウンターパートではなく、直接会談や協議を行う対象ではない」という強いメッセージではないかと考えます。
CNNやBBCは「習近平国家主席はまるで皇帝のような印象を与え、アメリカの国務長官の訪問・謁見を受けているようにふるまっていた」と伝えているように、習近平国家主席はブリンケン国務長官に対して“何をすべきで、何をすべきでないか"を説くことはしても、ブリンケン国務長官の意見は求めないという姿勢を貫いたように私は見ました。
ある描写ではイギリス政府からの使節団を迎えた中国皇帝の姿(注‐これに激怒した英国政府がアヘン戦争を中国に仕掛けたと言われている)と重ね合わせるような表現がなされていましたが、今回はどうだったでしょうか?
これでアメリカ政府が怒っていきなり中国に対して戦争を仕掛ける可能性はないですが、“失言癖"を持つバイデン大統領は早速、演説の中で習近平国家主席を独裁者と表現をし、しっかりとカウンターパンチをお見舞いし、「アメリカは中国の上から目線の姿勢を許容しない」ことを示したと思われます(ただし、どの口がいうのか?という冷淡な皮肉が各国から寄せられていることは、報じられていませんし、ただの失言だったという可能性は決して否定できません)。
しかし“習近平国家主席がブリンケン国務長官に会った"という事実は、中国側の強硬な姿勢の中で、本当にぎりぎりの線で放ったメッセージで「中国としてもアメリカとの直接対決は望まず、互いに敬意をもって、それぞれの意思を尊重する付き合いをする」という姿勢を表現したものだと考えます。
アメリカ政府側がそのメッセージをそのように受け取ったかどうかは分かりませんが、経済面での歩み寄りや緊張緩和、そして気候変動問題への取り組みといった分野では協調に向けた協議を進めることとなったようで
■軍幹部同士の協議体の再開にゼロ回答を突き付けた中国
しかし、アメリカ政府側が執拗に“中国共産党にとっての核心的利益"である中国統一と台湾の位置づけ(One China)に対して対決姿勢をとったことを受け、アメリカ政府側が望んでいた軍幹部同士の協議体の再開については、中国政府はゼロ回答を突き付け、外交・安全保障面では張り合う姿勢を強調したと感じます。
会談に同席した外交部の関係者によると、「アメリカ側の態度は、バイデン政権発足後、すぐにアンカレッジで行った米中会談時に、当のブリンケン国務長官とサリバン大統領補佐官によって示された“上から目線の命令調"を思い起こさせた。アメリカサイドは何一つ変わっていないのだ」と感じたそうで、「アメリカは中国側の利害をしっかりと考えることなく、自身の都合の良いシナリオで進めようとしている。その動きにはもうだまされない」と考えているようです。
アメリカ側の意図は、聞くところによると「経済・貿易・台湾をめぐる考え、ロシア・ウクライナ戦争への対応などにおいてはなかなか両国が妥協できる状況にはないが、偶発的な両国間の衝突が起きないためには、少なくとも軍同士で意思疎通が図れるチャンネルを保っておく必要がある」という考えから、米中の軍当局間のダイレクト・チャンネルが必要との認識のようです。
それに対し中国側の考えは「一旦、米中間で“衝突しない"というお墨付きを与えるような枠組みに乗ってしまったら、アメリカが中国の利害を慮るようなことにはつながらず、さらに中国に対して一方的な攻撃と非難を重ねることになる。そのような意図が分かっていて、アメリカが望むシナリオに簡単に乗ることはない」というもので、真っ向から対立しているように見えます。
ゆえに中国政府としては、アメリカが求めた米中の安全保障担当・軍の幹部同士のチャンネルの再開には応じられないとの姿勢を堅持しています。
その姿勢の理由の一つが「ウクライナ問題の解決をめぐる主導権争い」です。それは「ウクライナの戦後復興における利権拡大の動き」(6月21日‐22日にロンドンで開催されているウクライナ復興支援会議への牽制)も含みますが、【どのようにしてロシアとウクライナの戦争を終結させ、その後の新しい現実において自国の利益と力を拡大するか】という争い・競争がすでに激化していることを示しています。
■反転攻勢本格化も実情は苦戦のウクライナ軍
ではその“ロシア・ウクライナ戦争の現状"はどうなっているのでしょうか?
先週号でも触れましたが、双方ともに戦果を強調する激しい情報戦が繰り広げられています。
ウクライナ軍曰く「ロシアに不法占拠された集落を8つ奪還し、その勢いは止まらない」「ロシアの地上部隊に対する攻撃に加え、ドローン攻撃で戦車などを無力化している」と主張していますが実際にはどうなのでしょうか?
ウクライナ軍による反転攻勢は確かに本格化し、激化しているようですが、ゼレンスキー大統領が認めているように、そのスピードは想定していたよりもはるかに遅く、苦戦しているのが実情だと考えられます。
そのような分析に至る理由ですが、8つの集落を奪還したと報じている半面、マリウポリなどの主要都市はまだ奪還できずに苦戦しており、ウクライナ東南部のロシア軍に対して効果的な攻撃を加えられていません。
ウクライナサイドの分析を援用すると、ウクライナ軍内でNATOから供与された最新鋭の武器・装備に対する習熟度がまだまだ低く、ゆえにそれらの兵器が持つポテンシャルを活かしきれていない状況下であり、まごついているところにロシアからのピンポイント攻撃が襲い掛かってきているとのことです。
それは実はロシア軍側の戦術の変化によるものと考えられます。
■プーチンの意思を代弁か。プリゴジン「過激発言」の意図
英国の王立戦略研究所によると、「ウクライナ軍が近く反転攻勢にでる」という情報をかなり前から得ており、ロシア軍は反転攻勢に備えるため、占拠地域からロシア軍の部隊を周辺の主要都市に一旦後退させて、攻撃と防御の態勢を立て直すと同時に、攻撃の仕方もアップグレードしているようです。
これまでに比べて大規模なミサイルおよびドローンによる攻撃を加え、ターゲットをキーウ周辺、リビウ(西部)、東南部などに分散させ、同時攻撃をかけることで確実にインフラを破壊し、補給路を断つ戦術を強化しているようです。
そのような中、“ロシア軍不利"の情報や、“ロシア軍内の分裂"などがワグネルのプリゴジン氏によって主張されていますが、彼のこの情報戦術をそのまま鵜呑みにするのは危険で、実際にはワグネルも、最近、ロシア軍との契約締結に至ったチェチェンの武装勢力も、手ぐすねを引いてウクライナ軍と義勇軍を待ち構えています。
プリゴジン氏の激しい批判は、主にロシア防衛相のショイグ氏やロシア軍の幹部に向いていますが、ロシア内の混乱を演出するという狙いのほかに、プーチン大統領の意思を代弁しているという見方もでき、国内のナショナリストの闘争心に火をつけるという役割を担っているようです(ちなみに、ショイグ国防相などのサイドは、並行して和平協議の機運が生まれた際に、ロシアに有利に働くような工作と準備を担っているようです)。
ウクライナによる反転攻勢は本格化していますが、この戦争は長引く公算が高くなっていると思われます。
■アメリカがしかねない「強烈な決断」   
ウクライナの戦争継続と、ロシア軍をウクライナから追い出し、侵略の意図を潰すためにはNATO諸国による支援が不可欠になりますが、実際にはどうなのでしょうか?
NATO諸国は継続的な支援を口にするものの、迅速な供与と支援の継続については、二の足を踏んでいる感があります。
反転攻勢に向けて積極的に支援を増大するという政治的な決定を行ってきたNATO諸国ですが、これまでのところその支援も思っていたほどの効果を挙げておらず、国内外からの非難の的になり始めています。
これ以上の国内状況・世論の悪化を懸念し、NATO諸国は、温度差はありますが、総じて様子見の雰囲気が漂い、コミットメントも揺らいでいるように見えてきます。
支援の継続については、実際にはウクライナからの求めに反し、タイムラインをpermanentにせず、“状況を見て判断"に下方修正してきています。この動きは、欧州のNATOメンバーに共通する動きです。
アメリカについては、大統領選が本格化するにつれ、あまり気前のいい支援を継続できない政治的な理由に加え、“中国の動きに備える"という大目的のため、戦力を大幅にウクライナに割くことが出来ない事情が見え隠れします。
ロシア・ウクライナ戦争に対する大盤振る舞いの支援の方針を受けて、これまでのところ兵器産業・軍需産業はどんどん生産を続け、供与することで大盛況ではありますが、忘れてはいけないのは、アメリカが前線にアメリカ軍の兵士を送って、ウクライナのために戦うシチュエーションは想定されていませんし、今後もそれは起こり得ないことです。
現時点では、まだ米連邦議会上下院は、超党派で親ウクライナではありますが、アメリカが対ウクライナ支援の大部分を負担していることと、その継続の可否については、意見が一枚岩とは言えず、特に共和党側は一般的に拡大の一途を辿る支援の傾向に難色を示しています。
また、広島サミット前後で大騒ぎになってきた国内の債務に対する議論と手打ちにおいても、対ウクライナ支援にかかる法律の期限は変わっておらず、現在の大盤振る舞いの支援は8月末までの期限付きであることも忘れてはなりません。
何らかの条件付きで延長され、アメリカによるウクライナ支援は継続するものと考えていますが、これから8月にかけての戦況によっては、手を退くという強烈な決断をしないとも限りません。
■台湾有事の際にも前線には出てこない米軍
その可能性を感じさせたのが、先述した今週行われたブリンケン国務長官の訪中です。
米中間の協議のチャンネルは再開され、今後の対話継続に向けての機運は出来ていますが、和解に至り、協調関係に戻る見込みは低く、特に来年の米国大統領選挙において、再度トランプ大統領が登板するか、共和党政権になった場合に備え、中国が積極的な変化を控え、様子見になっていることは確かです。
また軍事的な対話チャンネルの再開は、中国サイドからのゼロ回答によって見通しが立たない状況で、米中間およびそれぞれの同盟国を巻き込んだ戦いが、台湾海峡およびその周辺を舞台に繰り広げられることも想定すると、アメリカとしては、台湾有事に備えるための余力を確保しておく必要があり、これ以上、ウクライナに対して支援を拡大する余裕がなくなってくると思われます。
ただ、気を付けておきたいのは、台湾有事が起きた際、グアムや在日米軍基地、もしくは在韓米軍の施設などの“アメリカの基地"が直接中国に攻撃される場合を除き、アメリカ軍が実際に戦闘の前線に加わる可能性は、今回のウクライナ戦争のケースを見ても想像できるように、かなり低くなります。
代わりに今回のウクライナ型のコミットメントが選ばれ、武器弾薬・兵器の供与や支援は行うが(そしてまた軍需産業が潤うが)、戦闘には直接的には参加しないというシナリオが有力になってきます。
同じことは、北朝鮮と中国が絡む朝鮮半島有事でも同じことが起きるでしょう。実際には戦うのは韓国軍と台湾、そして日本の自衛隊で、そこにアメリカが後方支援を加えるというシナリオです。
ちなみに、アメリカ政府内そしてシンクタンクなどの分析では、まだアメリカは中国と軍事的に対峙する準備が出来ておらず、できればしばらくはそれを避けたいと考えているようで、それが中国との軍事的な対話チャンネルの再開要求に繋がっていると言われています。
■インドのモディ首相を国賓待遇で迎える米国の思惑
そして、同時に広域アジア太平洋地域におけるプレゼンスを保ち、力の有利を保つために、日韓を仲直りさせ、台湾を取りあえず強化し、そして地域の大国であるインドとの関係改善に注力しています。
その表れが【インド・モディ首相の国賓待遇での訪米】です。
アメリカ議会上下院両方で演説するという待遇を与え、アメリカの主要ビジネスリーダーにも働きかけてインドへの投資をアメリカ政府が後押しするというアレンジもしています。
例えば、イーロン・マスク氏をはじめとするITのリーダーたちとモディ首相との会談の場をサポートし、両者間に存在した障壁の解決にもアメリカ政府が一役買うという至れり尽くせりなおもてなし攻勢をかけているのもその理由です。
今回のモディ首相の訪米の目的は、表向きは米印安全保障協力の強化とされていますが、アメリカ側の実際の狙いは、ロシアと密接な関係を保つインドをこちら側に寄せ、インドに南アやブラジルといったグローバルサウスの核の仲間たちに働きかけを期待し、インドを通じて、グローバルサウスの国々のロシア・中国離れを進めてもらいたいという意図が見えてきます。
ちなみにインドの狙いは、ロシア・中国と、欧米との中心に位置することで(物理的にも、地政学的にも)、インドとその仲間たちの利益を拡大するために、アメリカとその背後にいる仲間たちとの関係維持と強化を狙いつつ、IT技術をはじめとする技術協力のハブとしてインドを位置づけさせ、さらなる経済発展のためのトリガーにしたいとの思いが存在します。
インド政府としては、アメリカや欧州各国が狙うような“中国の勢力拡大に対する防波堤"になるつもりはなく、代わりにアメリカを拡大する中国の脅威に対する防波堤に使いたいと願っているようです。
■米国を「中国の驚異の防波堤」に使いたいインド
モディ首相もジャイシャンカル外相も支持基盤は強固であるため、次回選挙でもモディ首相優位は変わらず、ジャイシャンカル外相も続投すると言われているため、アメリカとのちょうどいい距離感を維持することで、インドの国際社会における立ち位置と状況の改善を狙っているとも考えられます。
アメリカとインドが抱くそれぞれの願いが相容れるものかどうか、そして仮にそうであった場合、どのような結果が生まれるのかは未知数ですが、その答えはそう遠くないうちに分かります(ちなみにG7広島サミットにグローバルサウスの国々を招いたことで得られるはずだったプラスは、ゼレンスキー大統領訪問の余波でマイナスになってしまったようですが)。
6月21日から22日にロンドンで開催されているウクライナ復興会議にはG7各国の外相が参加し、それに加え400社を超える企業が参加していますが、58兆円とも言われる必要額と、まだ戦争終結のめどが立たないという非常に不安定な状況下で、どれだけ迅速に投資にコミットできるかは未知数です。
報道は民間企業による対ウクライナ投資の糸口として報じていますが、実際に民間資金をウクライナに注入するには、まだ基盤が揃っていない気がします。
■ウクライナのダム破壊で出来た「穴」を突いてくる中国
そこに追い打ちをかけているのが、実行犯はまだ確定していませんが、被害が拡大し続けるカホウカ(カホフカ)ダムの決壊により、ウクライナの穀倉地帯が水に沈んだことに加え、国連とトルコによる仲介で実施された黒海経由のウクライナ産穀物の輸出ターミナルが使用不可になったことも、先行きをさらに不安にさせる要因となっています。
2021年から運用されていたドニエプル川沿岸(黒海への河口近く)の港湾施設も今回の洪水で大被害を受けて使えないため、穀物・資材などを運び出したり運び入れたりする重要な口が閉ざされ、それもまた民間投資を思いとどまらせる要因になっているようです。
穀物・食料の輸出というカードを用いて仲裁のきっかけとしようとした国連もトルコも重要なカードを失っていますし、トルコのエルドアン大統領も、ウクライナの港湾施設の復旧よりは、まず自国の大震災による被害の復旧が先であることから、今回はあまり積極的に関与できないというジレンマにあたっているようです。
そしてその穴を突いてくるのが、中国政府と中国企業なのですが、いろいろなチャンネルを通じて、中国の影響力が至る所に及ぶきっかけが増えてきているように見えますが、どうでしょうか?
■戦争の長期化でウクライナが世界から見放される可能性も
ロシアとウクライナの戦争は激化と長期化の様相を呈していますが、NATO・G7サイドも、ロシア・中国サイドも、そして第3極たるグローバルサウスの国々(インド、インドネシア、ブラジル、南アフリカなど)とトルコは、すでにPostウクライナの世界における主導権争いに関心を移し始めています。
戦争が長期化し、ウクライナへの欧米諸国からの支援が滞りがちになるような事態が生まれた時には、もしかしたら、ウクライナは世界から見放され、ゼレンスキー大統領フィーバーも突如覚めて(冷めて)、ウクライナ国内での政争が再燃し、その炎が周辺国に延焼していくという、とんでもない状況に発展することになるかもしれません。
EU、NATO、G7の国々はどこまで本気でその阻止に乗り出すのか。そしてそこで日本はどのような役割を果たすのか?
■日本政府だけでなく企業にも求められる具体的な行動計画と戦略
来年にウクライナ復興会議を日本で開催する用意があるという岸田総理の発言を聞いたような気がしますが、それまでにこの戦争が終結しているという見込みはどこにもなく、戦火がその時までに制御不能なレベルにまで広がっていないという保証もない中、どう動くべきか。
政府だけでなく、企業も真剣に様々なシナリオを作り、迅速に実施に移すことが出来る具体的な行動計画と戦略を持っておく必要があると考えます。
私のただの思い過ごしであることを切に願って。


 
もう少し、わかりやすい話はこの老ジャーナリストが最適であろう。
 
本澤二郎の「日本の風景」(4845)
 

<矛盾だらけの日米ロ中の前途は混沌=改憲軍拡日本もSOS>
人間社会を俯瞰して眺めてみると、各国とも2022年に始まったロシア・ウクライナ戦争に振り回されている。各国の為政者は、プーチンを見習って独裁者となって権力を乱用するものだから、矛盾がいくつも膨れ上がる。あちこちで地雷が爆発する。ワルの暴走だ。日本も平和憲法を破壊する天皇制国家主義・神道政治連盟の一団が永田町で蜂起して久しい。
 昨日はロシアの内乱勃発の報に世界各国は振り回された。矛盾の暴発かと世界は注視した。「プーチン独裁もおしまいか」と期待を持たせたが、間もなく萎んだが、クーデターまがいのことは、どこの国で起きる。地球を破壊した人間社会の殺し合いに突っ込んだ岸田文雄の日本も例外ではない。その最たるものが、マイナンバーカードで主権者を凍結させようとして、危険極まりない。
<船頭多くして船山に登る=ロシア軍部の内紛にプーチンお手上げ>
 矛盾は戦争を仕掛けたロシアで表面化した。命知らずの民間軍事会社ワグネルは、いうまでもなくプーチンの懐刀のような別動隊として、一番の手柄を立てていた。これに国防省の正規軍が反発、双方で内紛が始まった。
 いわば「船頭多くして船山に登る」たとえを地で行くようなものだ。ワグネルに武器弾薬を流さないという意地悪に、ボスのエフゲニー・ブリゴジンが怒りの反旗を掲げ、すわっクーデターかとウクライナの黒幕であるワシントンのバイデンを喜ばせた。
 しかし、プーチンが「裏切り者を成敗する」とブリゴジン逮捕をテレビ演説でわめくと、プーチンにまだ利用価値があると判断している仲間が仲裁に入った。 
<不発に終わったロシアの内乱=ベラルーシ大統領が助け船>
 プーチンは、しばらく後になって隣国ベラルーシのルカシェンコに感謝の電話を入れた。ブリゴジンはルカシェンコの説得に応じて内乱は未遂に終わった。
 ふと岸信介や笹川良一らが芽を出させた安倍晋三の別動隊・維新や統一教会国際勝共連合のことを思い出した。先の統一地方選で躍進した維新は、自民党と公明党の地盤を食い荒らし始めた。維新の「身を切る改革」というスローガンは、今の時代にぴったりと合っている。
 昔の自民党であれば、即座に行財政改革を財閥と一緒になって突進する。しかし、3分の2議席に胡坐をかいてしまった自公にその気はない。その間隙を縫って維新は、庶民の心の中に浸透した。
 いまの日本の自民党から共産党までが、世界一の血税を懐に入れて、文字通りゆでガエルの生活をして、民衆の生活苦に見向きもしない。政治屋と公務員だけがコロナ禍の中でも、優雅な暮らしを送ってきている。
 民意をつかみ切れていない政党に国民は怒っている。それでも国会議員や地方議員を削減しようという真っ当な叫びを聞かない。自民党から共産党まで昼寝から覚めない。議会で体を張って抵抗する議員を懲罰動議に掛ける既成政党の政治屋集団でしかない。それでいて岸田内閣は、マイナンバーカードで民衆を縛り付けるものだから、国民の怒りは爆発寸前である。
 プーチンも別動隊の怒りを理解していなかった。危うく殺害される場面でもあった。冷や汗を流した数日であったろう。むろん、ワグネルの暴発を食い止めても、まだどうなるのか、先は読めない。日本もまたロシアの隣国である。プーチンは日本に対しても「裏切り」と認識している。プーチンの危機は、核のボタンに手が近付いている証拠でもある。
<米国も中国も経済は厳しい。矛盾は膨らむ一方でピンチ>
 米国の大統領選挙の行方も混沌としてきている。相変わらず物価急騰と倒産失業ストに追い込まれて、人々に暗い影を投げかけている。当初はバイデンとトランプの2回戦を予想していたマスコミの大統領選判断も狂い始めた。
 民主党の泡まつ候補扱いにされていたロバートケネディJrが彗星のようにワシントン政界に浮上して「アメリカンデモクラシーの確立」を叫び始めた。若者と戦争嫌いが選挙対策本部を固めるだろう。
 日本でいう護憲リベラル派である。オバマ政権の副大統領だったバイデンはというと、そのころから息子と二人でウクライナや中国で利権アサリをしていたことが発覚し始めている。
アメリカ・日本株も危うい。
 中国はコロナ禍の3年間、経済活動を止めたことによる悪影響が、すでに表面化している。人々の生活不安は、習近平不信へと昇華している。物価高もきつい。強権体制がいつまで継続するのか。若者の失業は深刻であろう。

 中国人民はそれでも耐えているようだが、限界もあるはずだ。日米は台湾有事というデマを流し続けている。しかし、そのような余裕などないし、その気もない。台湾独立派の暴走も想定できない。台湾の政治は、均衡が取れているのだから。公園を畑や水田にしているとのネット動画は、中国を知る者にとって痛々しくて見て居られない。
 
G7広島サミットでは水面下で「ゼレンスキー大統領フィーバー」を演出したまではよかったのだが、そのゼレンスキーのG7各国に対する「武
器をクレクレ」要請によって肝心の会議が希薄になってしまい、岸田文雄の思惑も薄れてしまった。
 
結局広島ではなんら平和への道筋も合意できなかったのであった。
 
そのため、その後のウクライナ問題では出番がなくなり、国内向けに「拉致解決へ、北朝鮮と交渉模索 岸田首相『直轄でハイレベル協議』」と言っていたが、安倍晋三も幾度となく試みたことであり、恒例行事として岸田文雄も成果が期待できなくてもパフォーマンスに走っているのであろう、とオジサンは思う。

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