昔の帝国陸軍が外地で敗戦濃厚となり「撤退」したことについての大本営発表は、「転進」だった。
最近似たような話が、ウクライナで起きているらしく、ロシア軍がウクライナ首都キエフを攻めきれず撤退したらしいのだが、「本当の撤退ではなく(部隊の)再配置だ」と米国防総省の見立てがあった。
しかし、傍目からは、「プーチン大統領は大誤算…米英最強「特殊部隊」がウクライナ侵攻前から現地潜入し暗躍」ということらしい。
「米英のチームはロシア侵攻に備えて昨年末から現地入りし、(中略)今もウクライナ国内にとどまり、何らかの活動をしている可能性が高い」
— barryobjectnoir (@andyobjectnoir) March 29, 2022
可能性が高いではなく実際に活動しているようで、FOXのニュース映像に映り込んでいました。この戦争が始まることは、昨年後半から確定していたのでしょうか。 https://t.co/qmkY3nIiSY pic.twitter.com/Vh2d1f5Q21
それにしても日本国内では相変わらず「戦争反対」と意思表示することは問題ないのだが、戦争を仕掛け侵略したロシアのプーチンが「絶対悪」という見方が主流である。
しかしいざ戦争状態になれば明らかに戦場では「殺し合い」になることは歴然としている。
これもウクライナ軍の戦争犯罪。ロシア兵捕虜の処刑映像。マスコミでは絶対に報道されない。https://t.co/HNuV0negMd
— 世に倦む日日 (@yoniumuhibi) March 30, 2022
今まで幾度となくウクライナ問題は「米露間の問題」と言ってきたが、その米国内でも米国のやり方に疑問を持つ少数意見が健在であると、このブログ主は豊富な海外メディア資料をもとに、こう論じていた。
「アメリカでは少数意見が生きている - 保守派の賢者で功臣のG.ケナンの警告」
前回、内田樹と平野啓一郞を批判した。大勢順応と付和雷同と阿世保身としか言いようがなく、残念であり、日本の知的レベルの低さの証左だ。内田樹の23日のAERA寄稿でも、「『ウクライナ政府はネオナチに支配されている』というプロパガンダを信じるのは情報統制下にあるロシア国民だけだろう」と書いていて、ウクライナの政権がネオナチに支配されている事実を否定している。マスコミのCIA御用論者や松原耕二と同じ見方をしていて、それを「陰謀論」として排斥する立場に立っている。 ウクライナがネオナチの巣窟になっていること、極右民族主義が復古台頭してテロを行っていること、彼らがウクライナの政権と軍部を壟断していること、そのバックにCIAがいて資金と謀略工作の支援をしていること、これらのことは、侵攻前までは世界のリベラルの中で一般常識であり共通認識だった。決して「プロパガンダ」などという範疇で括られる事柄ではなく、ロシア国民だけが認識している事実でもなかった。内田樹は、本気でそれを虚妄な政治宣伝だと信じて切り捨てているのだろうか。 日本の言論はまともなものが何一つない。知性のレベルを証するものがない。商売の動機から阿諛追従と思考停止で済ましているものばかりだ。今回の危機と侵攻が始まって以来、私の目に止まって膝を打ったのは、元外交官の浅井基文の議論だけだ。3月6日のコラムでは、侵攻に至った経緯と構図を客観的に整理し考察した上で次のように結論している。これぞ知識人の言葉だろうし、われわれに求められている正しい態度だろう。 私たちとしては、西側論調に振り回されることなく、ロシアがウクライナ軍事侵攻を余儀なくされた原因をしっかり見て取ることが求められる。ロシアの安全保障環境を際限なく損なおうとする西側、特にアメリカの「東方拡大」戦略にあることを見極めなければならない。(略)ロシア糾弾に終始するのは本末転倒であり、私たちは何よりもまず、ウクライナをNATOに加盟させてロシアの息の根を止めようとするアメリカの戦略的貪欲さを徹底的に批判することが求められている。 一方、海外に目を向けると、少数派から少なからず真摯な言論が行われている状況が見える。日本とは様相が異なる。米ジャーナリストのララ・ローガンは、テレビ番組に出演して以下のように論じていた。当を得た論陣であり、勇気がある態度だ。テレビでこの発言を真正面からできるところが日本とは違う。 私たち西側のメディアは、起こっていることの現実を認めていない。西ウクライナは、そもそも第2次世界大戦においてナチスを支援したのであり、ナチスの本部だったのです。実際CIAとアレン・ダラスはウクライナのナチスに対し、ニュルンベルク裁判において起訴に関する免責を与えました。 シカゴ大学のジョン・ミアシャイマーも、少数派の立場から活発に議論している一人で、エコノミスト誌に3月17日に寄稿した『なぜ西側がウクライナの危機に責任があるのか』が話題になっている。講演を撮った動画は現時点で2350万回も再生されている。その発言の中で重要なのは、今回の戦争の責任が欧米にあると堂々と指摘している点だ。 欧米では、プーチンは旧ソ連のような大ロシアを作ろうとする非合理的で常識はずれの侵略者だという見方が主流である。したがって、ウクライナ危機の全責任は彼一人にあるとされている。しかし、それは間違いである。2014年2月に始まったこの危機の主な責任は、欧米、とりわけアメリカにある。 |
冷戦時代と比べればはるかに大量の核兵器が米露に存在し、一触即発となり核兵器が使用されればもはや地球レベルの悲劇が待っていることは言うまでもない。
したがってこの21世紀の大国間の紛争では、より強い「戦争の危機」に対する当事者の緊張感と責任感が問われるのだが、残念ながら両大国のリーダーが次期大統領選挙での勝利という己の保身に走る「小粒」な政治屋に成り下がってしまったことが、最大の悲劇かもしれない、とオジサンは思う。