自民党の政治刷新本部がたとえ「ガス抜き」と言われようが動き出した。
しかしながら、その実態はこんなタイトル記事が如実に表している。
「『まるで集団万引した人間に万引防止策考えさせるよう』 自民党の政治刷新本部の顔触れに透けるやる気のなさ」
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で党内に設置された政治刷新本部。メンバーの複数の安倍派議員に政治資金収支報告書の不記載が判明し、批判が相次いでいる。そもそも裏金の規模が突出する安倍派から最多の10人を起用。幹部に麻生派会長の麻生太郎副総裁らが就き、派閥解消や抜本解決を求める声とはかけ離れている。本気度に疑問符が付く顔ぶれの狙いは何なのか。 ◆渦中の安倍派から10人…首相「排除適切でない」 「特定の人間を排除する『排除の論理』は適切ではない」 政治刷新本部に名を連ねる安倍派議員に裏金疑惑が浮上した13日、岸田文雄首相は記者団に対し、議員の交代を否定した。 「排除の論理」は鳩山由紀夫氏らが1996年、旧民主党を結成する際、新党さきがけのベテラン武村正義氏らの入党を拒否したことを指して用いられ、流行語に。2017年には、小池百合子東京都知事が自身が代表の新党への他党からの合流について一部議員を「排除します」と発言。新党は急失速した。 ネガティブな意味で長年使われてきた言葉を否定することで、人事の正当性を主張した首相。だが、組織的な裏金づくりが疑われる安倍派の議員がメンバーに入ることには、当初から「裏金の世話になっている人が集まっているなら、国民の満足する改革案は出せない」(立憲民主党の泉健太代表)などと批判があった。 ◆若手、青年局、女性局を重視したと言う割に 人選に当たっては「執行部を中心に若手、青年局、女性局など党を挙げ」(首相)たとされるが、ふたを開けると、本部役員38人のうち28人が派閥所属議員。最大派閥の安倍派が最多の10人で、同じく渦中の二階派も2人入った。派閥のバランスに配慮した従来型の人選に見える。 安倍派の10人は、共に参院当選4回で閣僚経験があるベテランの岡田直樹・前沖縄北方担当相(61)、野上浩太郎元農相(56)以外、党女性局長や青年局長を務めるなどした中堅・若手らが中心。大阪府知事を務めた太田房江氏(72)、北海道知事だった高橋はるみ氏(70)は自治体首長としてのキャリアはあるが、国会議員としてはそれぞれ参院で当選2回と、1回。自民党女性局のフランス研修中にエッフェル塔をまねたポーズで写真撮影して批判を浴びた松川るい氏(52)も参院で当選2回だ。 10人の中で目を引くのは、参院当選3回の上野通子氏(65)。裏金疑惑を巡って昨年12月14日、松野博一官房長官や萩生田光一政調会長ら政権の要職から安倍派議員が一掃された際に、首相補佐官を辞任した。1カ月もたたないうちに、改革する立場で復帰していたことになる。 ◆10人の中からも裏金疑惑…「排除が適切」の声 そして今回、この10議員のうち複数に裏金疑惑が浮上。今月下旬とされる通常国会の開会が近づく中、折からの批判はさらに強まっている。 15日午後、東京・新橋駅前。政治刷新本部の話を聞くと「刷新されるべきなのはこの人たちでは」(20代の男性会社員)などと首をかしげる声が多かった。東京都世田谷区のアルバイトの女性(43)は「岸田さんは『排除は不適切』と言いますが、この場合は『排除が適切』なんじゃないですか。(刷新本部がどんな結論を出しても)この段階で信用するのは難しい」と話した。 ◆派閥の「ボス」がにらみ 政治刷新本部の初会合は11日に自民党本部で開催。岸田首相は「国民の信頼を回復するため、日本の民主主義を守るため、党自らが変わらなければならない」と訴えた。16日に党所属議員全員が参加する会合を開くほか、17日には法律や会計の専門家など外部の有識者を招いて議論。月内の中間取りまとめに向けて意見集約を図るという。 ただ、派閥の政治資金パーティーが舞台となった裏金事件にもかかわらず、刷新本部の最高顧問には、麻生派を率いる麻生太郎副総裁が就いたほか、茂木派会長の茂木敏充幹事長が本部長代行となった。森山派会長の森山裕総務会長もメンバーに入る。 そもそも計38人のメンバーには、裏金疑惑がある安倍派の議員を含め、若手・中堅議員が多い。党として事実解明をしない上、派閥の「ボス」の面前で客観的かつ抜本的な議論ができるのか疑わしい体制となっている。菅義偉前首相や小泉進次郎元環境相ら無派閥も幹部に名を連ねて「派閥解消」を訴えるが、派閥存続を唱える茂木氏らとの間で意見集約は難航しそうだ。 ◆本気なら第三者の起用が必須 再発防止策にどこまで踏み込むかも不透明。岸田首相は4日の会見で、党による派閥パーティー収支の監査や、資金の流れが分かるように収入の原則振り込み化などの案を挙げた。しかし▽第三者機関による政治資金の監査▽パーティー券購入団体・個人の公開基準を現行の「20万円超」から引き下げ▽政治家の責任も問う「連座制」の導入—といった野党などの主張に比べて甘さが際立つ。 組織不祥事を巡る「第三者委員会報告書」を評価する活動を行っている青山学院大の八田進二名誉教授(会計学)は、刷新本部の体制について「疑惑のある安倍派議員もおり、集団万引した人間に万引防止策を考えさせるようなものだ。身内のお手盛りで、客観性・公正性を担保できる会議体ではない」と指摘し、第三者の起用が必須と説く。 「本気で信頼に値する改革案を出したいなら、自民党の派閥とは関係のない第三者の独立メンバーに委ねないといけない。それができない岸田首相のリーダーシップと危機感のなさが一番の問題ではないか」 ◆「小手先どころか小指の先の対応」 政治アナリストの伊藤惇夫氏は、刷新本部が一定の結論をとりまとめるまで実質2週間ほどという期間の短さに疑問を呈する。自民党がリクルート事件発覚を受けて、1989年に政治倫理の確立や政治資金の規制などを誓った「政治改革大綱」をまとめた際、自民党スタッフとして関わった伊藤氏は言う。 「当時は1年生議員が声を上げ、党独自で実態解明を進めて問題点を洗い出し、4カ月をかけて大綱を練り上げた。中身は今見ると問題点もあるとはいえ、今回は党として調査もせずに2週間で結論を出す。そんなものが、改革に値する内容になるとは思えない。小手先どころか小指の先の対応で終わるのでは」 ◆選挙で根本から変えるしかない なぜ本気度を疑わせる体制にしたのか。全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士は「誰が見ても問題のあるメンバーを入れて自民党内で政治決着を図る狙いが見え見えで、国民はしらける。能登半島地震もあり、原因を追及せずに問題が風化するのを待っているかのようだ」といぶかり、こう続ける。 「どうせ政治なんか当てにならないと、投票から遠のけば、一部の支持者だけの政治となり、民主主義の危機だ。今回の事件は、パーティー券のお金が、仮に賄賂に使われても分からないという根の深い問題だ。根本から変えるには、やはり選挙しかない。落選への危機感がないから、自民党も本気で対応しない。変えるぞ、という緊張感の中で、政治資金の問題も透明化に向けて前進するはずだ」 ◆デスクメモ 「刷新されるべきなのはこの人たちでは」と街の声。言われてみれば「刷新」がよく使われるのは選挙だ。多選の現職と対決する候補が「市政の刷新」や「県政の刷新」を訴えるのが典型的。「国政の刷新」という言い方はなぜか少ないが、有権者は言葉の意味を正確にとらえている。 |
最近は岸田内閣や自民党の支持率が微増していららしい。
それは、大災害が起きれば、岸田文雄のメディアへの露出機会が増え、閣僚たちへのさまざまな指示を出す光景をテレビメディアがたれ流すからに過ぎない。
「火事場の焼け太り」という不名誉な指摘をされるのが、こんな動きである。
「能登半島地震の復興・復旧に補正予算を組まず予備費で対応…使い道は意のまま「便利な財布」再拡大の懸念」
政府は16日、能登半島地震の復旧・復興に備え、2024年度予算案の予備費を1兆円に倍増する変更を閣議決定した。被災地には財政支援が不可欠だが、予備費の増額のみで補正予算を編成しないのは異例。新型コロナ禍を契機に国会の議決を経ずに閣議だけで使い道を決められる予備費が急拡大し、政府の「便利な財布」が常態化している。 能登地震の復旧・復興に向け、政府は予備費で対応する。23年度予算分は既に47億円の支出を決め、4600億円超が残る。さらに、これから審議が始まる24年度予算案で昨年12月の閣議決定から5000億円を積み増して倍増させる。新年度の予備費は物価高と賃上げ対策に限定した1兆円と合わせて計2兆円に上り、一般会計総額は計112兆5717億円となる。実際に使えるのは国会で予算成立後の4月以降だ。 過去の地震災害では、今回とは違って予備費と補正予算が併用されてきた。能登半島地震と同じ1月に発生した1995年の阪神大震災では約1カ月で最初の補正予算が編成され、2月28日の国会でスピード成立した。能登地震より死者数の少ない北海道地震(2018年)や新潟県中越地震(04年)でも1~2カ月で補正予算が組まれた。 ◆使い道を災害対応に限定せず 補正予算を組まない対応について、財務省幹部は「当面の支出は23年度予備費の残り4600億円で足りる感触だ」と説明する。その上で、7000億円の予備費を含む補正予算を編成した16年の熊本地震よりも被害が大きくなっても対応できるよう、新年度予算案で5000億円増やした。 熊本地震の際の予備費は使い道を災害対応に限っていたが、今回増額されたのは使途が限定されていない一般予備費。「特定の目的にすると対応の柔軟性が損なわれる」(財務省幹部)というのが理由だが、災害以外のことに使用される余地もある。 ◆「政権が便利に使う常とう手段になっている」 例年は5000億円だった予備費は、20年のコロナ禍以降、一時は10兆円ほどまで急拡大した。財政に詳しい大和証券の末広徹氏は「コロナ禍以降、予備費のたがが外れ、政権が便利に使うための常とう手段になっている」と指摘。「年度内の支出が足りるなら、新年度に補正予算を組むか能登地震の対応に限った予備費にするべきだ」と話している。 予備費 災害や経済危機といった不測の事態に備え、事前に使い道を決めずに予算計上する費用。使途を限定しない一般予備費が5000億円規模で計上されてきた。コロナ禍に感染対応に限った巨額予備費が設けられるようになり、物価高対策や賃上げ促進などにまで別枠計上が広がっている。 |
政府自民党だけではないが、「第二自民党」と言って憚らないこの政党は、大阪万博の中止論が広がっていることに対して、今回の能登半島地震の復興・復旧にかこつけて、こんなことを言っていた。
「維新代表、万博中止論に反論 『震災復興にもつながる』」
維新・馬場氏「万博成功が震災復興や経済活性化につながる」
— 山添 拓 (@pioneertaku84) January 16, 2024
万博をなにがなんでも進めようとするあまり、能登半島地震まで利用するという。
明日に希望がもてない状況が続き、緊急にも中長期的にも多くの支援が必要なときに、これが維新の言葉なのか。https://t.co/SnR0pp4L96
一般には、こんな言動を「我田引水」というのだろうが、大阪万博に関してはこんなことまで最近は口走っていた。
「大阪万博、赤字なら政治的責任 維新・馬場代表」
これに対しては、こんなコメントが最適であろう。
はっきり言って、赤字が出てから責任取ってもらっても困るんですよ。税金が注ぎ込まれているのだから。
— 三浦誠・赤旗社会部長 (@redbear2014) January 16, 2024
維新 馬場代表 万博運営費赤字の場合 党の責任の取り方検討万博 https://t.co/ENqARW93fG
さて、自民党の裏金事件に話をもどすと、どうやら岸田文雄の思惑通りに事が進んでいるようである。
「安倍派幹部『裏金事件』立件見送りはシナリオ通り? 派閥ガタガタで岸田首相は目的達成か」
自民党派閥の裏金事件で、東京地検特捜部が安倍派幹部の立件を断念する方向だと報じられている。さんざん幹部立件をにおわせてきたリーク報道は何だったのか。
派閥ぐるみで裏金づくりという“組織犯罪”の一網打尽に期待して、ネット上でも「#検察がんばれ」と盛り上がっていただけに、立件見送り方針に対する失望は大きい。X(旧ツイッター)では「#検察仕事しろ」「#検察は巨悪を眠らせるな」のハッシュタグ投稿がトレンド入りする事態になっている。 全国から応援検事を集めて100人態勢で捜査しておきながら、安倍派幹部をひとりも挙げられないようでは検察の名折れもいいところ。もっとも、この決着はシナリオ通りと見る向きもある。 「当初から、安倍派潰しの国策捜査という見方があった。最大派閥が壊滅状態になれば、岸田政権を支える麻生派、茂木派、岸田派の主流3派が主導権を握り続けることができます。任意聴取が始まっても安倍派の幹部連中は自分たちが逃げ切ることしか頭になく、不安がる若手中堅のケアをまったくしなかったそうで、派内には不満が渦巻いている。幹部の5人衆は求心力を失い、これまでのような集団指導体制を維持することも難しくなっています。安倍派がガタガタになったことで、当初の目的は果たされたということでしょう」(自民党の閣僚経験者) 裏金事件で検察に最も食い込んでいた朝日新聞社会部がまだ「立件見送り」と書いていないことも気になる。 「国会召集日までまだ10日あるので、世論の高まり次第では安倍派幹部の立件もあるかもしれない。今回は立件を免れても検察審査会に持ち込まれるのは確実で、裏金事件はまだまだくすぶり続けます。安倍派の議員や秘書が大規模に任意聴取を受けたことが端緒になって、別の事件に発展する可能性もある。いつ終わるかも分からないグレーな状態が続くことは政治的には最悪で、安倍派はしばらく身動きが取れません」(政治評論家・本澤二郎氏) そうやって安倍派を生殺しにして党内を掌握することが岸田首相の目的だとしたら、あまりにやり口がエゲツない。 |
政治刷新本部で岸田文雄が派閥の解消を唱えていたらしいが、その派閥は当然ながら「安部派」であり、すでに検察と「握っている」と噂されている岸田文雄の目論見が露骨になってきたということなのだろう、とオジサンは思う。