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新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

トランプの張り子のトラにおびえる石破茂

2025年04月13日 11時57分24秒 | 石破外交

大阪関西万博の開幕日にもかかわらず4月中旬にもかかわらず3月のような肌寒い朝を迎えた。
 
関西のすべてのメディアは万博一色らしいのだが、その実態はどんな風なのだったか?!
 





 
さて4月も2週間が過ぎ、この間のまとめをいつもの「在野の」アナリスト」氏の記事から一部紹介。
 
4月2週の動き
 
トランプ関税に対する日本の反応
国民民主の玉木氏や、維新の前原氏などが「早く石破首相が米国に行け」といいますが、何を馬鹿なことを、というレベルです。ディールといっているのですから、何もせずに米国に行ったところで、成果などない。安倍元首相のように、防衛装備品を大人買いする、という条件ではもう通用しません。これは日本がこれまで米投資を最大にしてきた、などという理屈も同じです。それでも米国がこれだけの貿易赤字を抱えるのだから「何とかしろ」と米国は言っているのです。これからどうするか? を提案しないといけません。
しかも石破氏が制裁関税や報復を否定するので、余計に「では何をするか?」を説明しないといけません。個人的に、農水産物の輸入には「米国基準を適用」といえば、日本で見逃してきたポストハーベストが引っ掛かり、日本は輸入できない。輸送方法の見直しなど、コストアップになるので必然的に農産物の輸入拡大、を制限でき、それが交渉材料となる。そうして何か代わりの条件を提示しない限り、今回は日本がマイナスの材料を抱える、ということになるのです。早く…ではなく、確実な条件を持っていく必要があります。
日本が先頭にいる、というのもマイナスです。米国は成果が欲しい。言うことを聞きやすい日本に、とんでもない条件を飲ませて、それを前例として世界各国と交渉するつもりです。つまり米国は日本に大きな成果を求めてくる。早く…なんて言うから、こういう状況に陥ったのです。障壁なんて言っているのも、米国基準ですべてを通せ、と言っており、日本の矜持すら問われます。それが本当に安全や、国民のためになるなら米国に合わせることは吝かでありませんが、そうでないものまで米国基準にしなければいけない…となったら、本当に日本は米国の51番目の州になった方が、よほど分かり易いとさえ言えるのでしょう。
米国が相互関税の発動を、90日間延長したように、実は時間をかけた方がよいのです。それは米国にとって打撃が大きくなっていくから。のらりくらりと、24%の関税なら他の国より低い方なので、放っておいてもよかった。なぜなら他の国の方が関税が高いのなら、競争力が高まるということと同じだからです。他国も自分たちの関税を下げるために、交渉をするかもしれませんが、うまくまとまるケースは少ないでしょう。それなら関税をかけられた方がマシ、という条件になるからです。結局、米国がつぶれるまで待つのが吉、ということであって、国民民主も維新も、ここぞとばかりに自分たちこそ政権担当能力がある、とアピールしたかったのでしょうが、むしろ逆、そうした資質に乏しいことを露呈してしまった、といえるでしょう。

トランプ関税について
米国が相互関税の発動を、90日間延長したことについて、米国が危機感を抱いた、という説明をする人もいますが、私はちがうと考えています。それはトランプ関税の理論的支柱であるナバロ大統領顧問や、ミラン大統領経済諮問委員会〈CEA〉委員長と、相容れないからです。彼らは関税でドル高となり、コストを相手国が負担する。だから米国にとって利がある、と説くのです。関税発動前に、仮にドル安に動いても、米国債が急変動しても、発動した後にはもとに戻る、という論調です。数時間でその理屈を反故にするほど、米国の道理がいきなり急展開して変化した、とは到底思えないところがあるからです。
発動を止めた理由は、発動してから交渉、と考えていた部分を修正した。ベッセント財務長官辺りが親米国まで苦境に陥らせるのはどうか? と疑問を呈したことで、トランプ氏の心も動いた、とみられます。ベッセント氏がそう説得したのは、今回の相互関税率の割り出し方が、あまりに杜撰だったためでしょう。それを持ち出され、交渉されたらベッセント氏も反論ができない。だから相互関税分は先送りしたかった。
しかし一律関税は発動しているので、米国は10%近い物価上昇圧力がかかります。ナバロ氏やミラン氏の理屈では、ドル高になって米国民が関税負担がかからない、ということになります。しかしドル安となり、関税以上のインフレ圧力がかかるのが今です。ただ米国がそれに気づくのは、4月分のインフレ指標がでてから。3月の指標でCPI、PPIが下がったのは、中国は関税に備えて貿易量を増やしていたから。一時的にモノが潤沢となり、物価も下がったとみられます。しかし日本のように、ほとんど楽観して何もしていなかった国の影響が、ここから出てくるのです。そしてドル安の影響は月末ぐらいにはかかることになるでしょう。
ナバロ氏やミラン氏は、第一期のトランプ政権による対中関税を、理論武装の支柱としています。しかし中国はそもそも為替操作国、中国だけに関税をかけたので、その影響を緩和するため人民元安にして乗り切った。それをみて、味をしめた。世界全体に関税をかけても、ドル高になって大丈夫なのだと高をくくった。それが最大の間違いなのです。為替、国債、そういうところに関する洞察が、圧倒的に欠けている。それが今回の、最大の過ちとなるのでしょう。結果的に、米国はその過ちによって米国人がもっとも重い負担を課せられ、最大の敗戦国になるのです。ただ、それを見直すのにトランプ政権の末までかかるでしょう。
 
トランプ関税の影響
すでに米国債安、ドル安、株安に陥っています。しかしドル安はトランプ政権が望む方向であり、ここが最大の問題です。金利差が広がるのに通貨安、というのはそれほど不思議なことではありません。ここ最近の金利差依存の為替市場、というのが実は少々異常だったのです。為替は色々な要素で決まるので、今回のように貿易が減り、ドルを調達する必要性が低下すると、ドルは不要となってきます。さらに今回は、ドル基軸通貨体制の揺らぎ、まで見通しています。ドルは安定しているから、決済通貨として機能していましたが、高インフレ下になるとドルは安定しなくなります。すると必然的に決済通貨の地位を滑り落ちるのです。
ドル基軸通貨体制が終焉すると、各国がドルをもつ必要がなくなり、米国債すら保有する意味が失われます。金が再び高騰するのも、金本位制にもどる動きに備えたものであり、金の価値と米国債の価値がトレードオフになるかもしれない。それはまさに米一強体制の終焉です。トランプ氏は「米一強を目指す」といいながら、やっていることは米凋落の道、というのはそういうことです。米国への投資を増やすどころか、減らさざるを得ない。米自動車メーカーでレイオフの動きも出ていますが、部品価格の上昇はもうはじまっており、必ずしも米国で製造することに利はない。人件費を考えれば、米以外で製造する方がよいのです。
ただ、その本当の意味を知るのはもう少し先でしょう。そして知ったときには終いです。米国は三流国に転落し、軍事すら今の規模を維持できない。だから日米安保を維持するとか、日本は考える必要はありません。米国の事情でそれを撤回してくるからです。そのとき防衛装備品を、米国製で固めるのは甚だ都合悪いことにもなります。だからここで関税を緩和したいからといって、下手に防衛装備品を買うべきではありません。
しかし残念ながら、日本人が今回の本当の意味を知ったとき、それに驚愕し、取り返しのつかない失敗をしていた、と気づくのは最後でしょう。欧州も中国も、もうそれに基づき動きだした。日本だけが「早く交渉しろ」などと的外れなことをしている。もう米国抜きの世界、を考えるべきなのです。米国がいなくても、独り立ちできるように今から備え、行動する。それができない国なのです。だから今回の最悪の影響に、日本も巻き込まれることになるのでしょう。米国債を最後まで保有し続け、大損害を被る、といったこともそう。貿易依存もそうだし、防衛面もそうです。戦後の清算すらツケを先送りにしたばかりに、日本はとんでもない状態にまで引き落とされるのかもしれません。
 
関西万博が開会
メタンガスが守口市議により指摘され、換気する、検査の回数を増やす、といっていますが、別に安定的にメタンガスが発生するわけではないでしょう。条件が整うと、それこそ一気に増えることもあるはず。すでに引火して事故を起こしていますが、危険なことこの上ないのが関西万博のある夢洲です。しかも大屋根も地盤が一部で崩れ、人が乗る数も制限されており、これから豪雨や高波などが起こると、ますます危険性を増すでしょう。開会に間に合っていないパビリオンなど、未だにネガティブな報道が相次ぎます。
一部で「始まってしまえば…」という人もいますが、ここにもトランプ政権の影がちらつく。円高になれば訪日する人も減る。さらに日本人の中でも学校が取りやめるところが出てくるなど、その危険性を懸念するところも出てきています。そもそも目玉もないし、決定から開会までの時間の間に、世界は新たな技術、仕組みもできており、言葉は悪いですが時代遅れ感もある。高い入館料に見合うものではありません。
高い入館料、高い食事代、目新しさのないパビリオン、それに行列ゼロを目指しながら、人気化すればそれすらない。よほど不人気なら行列ゼロでしょうが、それは面白みもゼロです。そしてここにきて、ネットカジノによる逮捕が相次ぎ、それもネガティブな印象を与える。夢洲をカジノ化する計画ですが、賭博依存症の問題は大谷選手の元通訳をみるまでもなく、他人の懐にまで手をだす。犯罪をしてでも金を奪い、それを賭けにつかってしまう。オレオレ詐欺にまで加担する。それが関西圏で広がる可能性もあります、
さらに、そのIR運営事業者に対して優遇を与えていた、という疑惑まで出てきた。安価な賃料で契約したと、構図は森友学園に近いのかもしれません。財務省が絡んではいませんが、大阪の事業に何やらきな臭さがある。これまでもIR事業者が吉村知事に献金やら、悪い話もありましたが、もし今回の疑惑が直撃すると、IRそのものが停止するかもしれません。ネットカジノ事業者も、日本では違法なのにグレーと呼び、その事業計画に「アジア圏(特に日本)での事業拡大」といった項目を載せていた。どこまでいってもIR運営というのはブラックで、違法性が高いもの、という認識も強まります。賭博依存の問題もふくめ、大阪万博は考えないといけない。これはある意味、大阪万博のネガティブな印象を決定づける、といえます。
 
公明がやたらとバラマキを主張しだした。
公明が最近、吠えています。政権与党にいるのに、まるで野党のようにバラマキを主張し、現金給付を減税まで…などと。明らかに参院選、都議選を見据えての人気とりですが、与党なのですから財源と、政策効果はきちんと示さないといけません。野党なら省庁とのパイプが薄く、それを出さずともやむない面がありますが、与党には与党の責任があります。赤字国債を主張するのも、今この国債市場が流動化する動きを見せる中で、無責任といえるでしょう。そんな暴論を語りたいなら、連立から離脱すべき、といえます。
しかし創価学会が協力体制を敷いてきた統一教会に支持された国民民主が、バラマキで支持を高めるのをみて、その二番煎じを狙っているとすれば、公明はもう終わりです。なぜなら、それをしても創価学会票が得られても、統一教会票は入ってこない。自民なら、ある程度は統一教会票を期待できる議員もいますが、それとて限定的でしょう。減税やバラマキをした結果、国の経済が拡大して、税収としてバックが期待できる、というならやってもよいですが、ただの下支えならその原資は、将来世代へのツケ回しに過ぎない。そんなものを支持する国民が多数であれば、この国はもう終わりです。つまり公明の手法とは、そうした国民が多かったら成立するかもしれませんが、その時は日本ともども公明も終わり、となってしまうのです。
減税もそうですが、するな、というのではなく、米国すら国債市場が揺らぐ中、日本とてもう安穏としてはいられないのです。つまり歳出改革なり、国債市場への信を得られないと、一気に売りたたかれてしまう。それは日本にとって大きな痛手となる。言葉は悪いですが、有権者の歓心を買いたいだけの政党は、もう存在すら害悪なのです。しかもそれが野党なら、財務省とのつながりも薄く、財源論にはなかなか進めませんが、ことは与党です。与党には政策実現力があり、実効性は高い。つまり財政破綻に直結しやすい、といえます。
私は財務省の回し者でもありませんが、今の国民民主を支持する人をみても、これからの国債市場は急変動を起こしやすくなる、と考えています。それは米国がそうなるのですから、日本とて同様なのです。極右など、世界は極端を求め始めましたが、その結果として最悪方向にむかうのなら、それは破綻を速めているといえ、従来の政治に失望したからといって、そういう者を招き入れると、破綻を速めるだけです。まして連立与党の公明が、こうした極端にふれてはお先真っ暗、ともいえるのです。公明はいずれ淘汰の憂き目に遭うでしょう。ですが、自ら滅びの道へ踏みだしたようで、それをどんどん速めているだけ、とえいるのです。
 
立民の動き
石破氏が腹の定まらなさ、を示す中で、立民もまったく腹が定まっていません。高額療養費制度で紆余曲折し、減税や給付についても石破首相は何だか歯切れが悪く、トランプ氏を朝令暮改といいますが、石破氏も同じです。意見がぶれてそのたび、変則的な動きになってしまう。これは多くの人を疲弊させるだけでなく、国家的にも大きな損です。そんなダメ首相に対して、同じように立民の野田氏もブレブレ、というのが現状です。
それは元々、消費税増税を決めたのが野田代表だから。むしろ主犯です。消費税減税議論に乗れないのも、野田氏が抵抗する面があります。もともと、消費税を社会保障に…などという国はない。日本は昔から目的税化させるのが好きで、それが弊害ともなってきました。そうした消費税の目的税化という仕組みをつくったのも野田氏です。まさに元凶中の元凶。だから立民も煮え切りません。財務副大臣だった時代に、財務省の傀儡となってしまった。そうみなされることもマイナスで、立民に勢いがない原因の一つでもあります。
恐らく国民民主は、立民と組みたがらない。なぜなら立民と組むと、野党第一党になるための弊害になりかねないから。だらか今の立民は、れいわや共産と組むことが必須です。どちらか一方でも組めれば、立民は大きな力となるでしょう。でも野田氏では無理です。野田氏は国民民主との近さがありますが、その国民民主は立民をみていない。つまり方向性がちがうのに、野田氏でいることで弊害となっているのが現状です。
夏の参院選、都議選などで、立民が勝つためには野田氏が自主的に代表の座を降りて、路線転換をはからないといけません。それは消費税減税を訴えるれいわと歩調を合わせるか、政権監視の目を強める共産との協力体制を築くか、いずれにしろ今は特徴もなく、旧来の政党という形で埋没懸念にあるのです。野党の方が、大胆な提案もできるのに、それもできていない。野田氏ではまず大勝することが無理で、その間に国民民主やれいわに抜かれ、野党第一党の地位すら危うくするでしょう。今決断しないと間に合いそうもありません。


 
「米国にとって打撃が大きくなっていくから。のらりくらりと、24%の関税なら他の国より低い方なので、放っておいてもよかった」にも関わらず自民党内からの突き上げもあり石破茂はこんな決断をしてしまった。
 
『ひれ伏せば許してやる』」の前例になるのか トランプと先陣切っての交渉は「利用されるだけ」の懸念
 
初入閣で、外交経験もない赤沢大臣が来週にも訪米するそうだが、米国がポチの日本を先頭に立たせた狙いはミエミエだ。赤沢は妙に「国益」を強調していたが、「決裂しても」の覚悟があるのか。窮地のトランプを助ける「悪しき前例」になりはしないか。  ◇  ◇  ◇
 飛んで火に入る夏の虫──になりかねない。
 トランプ関税をめぐる、日本側の交渉担当者に就いた赤沢亮正経済再生相が、来週16日に渡米し、17日にベッセント米財務長官と協議することになった。
 トランプ大統領は、輸入品への税率を大幅に引き上げる「相互関税」の上乗せ分を90日間凍結すると唐突に発表したが、もともと日本には24%もの関税をかけていた。さらに「相互関税」とは別に、すでに日本は自動車や鉄鋼・アルミなどに25%の追加関税をかけられている。赤沢は、これらの関税の引き下げや、日本を「相互関税」の対象から除外するよう求めて交渉するのが任務だ。
 しかし、この交渉がうまくいくと思っている国民は、ほとんどいないのではないか。なにしろ、相手は常識の通じないトランプである。発言がコロコロ変わり、「相互関税」も発動からわずか半日後に凍結してしまった。
 トランプ政権が相手では、誰が交渉役をやっても難しいだろうが、それにしたって外交経験ゼロ、初入閣の赤沢に、日本の行く末を決めかねない大役を任せて大丈夫なのだろうか。
 適任かどうかは別にして、「交渉役」として、自称タフネゴシエーターの茂木敏充前幹事長や、外相を経験し、語学にも堪能な林芳正官房長官、さらに財界人を推す声もあったが、新たに担当閣僚を選出すると誰かひとり閣僚の退任が必要になることを嫌い、石破首相が拒否したという。
 その結果、総理側近という理由だけで赤沢が「交渉役」に選ばれた。
 赤沢は、衆院鳥取2区選出。当選7回。旧運輸省出身。通商政策や外交交渉はズブの素人だ。
 対してアメリカの交渉担当であるベッセントは、ウォール街出身の海千山千。X(旧ツイッター)に、「非関税障壁、通貨問題、政府による補助金について建設的な交渉を楽しみにしている」と投稿し、いまから手ぐすね引いている。
「どうすればアメリカが納得するのか、なにを出せばいいのか、日本はまったく分かっていない状態です。トランプ大統領は『なにか驚くモノ』の提示があれば交渉に応じる、としか口にしていない。日本の具体的な交渉カードは、まだ固まっていません。でも、自民党からも野党からも『早くアメリカに行って交渉すべきだ』『なぜ日本にいるんだ』とせっつかれるので、赤沢大臣も大急ぎで渡米せざるを得ない状況です」(霞が関関係者)
■羊のような日本と最初に交渉
「相互関税」をかけられた約180カ国・地域のなかで、日本は真っ先にアメリカと交渉する格好だ。
 石破は、アメリカといち早く交渉できることにホッとしているという。ベッセントから「日本は先頭グループにいる」「70カ国近くからアプローチされているが、日本が優先されるのは早く名乗りをあげたからだ」と説明され、喜んでいるという。
 しかし、他国に先駆けて交渉することが、本当に得策なのかどうか。むしろ、他の国がどんな交渉をするのか、じっくりと観察したほうがよかったのではないか。
 アメリカが日本を交渉の先頭に立たせたのは、「交渉合意」のモデルにしようとしているフシさえあるからだ。経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「トランプ政権は、最初の交渉は絶対に成功させたいはずです。その点、羊のようにおとなしい日本なら、交渉が決裂するリスクもなく、アメリカの要求を次々にのむはずと計算したとしてもおかしくありません。日本との交渉を成功させた後、他国に対して『日本はこの条件をのんだぞ』と迫るつもりなのでしょう。日本はアメリカに利用され『悪しき前例』をつくってしまう恐れがあります。最悪なのは、前例をつくるために、急いで結論を迫られる懸念があることです。相互関税の凍結は90日間ですが、日本の交渉期間はかなり短くなる可能性がある。どうして石破政権は、慌ててアメリカと交渉するのでしょうか。他国の出方を研究してからでもよかったはずです」
「世界中の指導者がディールをしたがっている」と話すトランプは、各国との1対1の交渉なら、いくらでも譲歩を引き出せると考えているようだ。
 共和党議員を前にした演説では、「彼らは我々に電話をかけてきて、私の尻にキスをしている」とまで口にしている。
 ひょっとして、トランプの尻に真っ先にキスをしているのが、日本なのではないか。
 来週、渡米する赤沢は「大変重い職責。胃が1センチせりあがったような感じ」と漏らしている。大丈夫なのか。
■金融危機に怯えて「凍結」か
「トランプ関税」に世界中が振り回されているが、窮地に立たされているのは、トランプも一緒だ。
 最初から分かっていたことだが、どう考えても「トランプ関税」は破綻していることが、いよいよハッキリしてきたからだ。いったん発動した「相互関税」を、たった半日で「凍結」したのも、破綻していることに気づかされたからに違いない。
「トランプ大統領は、金融危機を恐れたのでしょう。一般的に株価が下落した場合、より安全な資産とされる米国債が買われ、長期金利は低下するものです。ところが、相互関税が発動されると、株価も下がり、米国債も売られてしまった。株、ドル、米国債が下落する『トリプル安』となってしまった。米国債が下落すると、米国債を大量に保有する米国の銀行が多額の損失を抱え、金融危機を引き起こしかねない。トランプ政権が相互関税を凍結したのは、金融リスクが迫っていたからなのではないか。あの時、トランプ大統領は、SNSに『冷静になれ』『いまは買い時だ』と連続投稿していた。相当、焦っていたのでしょう」(斎藤満氏=前出)
 世界180カ国・地域に相互関税をかけるという「トランプ関税」は、しょせん張り子の虎にすぎない。保有していても使えない核兵器と同じだ。もし、使ったら破滅を招いてしまう。
 なのに、トランプの脅しに屈して、関税交渉で大幅譲歩したら、バカみたいな話だ。もし、日本が屈したら、後から交渉する国も大幅譲歩を迫られてしまうだろう。
 立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
渡米する赤沢大臣は、国益を守るためなら決裂しても仕方ない、という覚悟で交渉に臨むべきです。もちろん互いに妥協するのがベストです。しかし、ひたすら『お願いします』という懇願姿勢だけでは、どこまでも国益を損なってしまう。そのうえで日本は、TPPなど、アメリカが加入していない多国間の枠組みに目を向けながら、『トランプ関税包囲網』の構築を考えるべきです。TPPには、カナダやメキシコ、ベトナム、豪州、英国など12カ国が加入している。この12カ国が結束するだけでも、大きなパワーになり、アメリカにプレッシャーをかけることになります。逆に、それぞれの国が、個別にアメリカと協議して成果を引き出そうとすると、トランプ大統領の思うツボになってしまいます」
 相変わらず、トランプは「アメリカは日本を守るが、日本は我々を守る必要がない」「貿易も同じことが言える」などと、日本を脅している。絶対に日本は安易な譲歩をしてはダメだ。

 
いくら外野が「トランプ関税は、しょせん張り子の虎にすぎない」といったところで、外交経験ゼロの初入閣赤沢亮正経済再生相ではトランプの前では張り子のトラに怯えてしまう羊になってしまうのではないだろうか、とオジサンは思う。 
 
  

 
【参考】
少々毛色が違うこんな記事を紹介しておく。

石破総理よ、このままでは「昭和16年夏の敗戦」の二の舞になるぞ!現役世代を搾取し続ける「医療費膨張」を止めろ
 

■石破総理との質疑
昭和58年(1983年)に「昭和16年夏の敗戦」(現・中公文庫)を上梓した。石破茂総理は、この本を読んで、2006年から2024年まで六回も国会でこの本の内容を使って質疑をしている。なぜこの本を取り上げる必要があったのか。石破総理は3月6日の参議院予算委員会で、次のように説明している。

——防衛庁長官をしていたとき、ある人から、この本を必ず読むよう勧められた。敗戦は昭和20年ではなく、16年に決まっていたという内容だ。昭和16年、今のキャピタル東急のあたりにあった「総力戦研究所」に、ありとあらゆる官庁、日銀、同盟通信(現・共同通信)など、30代の俊才達を集めて、あらゆるデータを集めて、日米の国力の比較を行った。GDPが八倍違うなどあらゆるデータを開示して、日米開戦後のシミュレーションを行った。その結論は、何をやっても勝てないので、いかなる理由があっても、この戦争は行ってはならない、というものだった。しかしながら、このことは省みられることなく、開戦になり、日本はあのような悲惨な焦土と化した——

————あらゆるデータを、包み隠さず開示をすれば、結果はわかる。なぜ、わかったうえで、なぜそうなったか。「戦は時の運」とか「戦うも亡国、戦わざるも亡国、戦わずして破るるは、国民の魂も失う真の亡国なり」という言葉があって、わかっていたにもかかわらず、そうなった。そこでは、個の利益のほうが、全体の利益を上回ったのかもしれない——。

情報の開示とはなんであるか、すべてわかっていたのに何で戦争を始めたのかという疑念が沸き、楽観的な、そして刹那的な見通しは決して持ってはならない、そして、個別最適の総和は、全体最適ではない、という教訓にたどり着いた、と石破総理は述べた。
しかし、その教訓は活かされているのであろうか。日本は今、はっきりと破綻に向かって進んでいることが認識されているのに、方向を変えることができない、という昭和16年と同じ状況が進行しているのである。
■医療費の現役世代搾取の構造
あえてパラレルに考えると、昭和前期には、軍国化の進展とともに軍事費が急速に肥大化していったが、それと同じペースで現在、医療費も増加し続けている。令和七年度の一般会計予算に占める社会保障関係費は実に56%で、国家予算の半分以上を占めており、今後さらに医療費などを中心に膨張する見込みである。なぜ止められないのか。
昭和16年には、陸海軍の強力な圧力、いわば圧力団体の力によって、情報も歪められ、予算も歪められていた。今また、その同じ轍を踏むのではないか。医師会や、薬剤師会など多くの業界団体があって、無駄があちこちにあっても切ることが出来ないというのが実情なのではないか。

昭和の戦争では多くの若い人が犠牲になった。現在もまた、若い世代は、この社会負担の増加によって血だらけになっている。この出血を止めなければならない。そのために急速な医療費の増加を止めなければならない。30歳で350万円(単身世帯)の所得税は7万円だが、社会保障費の負担はじつに50万円である。

年金は支給のために必要な財源を、その時々の保険料収入で賄う賦課方式なので、現役世代が現在の受給者に資金を払うという形になる。
一方、健康保険は、自分のリスクの為に備えて保険料を払い込むものである。ところが、現実には、この保険料の半分が現役世代から高齢者への「仕送り」の形、つまり賦課になっているのである。具体的には、協会けんぽ、組合健保、共済組合から、市町村健保へ賦課調整金として3.8兆円補填されており、さらに、協会けんぽ、組合健保、共済組合、市町村健保から後期高齢者医療制度に後期支援金として計6.8兆円が補填されている。またいずれの段階でも、これに加えて公費からの補填がある。
ここでは保険制度の基本原理が壊れてしまっている。保険の公平原則から大きく乖離してしまっている。このままでは現役世代は、本当に押し潰されてしまう。

まず、医療費に無駄が4兆円ある。本当は、計算によっては、もっとあるのだが、とりあえず、4兆円削減したとする。そうすると、現役世代一人当たり6万円の負担軽減になる。そこで協議をしようということで、自民・公明・維新3党で合意文書を交わした。早期に実現できるように、令和八年度予算で実現化するには、六月半ばの政府の骨太方針に反映しなければならない。そうなるともはやこの四月の段階から、五月まで毎週協議を行わなければならなくなる。
■これが意味不明な「処方箋」の1兆円の無駄だ
医療費の無駄の例を一つあげてみよう。OTCとは、オーバー・ザ・カウンターの意味で、カウンター越しに薬を買う、いわゆるドラッグストアで普通に風邪薬などを買う行為だ。紛らわしいのがOTC類似薬という存在だ。
医療用医薬品には、医師の処方箋が必要で処方箋薬局でしか購入できない処方箋医薬品、医師の処方箋が不要で購入できるOTC医薬品がある。ところが、これに加え、処方箋が必要である医療用医薬品であるのに、処方箋がなくとも購入できる医療用医薬品、OTC類似薬が存在する。
OTC医薬品、処方箋医薬品が、それぞれ約13000品目存在するのに対し、このグレーゾーンにあるOTC類似薬は約7000品目ある。医師に処方箋を書いてもらうには、診察を受け処方してもらうという手順が必要になるが、この段階で当然、診察料、投薬・処方薬料などが発生し、患者負担以外に健康保険から保険点数分、支出がある。
OTC類似薬で、処方箋を必要としなければ1兆円は削ることが出来る。
このOTC類似薬を扱う薬局に零売薬局というものがある。その看板には「処方箋がなくとも病院の薬が買えます」とある。薬剤師が患者と一対一で話をして、状態を把握すれば、患者は医療用医薬品を購入できる。
日本は世界中で最も薬剤師の数が多い。これは急速に増やしていったものだ。しかし、彼らは調剤薬局で、薬シートに輪ゴムをかける仕事ばかりをやっている。本当に薬剤師がやるべき仕事はセルフメディケーションであり、薬局で患者と面談して状態を把握し、適切な医薬品を売るという仕事のはずだ。OTC類似薬は、薬剤師のいる薬局では普通に購入することが可能なのに、厚生労働省は規制を強め、医師の処方箋がないと原則、購入できないようにしようとしている。
確かに医薬分業は必要ではある。以前は医師が薬を仕入れて、診療し、薬価の2倍、3倍で売っていたりした。そういう時代があった。それを是正しようとして、病院で薬を売らないで、院外の調剤薬局で薬を売ることにインセンティブを与えて、医薬分業が進んできた。そのインセンティブを過剰に与えすぎた結果、何が起きたか。病院の前に、薬局が立ち並ぶ、「門前薬局」が増えた。なんでこんなに立ち並ぶのか。儲かるからだ。
■医療費膨張というこの国の危機
医者にかかった際、医療用医薬品を購入する際、院外処方の場合、院内処方の7.4倍かかる。実にさまざまな名目の「――料」つまり手数料を取っている。例えば、院外処方の項目に服薬管理指導料というものがある、「お薬手帳持っていますか」と聞かれ、持っていなかったら59点(590円)かかり、持っていったら45点(450円)取られる。持っていても、いなくともとられる。関所の通行料のようなものだ。こんなバカげたことがあるか。こういう無駄なコストでこちらの支払いは7.4倍になっている。
この服薬管理指導料は、保険証のマイナンバーカード一体化でもはや必要ではないはず。その患者の様々な受診記録、投薬記録を集約できるからだ。それなのになぜこんな指導料が残っているのか。それは、医薬分業を進めるためのインセンティブ誘導コストが、必要なくなっても独り歩きして、患者にツケとしてのしかかっているのである。これはほんの一例にすぎない。
現在、処方箋は年間8億枚発行されている。それに、これらの無駄なコストをかけると、1.8兆円が必要ない保険支出ということになる。
日本が陥っている、このような危機は、ユーザー側の立場に立たず、それぞれの圧力団体や役所の都合や、政策のツケが回ってきた無駄の集積だ。4年前、令和2年度の国民医療費は約43兆円だったものがいまや47兆円に膨れ上がっている。あと数年で50兆円だ。こんなバカげたことがあるか。この無駄を削ることによって、若い人の保険料負担を減らす。それを早速やらなければならない。
まじめな医師、まじめな薬剤師、みな一生懸命仕事している。ところがわれわれユーザーとのいい関係を壊しているような構造が今存在している。3党の協議体で進めることになっている医療費の4兆円削減、現役世代の負担6万円引き下げは、現役層、若者層に負担を強いている、医療費膨張の流れを押しとどめるための第一歩の対策となる。
破局が分かっていたにもかかわらず、軍備を拡大しつづけ、対米戦争に突入していった過去の敗戦を2度と繰り返さないために、医療費削減は、すぐに行わなければならない

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