重慶でラン&山登り

マラソンと山登りが趣味。
重慶の街を走って見つけた面白いことを記録します。

UTMB2017 完走記その8

2017-09-14 22:07:37 | UTMB
Bonatti小屋から5km程進むとArnouvazのエイドに到着します。ここから先に最大の難所のGrand col Ferretがあり、このエイドで皆装備を整えていきます。
この頃には徐々に雨も降りだし、2537mにあるFerret峠は氷点下で雪が降っているとの情報です。

ここのエイドを出る時にはレインパンツをはかないとエイドを出させてもらえず、ある意味装備チェック的な事を行っていました。周りの選手をみると結構荷物が少ないなぁと思うこともありましたが、どの選手もレインパンツをはいており、やはり皆さん工夫をしながら装備を整えているのだなぁと改めて関心しました。
自分もレインパンツを履いてスタートします。するとエイドで休んで体が冷えたこともあり、思いの他寒く感じます。これは危険かもしれないと思い、もう一度エイドに戻り、ダウンジャケット、レインコート(ウィンドシェル代替)を着込んだ上にさらにレインジャケットを着込み持ってきた服を総動員して再出発します。流石にこれだけ着込めば寒くはなく持ってきてよかったなぁと思うと同時に、必携品対策で持ってきたのにまさか本当に使うことになるとはとこのレースの厳しさを新ためて感じた瞬間でした。

エイドをでるとすぐに小さな橋を渡ります。

ここから先は寒さに耐えて黙々と登る道です。距離は4.5kmで高低差は750m程ですが、標高が高いため森林限界を超え風が直接体に吹き付けます。しかしさすがに動き出すと温かくなりダウンまで来ている自分は徐々に汗だくとなり、途中でダウンを脱ぎレインジャケット2枚で対応していきます。体を動かしていれば何とかなりますが、先は長く、もうすぐ登りが終わりかとおもうとまだ先に登りが続いているというダミーピークを2回ほど繰り返すと標高も高くなり2500mを越えるとまたも雪道となります。

しかしその先にはGrand col Ferret。本大会の最高地点2537mに17時30分に到着しました。

先のエイドから時間としては1時間30分ですが、実際はもっと長く感じました。

ここから先は約10kmを下っていくだけ。最大の山場を越え、高度も下がり天候も回復していくであろう安堵感で自然と歩みも早くなりますが、ここにきて又もお腹が痛くなってきます。食べ物も積極的に食べていないし硬水が合わないわけではないので、原因をしぼっていくと水+ビタミン剤を飲んでいるときは調子はわるくないですが、コーラを飲んだ後にお腹が痛くなることが多く、コーラが原因ではないかと考え始めます。たしか誰かのブログでもコーラが合わなくって体調を崩したと書いたのを読んだことがあるので自分もそれに該当する可能性があります。今回のレースは完走が目的なのでリスクは極力排除し安全第一の選択をしているのでコーラは今後極力取らないことにします。

そういう事を考えながら早歩きすること2時間。少し大きなエイドのLa Foulyに到着。
ここではまずはトイレを探しますが、ふと脇を見るとTVがおいてあります。

すると日本語で文字が書かれたメッセージが映っていました(画像は違う画面ですが・・・)
よく見ると自分宛で、昨年4Kを一緒に走った日本の仲間達から応援メッセージでした。確か夢の舞台を楽しんで何とか頑張って完走を!というような内容でした。

確かにUTMBのレース前にこのようなサービスがあって、このメッセージを受けた選手は不死鳥のようによみがえり最後まで頑張れるからあなたもぜひ応援メッセージをという広告が来ていたのは記憶の片隅にありましたが、まさか自分がこのメッセージを受け取るとは夢にも思っていませんでした。

油断していたのでしっかりと見れませんでしたが、選手がエイドに到着した際のナンバー計測を元にその選手宛のメッセージが数回繰り返し放映される仕組みとなっているようで自分へのメッセージが再放送されるのを画面の前でじっと待ちます。が中々放送されません。エイドでじっとしているわけにもいかない(トイレにも行きたい)のでうろうろし始めると放送されるというマーフィーの法則みたいなものが2回ほど続くとそれ以後放映されなくなりました。

結局応援メッセージの画像をカメラに収めることができませんでしたが、応援していただいた気持ちはしっかりと受け止め、なんとしてでも完走しようという気持ちが沸々とわいてきたのでした。おすもうさんと4KVDAの皆さん本当にありがとうございました!

気持ちも新たにして後半最大のエイドであるシャンペ湖(Champex-Lac)への道のり14kmへ進んでいくのでした。

つづく。

UTMB2017 完走記その7

2017-09-13 07:34:29 | UTMB
Courmayeurを出るとしばらく町中を走ります。

トンネルをくぐると、そうここは2011年にスコットジュレクがリタイヤした場所。なんかどこに行っても見覚えがある景色でドラマの名シーンのスポットを観光しているような気分になります。

そして更に町中を走っているとここ来た事があるよ!という様なデジャヴがあります。よくよく考えてみると昨年参加した4Kというレースで通ったことがある道です。
確かにあの時もUTMBのコースマークがありました。もしかしてと思っていると本当に同じ道をしばらく進みます。

確かこの先に水飲み場があって、少し林道があって、道路にUTMBやCCCと書かれたコースマークがあっていつかUTMBでこの道を走りたいと思っていたなぁと1年前の記憶が次々とよみがえってきます。そしてこの先の登りが結構大変だったという記憶とその先に虹が見えた最高のトレイルが待っていることを思いまします。

そして登りに入ってどんどん高度をあげていくと見た事のある景色が。

そうBertone小屋です。昨年の4Kではここでご飯を食べようと思って結局食べれなかったけどスープをもらった記憶があります。

UTMBでも小屋の外に簡易テントが立ててあり、水の補給ができるエイドとなっていました。この先は暫くゆるやかなアップダウンが続く氷河で削られた渓谷沿いを進む去年は二重の虹が見えた気持ちの良いトレイルが7km程続きます。走れる人にとっては気持ちがいいのでしょうが、ゆっくりペースの自分たちにとっては景色も途中から飽きてくる単調コース。途中に廃屋のような建物があり、次のエイドと勘違いしてしまうトラップがいくつかありますが、それも経験済みなので惑わされません。

そんな景色を見ていると奇跡のような偶然が。

少しわかり辛いですが、昨年も見えた虹が今年も見えました。本当にいろんなデジャヴがあります。

そうして約1時間30分かけて次のエイドのBonatti小屋に到着。

この建物をみて、昨年あまりにもお腹が空きすぎて我慢できず食べ物を催促したところ出してもらえなかったのですが、若旦那夫婦にサンドイッチを出してもらえた事を思い出します。なんとかお礼を言いたいと思って山小屋に入ろうとしますが、応援の人か宿泊客が多く、汚く汚れた選手は中に入りづらい状態であったのと見た感じでは若夫婦が見当たらず小屋に入るのは断念しました。

4Kではここから更にマラトラ峠に向かうのですが、UTMBではこのレース最大の難関と言われるスイスとの国境のCol de Ferretと向かい、ここから先はまた見知らぬトレイルへと歩みをすすめるのでした。

つづく。




UTMB2017 完走記その6

2017-09-12 01:27:35 | UTMB
Les Chapieuxからセーニュ峠迄は10kmで約900m登ります。自分も含めボリュームゾーンにいる選手はほとんど歩きですが、確実に一歩一歩進んでいきます。
気が付けば雨も止み、視界もだいぶ良くなってきました。

振り返るとヘッドライトの列が見えます。

なんかうまく伝わりませんが、多くの選手が前にも後ろにもいるのがわかります。

標高も2000mを越えると寒さも増してきます。それもそのはず周りは雪が積もっている場所がチラホラでてきました。

峠付近でははっきりと雪が積もっていましたが、トレイルはしっかりとしています。幸い雨は降っていなかったので寒いだけでしたが、体を動かし続けていれば気にならない程度。

そしてついにセーニュ峠に到着。

前のエイドから2時間40分かかりました。峠ではボランティアがタイムのチェックをしてくれます。寒い中本当に感謝です。

そしてついにイタリアに突入です。本来ならばここからCol des Pyramides Calcairesというもう一段上に登るコースなのですが、悪天候のためコース変更で通らなくなり、次のエイドのLac Combalまで約5km、600mの下りです。

おそらくこの先がPyramides Calcaires。確かに雪が積もっていて危険そうです。

時刻は6時30分。朝焼けが近づき少しずつ景色がみえはじめました。

漸くヨーロッパアルプスに到着した気分になります。

綺麗な景色に囲まれていますがトレイルは走りやすく安定したペースで距離を稼いでいきます。
そして7時10分。Lac Combalに到着。

ここでも標高は1970m。止まっていると寒いので補給もそこそこに先を急ぎます。

すると・・・

DVDでみたあの湖の脇を通る景色の場所にきました。DVDだと上空から写されていて自然の中に選手が溶け込んでいるようにみえたその場所に自分が立っている事が不思議な感じです。


そして少し登ります。

Mont Favreのチェックポイントを過ぎるとCourmayeurに向かう下りになりますす。

振り返ると・・・

何十回もDVDで見た景色です。2011年にトップの6名が颯爽とこのトレイルを下り降りて行ったシーンが目に焼き付いています。

前方を見ると・・・

美しいアルプスの山々を見ながら歩みを進めることができます。

Courmayeurに向かう途中にあるCol Checroutです。

ここではパスタをゲット。

チーズをかけてもらいますが味は淡泊でおいしくない・・・。それでもジェルは飽きてきたのでお口直しにいただきます。

エイドを出てしばらく走ると眼下についにCourmayeurの街が見えてきました。

ここまでくれば約80km。距離としては半分。時間としては3分の1。ドロップバッグがおいてあるので、秘蔵のごはんを楽しみに早足でトレイルを下ります。
するとトレイルを下るなか、おなかも下ってきました。汗で濡れたシャツと朝方の寒い気温で体が冷えてきたみたいです。幸い胃が辛いという気持ちはありませんが、括約筋を活躍させないといけない状況です。このままクールマイユールの街まで頑張ろう。でもこの長旅こういうトラブルは早めに対処したほうが良い。結果としてその方が体調は良くなるはず。だんだん走ると何かが出てきそうで競歩の状況になってきました。こうなると景色ではなく物陰を探す旅となってきました。しかしここは整備されたトレイル。いい感じの物陰がありません。しかもすっかり明るくなってきており、どこにいても人目につきます。

そしてついに我慢の限界に達した時、意を決して草むらの奥に向かい早歩きします。朝露に濡れた草で靴がぬれるのもお構いなしに奥に向かい50m程コースアウトして何とか人目につかない場所にたどり着き、至福のひと時を過ごします。

すっかり身も心も軽くなり、トレイルをかけ下った後、Courmayeurの町中をはしり抜けます。

そして9時50分、エイドの体育館に到着。ここまで80kmを15時間20分。想定より30分以上早く到着しました。

ドロップバッグがおいてあり、自分のビブの番号の袋を渡してくれ、袋を持って2階に上がり体育館に入ります。


中は大混雑。選手とサポートの人であふれています。何とか座る場所を確保します。ドロップバッグの中にはあらかじめ何をやるかを書いた紙をいれており、補給の抜け漏れがないようにしています。まずは携帯とGPS時計の充電から始め、食糧にお湯を入れてもらい、テーピング、コンタクト、服の交換、食糧の補給等々順番に行っていきます。

ここでもパスタをもらいましたが、やはりあまりおいしくないです。日本から持ってきたカップヌードルぶっこみ飯が体中にしみわたりました。

このエイドでは少し遅れてやってきたS君とも会え、お互い検討を祈りあいます。
結局30分位の休憩を予定していましたが、若干貯金もできたこともあり1時間休憩をしてしまいました。しかし想定通りここまでで約3時間の貯金ができたので、後半は気持ち的には楽に走れます。しかも80kmまできましたが、お腹を下したものの、足、胃共に大きなダメージもなく順調に来ています。しかもスタート直前まで休んでいたこともあり、まだ眠くありません。こんなに体調が良いことは初めてというくらい快調にここまでやってくることができました。

このまま丁寧にいけば40時間切るのも夢ではないと思い始め、後半戦へと向かいます。

つづく。

UTMB2017 完走記その5

2017-09-11 08:32:38 | UTMB
日が落ちてくるのと同時に小雨がパラついてきます。
いつもなら小雨程度であれば面倒臭がってそのまま行くのですが、体を、特にお腹を冷やさない為にレインジャケットを早々に着込み寒さ対策を行います。

これは夜更け過ぎに雪へと変わるパターンかなと思いながらLes Contaminesへの緩やかな登りを進みます。ここはTVやDVDでもヘッドライトの列が延々と続くのが有名な場所だと思われます。自分も写真を撮ろうとおもいましたが、霧雨の影響で視界が悪く前後が見えません。
逆に遥か先の光を見て、まだあんなに先が長いのかと精神的ダメージを受けることもないのですが、足元を確かめながらトボトボと登っていき31km地点のLesContaminesniに到着。

時刻は23時30分。予定通りです。

そこから更に登ること8km。La Balmeに1時間30分かけて到着。


そこから次の50km地点のLes Chapieuxまでは11kmを+800m/-750mの道のり。暗闇の中進んできます。体調は悪くありません。小川の音が聞こえたりしますが周りは霧雨で視界はなく、ここがアルプスなのか奥多摩なのかわからなくなります。確かにスタートは感動でした。でも今は整備された単調な道をテクテクと登っているだけ。自分は本当にシャモニーにいるのか?こんな道を歩くためにわざわざこんなところ迄来たのか?そんな考えが頭をよぎります。なんか想像していたのと違います。評判がよく期待して見に行った映画が思いのほか面白くなかったみたいな感じです。

またトレランでは自然の中を一人または少人数で走る特別な時間や空間が好きなのですが、このUTMBではどこを向いても選手がいて、まるで皆でハイキングをしているみたいです。もちろん参加人数が多いので仕方ないのですが、何か自分の中で引っかかるものがありました。

今思えば自分の中でUTMBとは、これでもかというほど厳しい道のりが続き、特別な空間で同じ苦しみを抱えている選手と目に見えない絆で結ばれ、漸くたどり着いた場所はそれまで苦労を忘れさせてくれる美しいアルプスの景色が待っている・・・そんなイメージを勝手に持っていました。おそらくDVDの見過ぎだと思うのですが、実際は道は単調で、選手は多すぎて特別感がなく、霧雨で景色が全く見えない、そんな現実と自分の理想にGAPがあったのだと思います。

しかし逆に言うと、世界中の人が憧れるハードな舞台でも、世界中から選ばれた選手の中にいても大きく遅れることもなくレースができているという事で、自分でも十分完走できるという手ごたえを感じ始めていました。

そして丁度50km地点のLes Chapieuxに到着。時刻は3時40分。想定より10分遅れていますがほぼ予定通りにここまで来ています。

ここではヘッドライトの電池の交換を無料で行っていました。


やはり口にあいませんが、温かいスープは冷えた体と胃を温めてくれます。

ここから先は前半最大の山場のCol de la Seigne(セーニュ峠)越えです。セーニュ峠を越えればいよいよイタリアに突入します。

つづく

UTMB2017 完走記その4

2017-09-10 15:30:29 | UTMB
9月1日18時
スタートまで後30分。雨は降っていません。
すでにスタートゲートは選手だけではなく、家族、恋人、サポーターで人が溢れています。
前を向いても

後ろを向いても

人・人・人。身動きが取れません。

しかしこれからの旅に向けて緊張の面持ちであったり、これからの旅に向けての期待と不安であったり、この場にたどり着くまでの努力と苦労と運であったり、国や背景は違えども共通する何かをお互い感じます。
トップ選手の紹介が終りUTMBのテーマソングの「Conquest of Paradise」が流れます。いよいよカウントダウンかと思いきや、いきなりスタートしてしまいました。少しあっけに取られてしまいましたが、徐々に列が進んでいきます。

両サイドに溢れんばかりの人が、大きな声で、尊敬のまなざし(のように感じた)で、選手たちを送り出してくれています。その列が約1km以上続きます。

これは本当にすごかった。これが皆が言っていた、皆が憧れていたUTMBなんだ。ついにその旅が始まったことに感動が止まりません。この感動は初めてUTMFを走った時以来の感動です(その時はリタイアしてしまいましたが・・・)。自然とペースも上がりますが全く辛くありません。しばらくロードを走り、しばらくすると林道n入りますが略フラットなコースです。皆中々良いペースで走っています。道も広いため渋滞もありません。
そしてあっというまにLes Houchesに到着。

最初は渋滞もあると思っていたのでここまで1時間を想定のところ53分で到着。いい感じです。

ここはエイドではなく水だけ補給できましたが、ここまでほとんど水を商品していないので、コーラを1杯だけもらって先を急ぎます。
この後はSaint Gervaisまで13km。+1000m/-1100mの序盤の山場です。先人達の過去のブログでは欧米の選手は登りが早くついていけないと書いてあるのが多くあり、この登りこのレースでの自分がどの程度対応できるのかをある程度判断できるのではないかと考えていました。


皆で列を作り登って行きます。かなり後ろのボリュームゾーン(大体1700位くらい)だったせいか思いの他欧米の人のペースは速くなくついていけます。これはいけるかもしれないと良い感触をつかみます。

冬はスキー場となるリフトのある道を上って行くと、下界が見えます。だいぶ登ってきました。

それにしても2500名近く参加しているため、すごい人の数です。
そして日も落ちてきてヘッドライトを装着します。下りに入りますが坂もなだらかでテクニカルな部分もないため、基本ストレスなく走る事が出来ます。あっという間に下りも終えてSaint Gervaisに到着。

時刻は21時40分。予定より10分遅れですが誤差の範囲です。

エイドは事前情報通りのしょっぱいサラミとチーズ。

後はチョコやビスケット、フルーツ等一通りありました。

後はしょっぱいけど温かいスープの中にそうめんみたいなパスタが入っています。おいしいようなおいしくないような不思議な味です。

エイドの食べ物は合わない人は合わないと聞いていましたが、自分は合わない人のようです。主にカステラみたいなパンとバナナだけもらい、あとは自前のジェルとお腹周りの脂肪で基本なんとかすることにします。

ここから本格的に夜のパートに入ります。

つづく。