op's weblog

文字通りのログ。経験したことや考えたことの断片のアーカイブ。

ベイビーステップ vol.14

2010年10月24日 23時36分31秒 | Weblog
荒谷戦の後半とその後の小休止的エピソードの巻。雑誌でも読んでいたので、本が届いてからさらっと読んだ感じではあまり書くことないかなと思ったのだが、ちゃんと読み返してみると、十分濃い。

荒谷戦の前半が『左利きという課題』がテーマだったのに対し、また新たなフォーカスを呈示している。荒谷はフィジカルが先天的に優れさらにそれを時間をかけて徹底的に強化してきた(そしてもちろん今も成長し続けている)現在主流のトーナメントプレイヤーの典型*であり、メンタル面でも主人公と対照的な特性を持つ。そんな相手との再戦。

*米国での対戦相手はどうだったのという話は置いておきます。

荒谷自身も成長しているのだが、主人公のレベルが上がった分相手からより多くのことを引き出し、見せている。技術的には例えばTips的にはボールの緩急に合わせたステップの調整。そして大きなテーマとして体力に勝る相手が精神的にも乗ってきた状況への対処。ただでさえコートチェンジの度に「カキカキ」お仕事している主人公は、つまるところ相手のペースに体力的についていけなくなって負けるという、漫画では非常に珍しい状態に陥る。

これは、通常、読者を“夢から醒ましてしまう”ので危険に思える展開だが、リアルさを増すことによって読者の作品への信頼感を強めるだけでなく、こうすることで読者は確実によりたくさんのものが得られるようになっている。これは主人公が読者とともにより上の段階へ進むために必要なエピソードだったというわけだ。

読者への間口を広げ直すために時々目先を変えたりしているようだが*、この先いずれにせよコート内外問わずより高度な、そして生々しい話も色々出てくるはず。それは作品の深みを増すと共に、たぶん漫画のまた新しい可能性を見せるものだし、その姿勢に共感するファンも決して少なくない(と、僕は思う)。

*個人的にはもうちょっとうまいやり方もありそうに思えるが、これはこれで好きな人も多いようなので否定はしません。

ところで前にも書いたけど、海外展開ってどうなのかな…
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