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出逢いとは、歴史を刻むことなんだな。

2012-02-02 09:49:17 | ホテルのお仕事

うちのホテルの敷地内にお稲荷さんがあって…その担当に任命された…という話は前に書いたような気もするけれど。

担当になってからというもの、本当に色々と偶然とは呼べない必然的な事が判明したり体感したりと…。

まぁ、あたしもその都度心を入れ替えたり奮起したり反省したりしてるんだけど。


今朝もそんな事を感じる事があった。


いつものように朝のお参り。
お稲荷さんの社殿の扉を開け、ご挨拶をし、水を換えてお祈りをする。
その為に、寒さに身を震わせながら出ていくと、敷地の横をほうきで掃除しているおばあちゃまを見かけた。
ご近所の人だ。と思い、「おはようございます。寒いのにご苦労様です」と声をかけると、おばあちゃまは柵越しににこやかな笑顔を向けてくれた。

「あぁ、おはようございます。このあたりの木から葉っぱが散るから、お掃除しないとね。お宅にもきっと迷惑掛けているでしょうね。みんな木を切ってくれないから…」

いえいえ、大丈夫ですよ。

するとおばあちゃま。あたしがお稲荷さんの前に居るのを見て、
「あなたが毎日お稲荷さんの面倒をみてくれてるの?」と。

はい。

と、答えると、おばあちゃまは昔の話をしてくれた。

実はうちのホテルの建つ前は、著名な方の別荘が建っていた…という話を、あたしもどこかで聞いていたのだが、その別荘の管理人として、ご主人と住み込みで働いていた方だというのだ。

「わたしはここに60年も住んでいたの。ちょうどそのお稲荷さんが建っているあたりがあたしの家でね。だからすごく懐かしいわ」と。

おばあちゃまが旦那さま…そして別荘のご夫妻と過ごした60年。
さまざまな思いがあり、仕えた別荘のご主人さまが亡くなった日。最愛の旦那さまを亡くされた日。別荘を手放す事が決まった日。取り壊し、新たなホテルという建物が建った日。
その全てが蘇ったようで、あたしに遠い眼差しを浮かべながら話してくださった。

別荘が手放され売りに出された日からは、目と鼻の先にあるアパートで娘さんと一緒に暮らし、ずっとこの土地のそばにいるんだというおばあちゃま。

「私にはね、ここは特別な土地なの。とても思い入れがあるの。だってお父さんはここから出て神様の所に旅立ったのだもの。でも、私も言ってる間に、お父さんの所に行くのだけどね」と。

そんな風に言って笑うおばあちゃまは、88歳だと言うけれど、とても若々しくお元気だ。

寒い日が続きますから、どうぞお身体に気をつけて、長生きしてくださいね。と言って、お別れした。


誰かの歴史の中に、あたしたちは今いるのだと…なんとなく思った。

だから今日のお参りは、そんな思いも受け止めていっそうの精進を誓う形で行った。


仕事。

お稲荷さんのお世話も、いうなれば仕事の一環。

だけど、あたしにとっては、仕事を超えたあたし自身を成長させてくれるために、与えられた任務なのではないかと、時折思う。

ホテルにいらっしゃるお客さまも、レストランにいらっしゃるお客さまも、サービスをするのは働いている以上当然の仕事。

だけど、そこにもいろんな歴史があり、それぞれのお客様の思いがある。


あたしの仕事はいったい何だろう。

単に美味しいと…楽しいと思わせるだけではないのではないかと思う。


その人その人の作り上げていく過程の歴史の1ページに、刻み込んでもらえるような時間を作るために、あたしは仕事をしているのではないのかな?と思う。

おばあちゃまのように、何年たっても、その姿が無くなっても、変わらない想い出として心に刻み込んでもらえるような、そんな場所を提供できるサービスを目指していきたいと…。


さて。いつまでも小さなことでへこたれてるわけにはいかないな(笑)

がんばろうっ!


あたしにこの意欲をまたわかせてくれたおばあちゃま。そして、その出会いをくださったお稲荷さんにも感謝しつつ、がんばりまっす♪