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昨日、会社の女の子に、懐かしいものをもらった。
そう。チロルチョコの、コーヒーヌガー
いまでこそ、色んな味が出てバラエティーにとんでるけど、当時は「チロルチョコ」と言ったら、これだったな…
な~んて思いながら食べたら、「チロルチョコ」にまつわる思い出を、思い出したんだ
※このお話を読む前に…。
この中に出てくる人物のあだ名を、一文字伏字にしてあります。
と、言うのは、そこが分かると、たぶん知ってる人にはすぐに、あたしの生息地が分かってしまうので…。すみません
(それくらい、強力なキャラの人)
とは言え、皆さんにも分かりやすいようにはしています。
お楽しみくださいませ
それは、あたしが小学生のころ。
よくある学校の七不思議的な話の一つに、近所に住む「ロ○ットババア」ってのがあった。
最初に聞いた時は、なんじゃ??? って思ったよね
だって、ロ○ット
なんて、人のあだ名として付くものじゃないと思ったんだよね
ついでに一緒に語られる名づけの理由は、
「怒るとロ○ットみたいな勢いで追いかけてくる」って事だったけど、
あり得ないしね
正直あたしとしては、その話をしている時の、上級生の反応を楽しんでた感じだった。
そんな風にして、子どもたちに恐れられて語られる、ロ○ットババア。
放課後の校庭に、3匹の犬を放すのが常だった。
ほとんどが、友だちの家との行き来で遊んでいたあたしは、けっこう高学年になってから、それを見ることになる。
かなり大きくて、凶暴な3匹の犬を子どもたちにけしかけては、
逃げ惑う姿に、がはがはと笑うデカイおばあさん。
そんな感じ
「やっぱ、ロ○ットババアってこわい…
」って思った。
5年生の宿泊学習で学校に泊まった時、
校庭で親子花火大会をやった。
手持ち花火や、打ち上げ花火なんかで楽しんでいると、急きょ終りになった。
「え~~~
」
まだまだ始めたばかりで、不完全燃焼な子どもたちは、先生たちに詰め寄ったけど、先生は
「ご近所の迷惑になるから…」としか言ってくれなかった。
そのあと、
「さっき花火がやれなくなったのは、ロ○ットババアが学校に、文句の電話をしてきたらしいぜ」って、誰かが言った。
みんなで、
「くっそ~
ロ○ットババアめ~~
」って、ブリブリ言ったっけ。
その日から、ロ○ットババアの語りには、
『どうやら、花火が嫌いらしい』ってのが加わった。
6年生の秋。
「え~っと、みんなで学校周りの枯れ葉を掃除しよう! 」
先生が言った。
「え~~
なんで今
」
「6年間、お世話になった学校だから、きれいにして出ようよ」
…そ~言われたら、いたしかたない。
みんなで、ほうきやチリトリを手に、掃除をした。
ウチの学校は、3クラス編成。
順番に掃除をするって事だったけど、一番最初のあたしたちは、かなり大変だった
1時間たっぷりかかって掃除を終えたとき、
「あ~、ご苦労さんだね~」っていう、野太い声が聞こえた。
振り返ると、そこにはロ○ットババア。
一瞬にして、みんなは固まった。
「ほれ、キレイになったじゃね~か。やりゃ~できんだな。…おい、おまえ
」
…あたし???
「そうだよ、おまえだよ。 こっち来て手伝え
」
ロ○ットババアのご指名を受けたあたしは、ビクビクと後ろをついて行く。
クラスの女の子たちは、心配そうに見守り、
男の子たちは、ニヤニヤと笑っていた。
…怖かった。
何をさせられるんだろう…
「お前、ちょっとそこで待ってろ」
ロ○ットババアは、そう言うと自宅へ入って行った。
…てか、こんなに近所かよっ
って、ビックリするくらい近かった。
みんなの緊張が伝わってくる。
あたしだけじゃない。
呼ばれてないみんなも、ドキドキしていた。
しばらくすると、ロ○ットババアは、片手に何かを抱えて出てきた。
「おいっ、お前。これを、そこのブロック塀に2つずつ並べろ」
そう言って渡されたのが、「チロルチョコ」の入った箱だった。
「いいか、ブロックのつなぎ目を使えばいいんだ。
ほれ、お前たち全員で何人だ」
「はいっ
38人ですっ
」
「先生は入れたかっ」
「いっ…入れてないっす
入れて、39人ですっ
」
「おう…。んじゃ、並べろっ」
「はいぃ~~~
」
あたしは、渡された箱を抱えると、ロ○ットババアの家の塀にチョコを並べた。
全部並べ終わると、ロ○ットババアは、
「に~、し~、ろ~…」と言って、確認した。
「おし、ちゃんとあってるじゃねぇか」
そう言って、ニヤリと笑った。
笑ってる顔なんて、初めて見た。
…てか、6年生ですんで、そのくらい出来ますがな
「よし。おい、お前ら、ひとりずつそこに並べ。
そんで、そのチョコ持ってけ。頑張った褒美だ」
ロ○ットババアの言葉に、みんな一瞬戸惑ったものの、
「ありがとうございます
」って言って、チョコをいただいた。
「わしはな、別に意地悪じゃないんじゃ。
お前たちに人として、やるべきこと、やって欲しいことを言ってるだけじゃ」
ロ○ットババアは、誰に言うともなく、そんな事を言っていた。
案外、いい人かもしれないって思った。
ほんの一瞬ね。
だって、犬をけしかけるんだもん。
子どもながらに、ちょっと矛盾してんなって思ったし
とは言え、そんなことはもちろん言えないんで、ただ黙ってチョコを食べた。
でも…なんか、大人の味だった。
いつも、駄菓子屋で買って食べてるのに、この時のチロルチョコは、コーヒーの味がすっごく大人な感じがした。
ロ○ットババアに、褒められたからかもしれないし、もうすぐ卒業するってのもあったのかもしれない。
なんか嬉しかったのを覚えてる。
仕事をしながら食べたチロルチョコ。
なんか、そん時のほろ苦い味がした。
だから、こんな思い出が蘇ったんだね…。
えへ
後日談。
その後、残りの2クラスも掃除をしたけど、
ロ○ットババアは、チョコをくれなかったどころか、褒めてもくれなかったそうな。
ウチのクラスの話が先行していただけに、
他のクラスの子たちの、ロ○ットババアへの感情は変わらんかった。
ってか、むしろ期待を裏切られて、さらに悪化した。
……あは…。