弱い文明

「弱い文明」HPと連動するブログです。 by レイランダー

ガザ支援船襲撃/抗議行動のお知らせ(東京)

2010年06月03日 | パレスチナ/イスラエル
 5月31日未明、イスラエルによる違法な封鎖が続くパレスチナ・ガザへ支援物資を送り届けるために向かった活動家たちの支援船を、公海上でイスラエル特殊部隊が急襲し、数十人の死傷者を出した事件について。
 個人的には、非武装の民間人を襲って「自衛」と言い張るイスラエルのならず者ぶりについては、最早驚くこともない。誇張でも強がりでもなく、僕は驚かなかった。そうか、そこまでやったか、と淡々と思うのみ。そういうことを「なんてことを!」「信じられない!」と驚き・恐怖する感覚というのが、僕の場合、他ならぬイスラエルの長年に渡る蛮行の蓄積のおかげで、粉々に砕かれてしまっているからだ(実は昨年末のガザ空爆の際も、同じ精神状態だった)。
 無論、それはちっとも良いことではない。それほどの無感覚に僕を鍛え上げてくれたイスラエルには、混じりっ気なしの怒りを抱いている、その怒りのほうは、粉々になりはしない。むしろより強力に膨れ上がっている。当たり前だ。

 聞くところによると、イスラエルは襲った船を拿捕後、支援物資に関しては搬入を認めたらしい。なんじゃそれ、である。支援船による作戦は秘密裏でもなんでもなく、むしろ徹底的に国際的な注目を集める形で行われていた。そんなところで武器の密輸だの、臨検に当たる兵士への暴力行為だの、市民運動側にとって自滅行為、ありえない話だということはイスラエル自身がよくわかっていたはず。そこにあえて特殊部隊を投入するというのは、イスラエルの目的が最初から、支援船阻止にかこつけた活動家要人の暗殺にあったことを物語るのではないか──これが僕の推測。推測の域を出ないので強調するつもりはないけれど。

 さておき、驚きというなら、むしろ例によって、これを伝える日本のメディアの骨抜きぶりに対するほうが勝っていた。この期に及んで、イスラエルの釈明にどんな価値を認めるとこういう報道になるのだろうか?
 朝日さん、読売さん、毎日さん、産経さん、日経さん。皆さんお待ちかねの
テ ロ
ですよ。なんでテロの発生を報じないんですか?
 これがテロでないなら、何がテロなのか?なぜ、こじれた「紛争」の副産物という扱いでしか報道できないのが?なぜ、相も変らぬ両論併記のポーズに終始するしか能がないのか?しょせんテロというのは、「空軍を持っていないが、爆弾は持っている人」のやることに限定されているからなのか?──あなたたちの心の中の定義では。

 もちろんメジャーなメディアの報道の異様さは、日本のものだけではない。
 中東問題報道についての異様さで抜きん出ている米ニューズウィーク誌の、「ガザ襲撃・封鎖はイメージダウンにつながるだけ──イスラエルの政策は失敗だ」と語る論調の偽善性には、まだまだ日本の右派もかなわないだろう。
 ダン・エフロンという記者のこの記事はすごい。酒とLSDを同時にやっている状態で書いたのではないだろうか。
 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100602-00000302-newsweek-bus_all
「…イスラエルは武器の密輸も阻止できていない。最近ではガザの街頭でおおっぴらに武器を目にすることは減ったが、それはハマスが武器の所有を戦闘要員のみに限定するようになったからだと、専門家は指摘する」──どの“専門家”が?おまえらの株仲間の専門家だろうが。「ガザの街頭にはガチャガチャ武器が持ったならず者が大勢いた」という刷り込みを図る一文は、なかなかさりげなくぶっ飛んでいるが。
「確かに、イスラエルへのロケット攻撃は減った。しかし、この減少は08年~09年のイスラエルによるガザ攻撃で1400人のパレスチナ人が死亡し、民間インフラが大きく破壊されたからだと、専門家はみている」──どの“専門家”が?おまえらのゴルフ仲間の専門家だろうが。
 それにしても、1400人のパレスチナ人が死に、民間インフラが破壊されたことがロケット攻撃の減少につながったという言説はどう考えてもすごい。死んだ1400人が全員ロケット攻撃部隊だったとまでは言わないまでも、ガザの虐殺・破壊が相手の軍事攻勢抑止につながる「成功」だったことを間接的には称揚しているロジックだからだ。そしてまた、その抑止がそれなりに機能して、お上品でない「過剰防衛」というイメージダウンにつながると、これを「失敗」と呼ぶロジック。これらは掛け値なしにナチ、ファシスト、軍国主義者のロジックである。つまり、やる時にはやれ。皆殺しだ。やらない時にはやるな。体面悪い。…こんな論説をうがった分析であるかのごとくフムフムとしたり顔で読んでいる人間の気が知れない。
<抗議行動のお知らせ>

 来る6月6日(日)、東京のイスラエル大使館前で有志の人たちによる抗議行動が計画されているという情報をもらった。
 時間は2時、麹町駅の日本テレビ方面改札に集合。プラカードやメッセージなど、各自思いついたものを持参されたし。呼びかけ団体などは特になく、集まった人の総意という形で行動するとのこと。どなたでもお気軽にご参加されたし。


 これに限らず、しばらく対イスラエル行動は活発な様相を呈していくと思うので、積極的に紹介していきたい。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
行きたいけれども…… (ビー)
2010-06-03 22:52:31
今回のイスラエルによる暴虐には、長らく蓋されていた怒りの栓が吹き飛ばされて、何かをしないではいられない思いです。しかし、東京は遠いので出かけられない。地元で抗議活動を行います。本当は日本中で抗議が行われるくらいになってほしいものです。
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>行きたいけれども…… (レイランダー)
2010-06-04 12:05:39
本文にも書きましたが、イスラエルに対する怒り以上に、これを「まあ、仕方ないことかな」と受け止める側の問題、これが看過できないです、個人的には。メディアがそんなんだから、街頭に立つ人も当然少ない。だけどこういう「ノーマライゼーション」には、どうあっても抵抗しなければ、人としての自分が持ちこたえられない気がします(それは、そもそもなぜパレスチナ/イスラエル問題にこだわるか、の核心だったりしますが)。
船を襲ったのがシー・シェパードだったら、もっとはるかに扱いは大きいんでしょう(笑)。実際には反捕鯨団体より、イスラエルの度重なる暴走のほうが、広い意味で日本の国益にダメージを与えている。それを一般の人は知らない。メディアの誘導で、別の仮想的に照準を向けさせられてる。もちろん僕は国益なんぞに興味はないけれど、その観点からさえ、こんな事態を受け流すことはできないはず、という。
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