弱い文明

「弱い文明」HPと連動するブログです。 by レイランダー

もうアメリカでよくね?

2013年06月11日 | Weblog
 近頃よく考えるわけです。もうアメリカでよくね?って。どうせアメリカなんだし、って。
 自民党はこないだの選挙以来、「日本を取り戻す」って言ってるでしょ。今もあちこちに貼ってあるポスターに、その言葉が踊ってるけど。
 その頃はそのポスター見つけるたんびに、「誰から?アメリカから?」って心の中でツッコんでたし、マジックかなんか持ってたらそのとおり落書きしたろうかと思ってたよ。いや、今でもしたいと思ってるけど。でも、そう思う人の意外なまでの少なさに笑ってしまう、今日この頃というか。
 米軍基地ひとつとっても、まず米軍追い出して沖縄を「取り戻」してくれたらいいよね。でもそんなん、民主党ほどもトライしてくれないというか、トライするふりすらしないよね。まるで眼中なし。尖閣のことで中国・台湾に対して強気になる、その百分の一の気概もないよね。
 もちろんそんなこと最初からわかってた。アベっち再登板以来、アメリカに身を売る政策目白押しだけど、別に裏切ったとかじゃなくて。やつらは最初からそうするって言ってた、つまり「日本を(もっと)アメリカの手に取り戻す」のがやつらの政治任務なんだし、俺や俺の友達なんかはそれが嫌だから民主もダメだけどさすがに自民は勘弁だよな、って思ってたんだし。当たり前のように。で、自民は勝ったから、前から言ってたとおり実践してる。当たり前のように。
 意外といえば、やつらがやってるのは日本を取り戻す行為じゃなくて、明らかに売り渡す行為なわけだけど、日本を愛してるらしい多数の国民はそれにほとんど気づいていない、という現実。正確に言うと、マジで気づいてないのは主に老人で、若い層は気づいていないふりをしたいだけ、みたいだけど。ま、それも今さらな話だけどね。

 若いやつの中でも、例のザイトク会とかその心情的シンパってなやつらはさ、若いのに「マジで気づいてない」老人に近いほうの、残念な人種であることはどうやら間違いないようだね。だってさ、あいつらの「在日」に対する執念深い(だけど浅い、類型的な)追求ったら、まあ驚くべき脳内カロリー消費ぶりじゃん?だのに、それがほかの在日外国人、とりわけ「在日米軍」にはまったく向けられないなんて、ほとんど奇跡じゃね?敵チーム側に100球ボール蹴り込んで、1球もゴールに入らないみたいな、そのほうが難しいっていうレベルの神技だもん。
 いわゆる「在日」朝鮮人の個人や団体で、税金とか補助金とかの優遇措置(よく知らん)をうまいこと利用してるやつが本当に一部にいるんだとしても、それが日本の経済に打撃を与えるほどのものじゃないことは歴然としてるよね。だって打撃があって困るくらいなら、歴代の政権(ほぼ自民だけど)が堂々と「改革」しちゃえば良かったじゃん。北朝鮮に対しては仮想敵国視、韓国に対してだって竹島のことであんなに強気に出れるのに、「在日」に対して国内法の範囲内で理を通すことができないほど弱気、なんてありえない。アベっちですらできるだろ、それくらい。
 でもって、それと少女レイプしても現地で裁かれないみたいな在日米軍人の本物の「特権」とを、同列で考えられるわけもない。っていうか、「在日特権」ってのはまさにこれのことでしょ。車の税金も日本人の3分の1だとか、基地外に住んでるのに住民登録してない(=住民税払ってない)やつもいるとか。
 そんなのすべての米軍人じゃないって?そうだろうよ。でもそれを言うなら、いわゆる「在日」韓国・朝鮮の人だって同じだよ。生活保護不正受給してるやつの、全受給者の中の割合とかと同じレベルの話だろうが。でもって米軍人・軍属のほうがもっと優遇されてる割合は多いし、その中身自体がはるかに深刻なのはわかりきってるはずだろ。
 しかもだよ、そんな米軍に年間数千億円相当(金だけでなく設備・土地の提供なんかも金額換算して)の「思いやり予算」まで払ってるなんて、ハア?ハアアアア??ってわけでもう理解を超えてるわけ。
 映画「ザ・思いやり予算」
 だからだから、ここでこそ「在日」を攻撃する人達の出番じゃない?思い切り暴れてくれたらいいじゃない、日本を食い物にするザイニチめえ!ってアメリカ大使館前でやればいいじゃない?なのに、彼らの脳内からは、このことが奇妙なくらい抜け落ちてるというか、漂白されちゃってるように見える。どういう経緯でそうなってるにしろ、「マジで気づいてない」老人に近いほうの残念な人達である、っていうのはそういうことだよ。

 でもね、そういうやつらを「差別主義者だ、みっともない」とかって白い目で見てる日本人の中にも、結局日本の「国体」がアメリカのものであるという現実まではどうしても受け入れられない、自己欺瞞の輩がたっくさんいる、と思うんだよ。いや思うというか、実際それが現実なんだよ。俺から見れば、そいつらだって振る舞いが穏健なだけで、基本ザイトク会と変わらねえじゃん!ってことになるんだよ。
 「国体」なんて俺は大嫌いな言葉だけどさ。でも上の自己欺瞞の輩が心の底で寄りかかってるものの正体っていうのが、言うなればその「国体」ってやつなんだろうな、と思うわけ。近代国家のアイデンティティに古代神話やカッコつきの「歴史」を包摂したようなもの。で、俺はそんなものいっそアメリカにくれてやれば、寄りかかるものがなくなったやつらが全員ズッコけて、まあしばらく笑えると思うんだよ。笑いてえな。

 だからもう、マジでアメリカでよくね?いいじゃんアメリカになっちゃえば。ほぼアメリカなんだし。アメリカの51番目の州になればいいんだよ。ハワイみたいに。日本人好きだろ、ハワイ?
 いろんなことがすっきりすると思う、日本がアメリカに統合されちまえば。俺ら、アメリカ人として再デビューすればいい。何が問題?アメリカ人になったら、「在日」の問題は解決するよ。全員平等にアメリカ人になるだけだから。ルーツがどこであれ、何の差別もないっていうのが国の(表向きの)柱だからね。
 何より、日本がその内向きに歪んだ構造ゆえに手をつけられないでいた、いろんな聖域が聖域でなくなって、国際基準に照らして「なんだそれ?」っていう気持ち悪いものがばっさり切り捨てられて、絶対スッキリすると思うんだよ。東電とか、天皇制とか、靖国神社とか。セックスして頭坊主にするアイドルとか。「今でしょ!」の人とか。
 それに加えて、アメリカにすり寄るしか能がないくせに「日本」のために頑張ってるようなポーズ取ってる、クソみたいなやつらのおためごかしを聞かなくて済むわけだよ。アメリカの外圧がなければ何も変えられない国だ、なんてぷんぷん怒ってた連中の血圧も下がるよ。もうアメリカなんだから、外圧なんかねえし。
 米軍基地が、沖縄だけに集中することもなくなる。その代わり、軍事に関するさまざまなことに向き合わなけりゃならなくなるだろうけど、いいじゃない、アメリカ市民として向き合えば。徴兵を拒否することもできる。戦争に反対することもできる。軍需産業の暗躍を告発することもできるし、かつて日本にあった「9条」をアメリカ憲法の中に再生する運動を起こすこともできる。
 そうそう、憲法っていえば。国民が政府を制御するために憲法を持つっていうのが近代国家の要件なのに、その逆のことを「自主憲法案」なんつって大新聞が真顔で掲載してるのを、大多数の国民が怒りもしないで受け流す国なんて、およそ近代国家とは言えないよな。しかもそういう批判があると、日本は西洋ではない、西洋の近代・民主主義とは一線を画す独自の国家路線を歩めばいいのであーる、なんてもっともらしいこと言って済ませるバカも一定の支持を集めたりしてな。「国家」それ自体が、またそいつらが大好きな明治「維新」も西洋近代の産物だってえのにさ。
 だからさ、そんなナルシスティックな連中の頭の中の腐ったよどみも、アメリカ人になっちまえばきれいに洗い流せると思うんだ。政治家っていうことでいえば、ハシモトとかイシハラみたいな連中、アメリカじゃ政治家になれるわけがないしね。アベっち一派なんかだって、アメリカおやびんの下僕を務める代わりに日本っていうショバをまかされてる気弱なゴロツキみたいなもんだけど、その日本がアメリカに統合されちまえば、アメリカ本土からもっと優秀なゴロツキが派遣されるから失業しちゃうだろ。まだしも健全なことだと俺には思えるんだけどな。

 とにかく、軍事だけじゃない。アメリカになっちゃったら、アメリカが抱えるいろいろな問題が俺達自身の問題になるだろう。いいじゃん、闘えば。アメリカ市民として、堂々と市民の権利を盾にして闘えばいい。銃規制のために闘おう。グローバル企業の搾取を告発しよう。遺伝子組み換えと闘おう。原子力産業と闘おう。国民皆保険のために闘おう。
 そうしたいろんな問題に対して、もっと前向きに市民として闘う姿勢が身につくのは悪いことじゃないよね?日本にいると変人扱いされて孤立するような市民運動も、アメリカでは普通に民主主義的行為だからね。
 アメリカの商品ずくめになってうんざりする?ショッピングモールだらけになる?今だってそうじゃん。着々とそうなりつつあるじゃん。農業が壊滅する?狭い土地に無理から農地なんか作らなくても、「日本」の中での自給自足なんかなくなっても、その土地にふさわしい新しい産業を多様に育てていけばいいじゃん。無意味な農本主義的な考えから解放されて、より風土に素直に根ざした産業が発展(再興)する可能性だってあるんじゃない?
 本土から思い切り離れてる分、総体において自治は大きく認められるよ。温泉とか正月の餅とかはそのままだから心配要らない。およそライフスタイルに関しては、現代日本と変わらないだろう。極東の「州」の連中が多少本土と違う暮らしぶりしてたって、別に本土が迷惑するわけでもないって、その辺アメリカ人はドライに割り切るし。日本語の教育も認められて、みんなバイリンガルに育つから国際競争に有利かも。
 そういう具合で、失うものもあるけど、得るもののほうがずっと多いと思う。逆に失うもののほうが大きかった、これではみんな不幸だというのであれば、その時は「日本を取り戻す」ために決起すればいいじゃん。するんだろう?する気概はあるんだろう?大概の国は侵略者や宗主国と闘って独立を勝ち取った歴史を持ってる。日本も初めてそれを持てる、喜ばしいことじゃん?

 大体がアメリカになったらこんな問題が・・・って言い出す輩は失礼なんだよ。日本だって問題だらけのくせに、って話だろ。どんな国だって問題なんてあるんだよ。そしてその国の人間として問題と闘えばいい、それだけの話なんだよ。だから、・・・おまえも日本にいて日本の問題と闘えって?いやあ、それだけは・・・ha-ha-ha。
 おあとがよろしいようで。

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2 コメント

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グローバル化という名のアメリカ化 (tokoro)
2013-06-23 18:16:57
いつだったか、朝日新聞だか毎日新聞だかにアベさんが目指しているのはグローバル化だって書いてありましたね。
近代に出来上がった国民国家を壊してグローバル化。
その代わり隣国に喧嘩売って右傾化を高めてなんとか国民をつなぎとめようというのがアベ流。

まあそのとおりなんでしょうけれど、じゃあほかにどんな手があるの?という手詰まり感が覆っているのが今の日本って気がします。
ネトウヨその他でなければ、アベさんを積極的に支持しますなんて人はそう多くはないでしょう。大概は他に選択肢がないという消極的支持かとりあえず皆が支持しているからという何も考えていない派のどちらか。

本当は経済成長に頼らない別な道を模索する必要があるんでしょうけれど、そのポジティヴロールモデルがいないのが一番問題なんですよね。BLOG BLUESさんのいう緑の党は一つの可能性なのかもしれないけれど、ポジティヴロールモデルまでには行き着かない。

お前はどう考えているのかと言われると本当に困ってしまうのですが、とりあえずしばらく福島で暮らして、なおかつ山ばっかり行っている人間としては、東京を捨てることから考えたらどうでしょう、と思います。東京を基準にしなければ、日本は結構良い国ですよ。ホント。
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>tokoroさん (レイランダー)
2013-07-11 07:46:52
お久しぶりなのに、返信送れてすみません。お元気でしたか?

確かに、日本の問題と東京その他の大都市圏の問題を一緒くたにしてしまうことは、僕も知らず知らずのうちにやってしまっているかも。
ただ一方で、大都市圏を前提にしなければ成り立たない地方のあり方、その地方で行き詰った人たちの流れ込む先が大都市圏であること、などなど、双方の問題は一蓮托生ということもあります。
またそれとは別に、地方都市単体で見ても、こういう指摘があります。

http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20130217/1361107055

いずれにせよ、東京「基準」という信仰からの脱却が最低限必要ということは間違いないですね。

P.S.
tokoroさん、もしよろしかったら、こちらのブログにメールくださいませんか?
civil_faible@mail.goo.ne.jp です。
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