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中大杉並高校 音楽部

中央大学杉並高校の部活動のひとつ〈音楽部〉のブログです。

活動内容やスケジュール、受賞実績などをご紹介します。

バンド名を決めようマニュアル

2025-06-20 10:32:00 | 

部員用にマニュアルを書き始めたのですが、全国の軽音楽部顧問に「あるある笑」と思っていただけそうなネタになりますので、こちらに転載。("○○期"は本校のバンド名の事例です。)

 

①特殊な記号は避ける

⤴ 🌟 ♪ などの特殊記号や絵文字は、大会プログラムや配信サービスでは表記できないケースがあります。
例)さんせっと⤴(57期) … 媒体によっては「さんせっと↑」と表記されていました

 

②アルファベット、日本語以外の言語の文字は避ける

例)lätt(57期) … 「ä」(ウムラウト付きの”a”)は配信サービスでは表記不可でした
  nëolull(61期) … 「ë」(ウムラウト付きの”e”)は配信サービスでは表記不可でした
「BOØWY」という伝説のバンドがいましたが、1980年代からずーっと「Ø」の表記のせいで誰かが迷惑しています。

 

③日本語でも特殊と思われる表記は避ける

例)ヨジショウ(60期) … 半角は配信サービスで表記不可でした(後に全角に改名)
漢字の旧字や異体字(「崎」ではなく「﨑」のような漢字)も避けた方が良いでしょう。

 

④バンドメンバーのイニシャルや頭文字を取るのは避ける

KAT-TUNみたいなことが起こります。

 

⑤バンドメンバーの人数を示す数字を入れるのは避ける

誰か辞めると、その後ずっと微妙な空気になります。がんばれ!6on(62期)

 

⑥エゴサしたときに永久にヒットしない名前は避ける

例)87(51期) … 読み方は「ハナ」でした
  maker(50期) … 引退後にManic Mood Makerに改名(すぐに解散)
「THE 2」というバンド(2024年解散)が、以前は「2」というバンド名だったが、シンプルすぎてプロモーション上は相当不利だったと思います。(「THE 2」は中杉とは無関係です)

 

⑦アルファベット表記なのに英語的な読み方をしない名前は避ける(読んでもらえない)

例)MUSTCAT(59期) … どう見ても「ますときゃっと」だが正しくは「ますとかっと」
  affectea(60期) … どう見ても「あふぇくてぃー」だが正しくは「あふぇくてぃあ」
  geluk(60期) … 正しくは「へるっく」。”オランダ語”ということでギリ説明はついたが…

 

⑧下ネタ、回文、早口言葉の類は避ける

サムいし、大会でエントリーを拒否される場合も。
かつてどこかの学校が「ミックスジュース抽出中2」という名前で大会にエントリーしていましたが、MCさんが迷惑していました。「きゃりーぱみゅぱみゅ」だって…

 

⑨名前が決まらないからといって「Unknown」、「No Name」などの名前にしない

サムいし、それぞれ全国に500組ずつくらいいます。「404(Not Found)」もけっこういそう

 

いろいろな場面で「バンド名にはどういう由来が?」と聞かれはしますが、そんなに深い意味はなくても良いし、理由は後付けでも構いません。「UNISON SQUARE GARDEN」が、メンバーが思いついた1単語ずつを持ち寄って繋げたのは有名な話。

いろいろ書きましたが、面白半分で書いているだけですので、真に受ける必要はありません。好きにせえ。

遅くとも8月末までにバンド名が決まっているのが望ましいです。(多くの場合、合宿前くらいまでには決まっていますが。)


オリジナル曲への取り組み方

2025-06-19 08:53:03 | 

主に大阪の先生方から「どうやってオリジナル曲に取り組ませているのですか?」という質問をいただき、その話題を起点に、現在自分がどのように部活動に関わっているのかをお伝えするうちに、自分がやっていることが徐々に相対化されてきたような気がします。ですので、そんなことをQ&Aスタイルで言語化してみようと思います。

 
Q)どうやってオリジナル曲に取り組ませているんですか?
A)これについてはご参考にしていただけるようなアンサーをご用意できないのが正直なところです。だって、「先輩が作っているから、自分たちも作るもの」という感じになっていますから。ただ、「オリジナル曲が1曲でも演奏できないなら他校の合同ライブには連れて行かない」という形での動機づけはしています。これはK桐先生のマネです。
 
Q)オリジナルを作ったら、すぐに発表の場があるのですか?
A)本校の場合、合同ライブの機会に困ることはありません。主催すれば多くの学校が「来たい」と言ってくださり、また多くの学校から参加のお誘いをいただいています。お呼ばれする場合「1校4バンドまで。1バンド最大2曲まで。」が、多くの学校のスタンダードです。ですから、複数のバンドを連れていくことが多いですし、私は1バンドのために休日をつぶしたくないので、「複数バンドが参加を希望しなかったら連れて行かない」を条件にしています。特別な事情が無い限り、いつも4バンド以上から手が挙がるため、バランスを取るのが大変です。
 
Q)プロが作った曲に比べたら、圧倒的に見劣りのするものしか作れないのだからモチベーションが湧かない&続かないはず。どうしているんですか?
A)納得いくものを作れるまで、「作っては捨て、作っては捨て…」の繰り返しです。ですから、3年生であっても他人の前で(ある程度)胸を張って演奏できるのは、最新の2~3曲だけです。(入部のときにも、「最初の2年間は楽しくないですよ」ということを伝えています。)
 
Q)だったらなおのこと、最初のうちはオリジナル曲へのモチベーションは湧きませんよね?
A)先輩が皆オリジナル曲を演奏し、合同ライブで魅力的に映る他校のバンドは皆オリジナルを演っているし、各種コンテストイベントでもオリジナルを演らない限り入賞は難しいーーという状況ですから、楽しくなくてもオリジナルに取り組む流れになっています。
 
Q)知らない人が知らない曲を演っているのを聞いて、生徒は楽しいのでしょうか?
A)曲のクオリティと演奏のクオリティによります。下手な子がキーやスケールを無視した曲を演奏していれば、反応は冷ややかです。(もちろん、一生懸命聞くふりはしますが、演者は「自分たちの曲ってビミョーなんだな」ということは、すぐに分かります。)
逆に、カッコイイ曲を高い技術で演奏していれば、フロアはポジティブな反応をします。「自分たちのオリジナル曲が合同ライブやコンテストを通じて有名になり、最終的には他校の軽音楽部員が自分たちの曲をフロアで歌ってくれる」というのが、一つの到達点だと思っています。(それは最高の景色です。)
 
Q)そんなに何度も、同じ人に自分たちの曲を聴いてもらう機会があるものですか?
A)部活の活動状況によります。活発な学校は、あちこちの合同ライブに呼ばれあちこちに出向いていますから、X高校のAというバンドを、Y高校の合同ライブでもZ高校の合同ライブでも見る…なんていうことはたびたび起こることなのです。(それに加えて、ライブハウスや楽器店主催の民間のコンテストでもちょくちょく顔を合わせることになります。)
 
Q)それでもほとんどの曲は、プロの曲のようにはならないですよね。嫌になったりしないんですか?
A)アレンジとしてはなんのひねりもないような曲であっても、歌い方、表情、ステージング、思いの込め方等々によってフロアを沸かせることができるものです。大阪の皆さんに、「東京のバンドは、なんかプロを意識しているような(スカした)ライブをする」と思われているのは、そうした「思いの込め方」や「フロアの湧かせ方」のレファレンスが似ているからかもしれません。私は(東京のバンドがスカして見えるのとは)逆に、大阪のトップレベルの学校さんのステージに「やらされてる感」を感じています。見ている文脈・評価する基準がお互い全然違う、ということですよね。
 
Q)上手い子がいるバンドは良い曲を作ってどんどん注目されて、そうでないバンドはどんどん腐っていく…なんていうことにはならないのでしょうか。
A)少なくとも本校ではそういうことはありません。上手い子がいても良い曲ができるわけではないですし、良い曲ならフロアの心をつかめるわけでもありません。バンドの全員が同じ熱量で同じ方向を向いていて、初めて良いライブになるものですから、結局のところ技術でも知識でもなく、もっとも必要なのはバンドのメンバー内のコミュニケーションであり、ライブの際の演者とフロアのコミュニケーションです。
もちろん、それでも思うようにいかないことも多くありますから、そこを腐らせないようにモティベートするのが顧問の腕の見せ所だと思っています。(別に腐ったところで、顧問の知ったところではないのですが、まあどうせなら楽しくやってほしいですよね。)
 
Q)オリジナル曲の作り方を顧問の先生が教えたりするのですか。
A)私個人は作曲もアレンジもやったことがないですし、胸を張って「演奏できる」と言える楽器もありません。ただ、とっかかりがないと踏み出せないので、「作曲や音楽理論の参考になりそうなYouTube動画を1年生に紹介する機会」を作ったりはしています。演奏テクニックや作詞作曲の理論などを紹介したYouTubeを漁るのは大好きです。部員には「この人、自分でやらないくせに何で詳しいんだろう?」って思われていると思います笑。また、理論的・専門的な説明が必要なときには、コーチに強力してもらっています。(コーチは町の音楽教室の経営者で音大受験の指導などをしている方で、音楽をクラシックの側面からもロックの側面からも語ることのできる人物です。)
 
Q)そうやって、顧問の先生やコーチが部員さんのオリジナル曲の手直しをしているんですね?
A)「手直し」と言われるとかなり語弊があります。顧問とコーチの骨太の方針として、「ダメ出しはするけど提案はしない」というものがあります。特にフレーズの提案やコード進行の提案は厳に謹んでいます。「サビの盛り上がりに欠けるよね」「Bメロでベースの気持ち悪い響きがあるよね」といった指摘はします。また、その指摘の中で、「一般的なセオリー」を紹介することもあります。「それだって、ある種の提案ではないか」と言われればそのとおりなのですが、「部員にアイディアをパクられないようにする」ということに注意をしています(笑)。ですので、「コード進行がこんな風になるともっとかっこよくなるんだけどなあ」と思いながらも、そのままにしてコンテスト等に出演させていることもよくあります。
 
Q)それでも毎年3年生が様々なステージで個性を発揮できている要因はどこにありますか?
A)各バンドが「セルフ・プロデュース」の意識を持って取り組んでいるからだと思います。ですので、だいたい2年の中盤〜終盤あたりで「自分たちのバンドの方向性」に悩むことになります。もちろん我々大人が「あのときのあの感じが良い感じだったじゃない?」とか「今回の曲は、みんなのキャラに合ってるね!」みたいな話はしますから、そういう意味では完全に「大人がプロデュースしていない」とは言い切れないのですが…。ただ、プロデュース業はとても楽しいので、「大人がプロデュースしちゃダメだぞ」と強く意識をしておかないと、生徒自身がプロデュース力を身につける機会を奪うことになってしまいます。
 
Q)では、顧問の先生はオリジナルの制作やアレンジの場には立ち合っていない、ということですか?
A)そのとおりです。特にアレンジの場に立ち会ってしまうと、アイディアを提案したくなってしまうので、いない方が望ましいです。新曲についても、「合同ライブで初めて聞いた」ということがよく起こります。もちろん制作段階で行き詰まることもあるので、そういう場合はバンドのメンバーがコーチに演奏動画を送って、Zoomでコメントをもらったりしています。本人たちは、具体的なアイディアとか方向性を欲してコーチに助けを求めるのですが、たいてい抽象的なことしか言ってもらえないので、基本的に自分たちで考えるしかありません。
一方、東京埼玉神奈川千葉の合同ライブでは、「ライブ終演後に他校の顧問の先生の元へ行って講評をもらう」のが通例化しています。他校の先生から「あの曲のサビのアレンジはなんだかごちゃごちゃして聞こえた」とか「ベースがハイポジションばかり弾いていて、なんだか締まりがない」とか、そういったアドバイスをもらえることもあるので、部員たちはそういうのも参考にしています。(ただし、Aという先生とBという先生が全く逆のことを言うことも多々あるので、結局のところ、自分たちでよく考えなければならないのです。)
 
Q)そうなってくると、部員はデタラメな曲を作ってきたりしないんですか?
A)よくあります。また他校のバンドでもそういう子たちに出会います。セオリー度外視でも自信満々に演奏して、アンサンブルがバッチリ合うことで、「すっごい気持ち悪いけどなんかクセになるな」みたいな子たちもいます。あるいは、自分たちで良い曲が作れずにそのままモチベーションが下がっていく子もいるはずです。高校生バンドに色々教えたい大人はものすごくたくさんいますので、そういう人に部活動単位で(あるいは個人で)頼っている様子も見かけます。本校の場合、年に2回、みんなでオリジナル曲の資料(コード譜や度数、歌詞などが入ったもの)を持ち寄り、コーチといっしょに検討をする機会があります。(画像参照/これはかなりちゃんとしているやつです。ほとんどは手書きで、度数表示もなく、ルーズリーフです。) この会でも、先述の通り大人が提案するようなやり方にならないよう注意を払っています。
 
 
 
また顧問(大舘)は国語科の教員ですので、部員から歌詞について講評を求められれば、画像のようにコメントをすることがあります。歌詞についても同様に、提案はせずに、「この表現では伝わらないのでは?」といった形での「ダメ出し」にとどめています。ただ、歌詞に講評を求められることはめったにありません。(顧問に歌詞を読まれるなんて、ひどく恥ずかしいですもんね!)
 
 
 
Q)大会には実力のあるバンドしか出られないんですよね?
A)連盟主催の公式戦(夏・秋)のうち、夏の大会は1校5バンドまでエントリーできます。(ただし、実力がなければエントリー費を払ってエントリーしても音源審査で落選、ということになってしまいます。)また、準公式的な大会やライブハウス主催・楽器店主催の高校生向けコンテストイベントが数多くあり、そういうものまで含めると、腕試しするをする機会が得られないということはありません。あんまり賞レースに汲々としてほしくはないのですが、今はバンドもお笑いも「賞レースありき」みたいなところがありますよね。生徒は良い賞を獲りたくて鼻息も荒いのですが、顧問が率先してグランプリを目指すようなことはしていません。この部活の中で頑張っていれば、自ずと「それなり」の結果は出るので、そこまでくればあとは時の運だと思っています。顧問やコーチがもっと頑張れば、もっと良い賞が獲れる率は上がるかもしれませんが、我々が頑張るのは筋違いです。普段から「顧問やコーチの言うことを聞いて賞を獲ったって嬉しくないでしょう?」と言い聞かせていますので、その分、なにか賞をいただけたときの達成感は大きいと思います。(そもそも少なくとも3学年でバンド数が10を下回ることはなく、2025年6月現在は16バンドが在籍しています。大人が一つ一つのバンドに手取り足取りかまっている余裕はありません。部員から「練習を見に来てください」と言われることも年に1〜2回あるかどうか…。)
 
Q)連盟主催の夏大会は音源審査なんですね。音源収録はどうしているのですか?
A)本校は極めて特殊なケースだと思いますが、楽器別のレコーディングやミックスダウンの行程を全部部員たちの手で行っています。顧問は基本的な考え方や手順は知っているものの、細かなDAWの知識を持ち合わせませんし、今後も覚えるつもりはありません。近年はiPhoneのGarage Bandで簡易的なレコーディング&ミックスダウンをするケースが多いため、それに適したオーディオインターフェースを買い揃えるなどのサポートはしています。また、毎年オリジナル曲を収録したアルバムを制作していますが、サブスクリプションサービスへの登録(配信登録)は顧問が行っています。(その作業の手前までのデータ取りまとめは生徒の仕事です。)
 
(終わりに)
以上お読みいただいたらお分かりいただけるように、本校としてはオリジナル曲に「取り組ませている」という雰囲気はありません。生徒も「オリジナル曲をやらされている」とは思っていないと思います。「どうしたらオリジナル曲に意欲的に取り組むのか?」の一つの回答は、「カッコいいオリジナル曲に取り組んでいる高校生に出会う」ということに尽きると思います。本校主催の合同ライブにも、たまにコピー曲しか取り組んだことのない学校さんが参加されます。少なくとも本校の合同ライブでコピー曲を演奏する学校(バンド)はマイノリティです。その立場からオリジナル曲をやっているバンドを見れば、とてもクリエイティブなことをやっているように見えるものです。実際に、「中杉の合同ライブに刺激を受けて、ウチの部員もオリジナルを作ろう!と言い出しました」という声を聞くことがあります。その子達がそのモチベーションを継続できるかどうかは、また別の現場でオリジナル曲を演奏するカッコいい高校生バンドに出会えるかどうかにかかっています。そのためには、フットワーク軽く合同ライブに参加しよう!という顧問の先生の存在が不可欠です。「どうせなら一生懸命部活に取り組んでほしい」と思っている顧問の先生を何らかの形でサポートできれば…ということは常に頭の片隅にはおくようにしています。
 
なにかご質問やご意見があれば、odate◎chusugi.jpまでお寄せください。(◎→@に変更してください。)
 

今どきの若い子が洋楽を聞かないのはなぜか

2025-04-02 05:31:02 | 

この界隈にいると、よくオジサマ方からこの問いが聞こえてきます。普段高校生軽音楽部員を相手にしている立場から、一つのアンサーを示してみたいと思います。「なぜ洋楽を聞かないのか。」


1)レコード、CDの衰退
脱法アプリ→YouTube→サブスクという音楽視聴体験の変化により、一つの作品を「聴き込む」必要がなくなった。ライトな音楽体験が中心になるのなら、聞きやすい日本語の音楽を聞く。

2)「会いに行ける」価値のクローズアップ
秋元康がこの価値を「見える化」しましたよね。15000円払って年に一度見に行けるかどうかというアーティストよりも、3000円で年4回見に行ける方が良い。

3)「推し」文化
こちらも同じ。「推し活」するなら身近な存在の方が良い。

4)アイドル文化・K-POP
ほぼ2)3)と同じ話ですが。かつては一部のオタク界隈のものでしかなかったアイドルの裾野が広がりましたよね。そちらの裾野が広がった分、アメリカやイギリスの音楽のマーケットが(日本では)小さくなったというか。

5)フェス文化
音楽をライトに聞くようになったという1)に通じる話題。そして「会える」という2)につながる話。一人のアーティストの音楽を20曲続けて聞くライブよりも、興味のあるいくつかのアーティストの曲を8曲ずつ聞ける方がお得。

6)結局プロモーションされた音楽を聞く
「ニワトリが先か卵が先か」の議論にはなりますがーー。そういう時代にあって、もう海外アーティストのプロモーターは勝算が薄いですから、わざわざ海外アーティストでひと儲けしよう、なんて思わなくなりますよね。お金を取れるのは、ガンズに最低でも15000円払える懐古厨の中年のみ。海外アーティストがプロモーションされないなら、そりゃあ売れない。逆にプロモーション戦略に長けているK-POP界隈はちゃんと儲かっている。

7)情報過多
インターネット、SNSの時代。情報が多くなると、個人の周囲に集まる情報が「タコツボ化」するのは、よく言われること。「情報が多い」と「視野が広がる」のではなく「耳障りの良い情報に流れる」。プロモーションされない情報のタコツボができるはずもない。

8)音楽性の変化
これはだいぶ暴論かもしれませんがーー。その昔「タモリの音楽は世界だ」で羽田健太郎が「Bon Joviは演歌」という解説をしていました。80〜90年代の洋楽ヒットチャートからは日本人の好む叙情性が聞こえてきましたが、そういうものが以降後退したような印象があります。安室奈美恵が小室哲哉プロデュースを離れた第一弾の楽曲が「アメリカのプロデューサーを迎えて制作!」という触れ込みだったわりに、聞いたときに「なんだかフックの少ないつまんねえ曲だな」と思ったのをよく覚えています。近年の邦楽の傾向の一つに、「テンション感の強いコードがめまぐるしく変わる楽曲」というのがあると思うのですが、こういうのも一種のガラパゴス化を感じます。でもそういうのが馴染むんでしょうね。

 

終わりに)
私はギリBO∅WY解散後に音楽を聞き始めた世代ですが、関係なく一生懸命BO∅WYを聞きました。一方今の若者は現在活動していないアーティストへの関心が薄いように感じます。これって、「洋楽を聞かない」理由と同じだと思うんですよね。だから、問いは「なぜ洋楽を聞かないのか」ではなく、「なんでも聞ける昨今なのになぜ古今東西の音楽に触れようとしないのか」なんだと思います。

 

※以上、過去に書いたことの焼き直しです→(2016年当時2020年当時


謹賀新年2025

2025-01-01 00:15:00 | 

あけましておめでとうございます。

旧年中はたくさんの人に支えられ、そして応援していただき、充実した活動を行うことができました。

本年もたくさんの人に支えていただきながら、常に新しい挑戦を続け、自由でクリエイティブな活動をしていきたいと思います。


ご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

 

イラストACより

 


音楽部と吹奏楽部が一緒に演奏すると吹奏楽部の音が聞こえないのはなぜか

2024-10-01 13:32:36 | 

 

 

当初、この記事は2024年緑苑祭のふりかえり記事の一部として書き始めたのですが、「もはや文化祭関係ないな」と思いまして、当ブログ「雑」カテゴリの記事に回ることになりました。

こんな記事を吹奏楽部さんが読んでくれるとは思いませんが、音楽部の1年生の勉強用+「今後に向けて」ということで…。

 

1.本記事執筆の背景

後夜祭の吹奏楽部とのコラボについては、例年コミュニケーションに苦労しており、今年もまた然りだったようです。

今年は、例年以上に「吹奏楽部の音が聞こえない問題」が前景化することになりました。(過去は、吹奏楽部さんが「聞こえないのは承知の上」という形での出演だったので、前景化することはありませんでした。)

マイクを立てたとしても、吹奏楽部の音をスピーカーから出すのはかなり難しいーーということを、吹奏楽部さんにも十分に説明するんですよ」ということを3年生にはしつこく伝えましたし、3年生なりにその努力はしたのだと思います。ただ、なかなかそれは簡単ではなかったようです。

 

2.マイクのこと

私達がやっているように、マイクで音を録り、それをスピーカーで増幅して流す作業のことを”PA”と呼んでいます。これは”Public Adress”の略で、「広く公衆に伝達すること」の意です。

(軽)音楽部にでも居ないと、ロックバンドのPAが何をしているのかーーなんて考えたこともないと思いますが、基本的なことは

 ・演奏者の音をマイク等で集音する
 →ミキサーで個々の演奏者の音量や音質(後述)を調整する
 →音を大きくしてスピーカーから流す

というプロセスです。ドラムセットやギターアンプはそれ単体でも相当大きな音を出すことができますが、ギターアンプから出ている音もドラムセットの音もマイクで拾い、音量音質をミキサーで調整しています。

そういうわけで、ドラムやエレキギターほど大きな音が出ない管楽器は、マイクで音を録らないと、聴衆に音を届けることはできません

ただ、この「マイク」への理解がまた曲者です。「吹奏楽部全体の音をスピーカーから流したいのなら、吹奏楽部全体の音が聞こえる位置にマイクを立てて集音すれば良いのでは?」と思いますよね。これが、そういうわけにはいきません。マイクには「感度」があります。「音を拾いやすい/拾いにくい」という感度です。

吹奏楽部の「全体の」音を拾うとなるとマイクの感度を上げて音を拾いやすくする必要があります。(カラオケのマイクだって、マイクから口を離すと音を拾いにくくなりますよね?)しかし、「音を拾いやすくする(我々は「Gainを上げる」と言います)」ということは、スピーカーから出る音も拾いやすくなります。つまり、マイクで音を拾う→スピーカーから流す→スピーカーから出る音をマイクで拾う→スピーカーから流す…というループが起こります。これがハウリングです。つまり、「吹奏楽部の全体の音を空間で集音する」ということは不可能に近いのです。

実際にボーカルはマイクにほぼ口が付くくらいの位置で歌いますし、ギターアンプにマイクを立てるときも、音が出る場所に直にマイクを当てています。マイクによる音の集音は(多くの場合)空間を介さず直接音がマイクに入ることが理想となります。今回も、吹奏楽部さんに「できる限りマイクとゼロ距離で演奏をしてくれ」とお願いしたのはそういう理由です。

 

3.耳の問題

そういうわけで、今回は吹奏楽部用に5回線(=マイク5本)用意したわけですが、「その5つの楽器の音だって聞こえないじゃないか」という声が吹奏楽部さんから聞こえてきました。

方や音楽部員の感覚としては「思っていたよりも聞こえる」でした。これは、それぞれの部活エゴの問題ではなく、「耳の問題=音の聞き方」に問題があります。

音楽部は普段から「音の棲み分け」を意識した「音作り」をしています。後述しますが、音量とは別に音質を工夫しないと音はグチャグチャして、「何かが鳴っているけど、うるさいだけで音楽としては聞きづらい」ということが起こります。

吹奏楽部さんの場合は(おそらくですが)、全体の音の調和とか融合をめざしていますよね。吹奏楽のアレンジは、Aの楽器とBの楽器が同じ旋律を奏でる場面が多いと聞きますが、それもAとBの楽器それぞれを聞いて欲しいのではなく、それらの混じり合った音を聞いてもらうことを目指しているのだと思います。

一方、PAを介した音楽をやっているロックバンドなどは、あまりそういうことはしません。仮にXの楽器とYの楽器がユニゾンフレーズを弾いたとしてもそれぞれの音が分離して聞こえることを目指します。(テンポからズレた演奏する、という意味ではありません!)

そのために行うことがイコライザー(=EQ≒音質)の調整です。例えばベースという楽器は、音階の上では低音を担っているわけですが、アンプから出る音は低域の周波数もあれば、高音の周波数も含みます。(一般に人間が聞こえる周波数帯は20Hz〜20000Hz(20kHz)だそうです。)このベースの高音域があまり出力されると、ギターやボーカルなどの音を出力する際に邪魔になってしまいます。ですので、それぞれの楽器や歌をEQ上で棲み分けるという操作をします。ギター・ベース・キーボードは楽器側(それぞれのアンプ含む)でもEQの調整をしますし、さらにそれらをミキサーの側で調整します。歌やドラムなど楽器側(演奏者側)でEQ調整できないものは、当然ミキサー側での調整となります。

…ということを日常的に意識を向けているがゆえ、音楽部は「スピーカーからどの帯域が出力されているか」「どの帯域(周波数)が音が被っているか」を聞き分けるを訓練をしています(顧問も含め全員その「道半ば」です)。ですので、そういう訓練をしている音楽部の立場から言うと、今回のコラボ演奏の吹奏楽部の音は「けっこう出力されていた」ということになります。(「それをもっと聞きやすくできないのかよ!」という疑問については後述。)

これは、別にそういう訓練をしている音楽部員の耳が優れている、とかそういう話ではなく、調和を聞く訓練をしている吹奏楽部、分離を聞く訓練をしている音楽部、という特性の違いなのです。

 

3.音量を絞れば良いのか?ーーDead or Live

「それにしたって、音楽部の音はあまりに大きすぎるじゃないか!」ーーそう思いますよね。私も中学生の時に始めて西武球場(現ベルーナドーム)でロックバンドのライブを観に行ったときに「なんじゃ!この音量は!!」と思ったのをよく覚えています。ライブハウスもそうですが、まあとにかく音が大きいですよね。

もちろんこの理由の一つに「ロックならではの迫力を求めて」ということもあるのですが、じゃあその音量を絞ることが簡単なのかーーというと一筋縄ではいきません。

ロックバンドでもDJイベントでもそうですが、大きい会場になると、会場の壁や天井による反響が生まれます。音は跳ね返れば跳ね返るほどグチャグチャしますし、先述のようなハウリングの原因にもなります。ですので、「反響した音ではなくスピーカーからダイレクトな音を観客に聞かせる」ということが求められます。そのためには、あの音量が必要なのです。

ですから、今回、「音楽部の音をもっと絞って吹奏楽部の音を出すことができたのでは?」という疑問もあったかと思いますが、音量を絞ったところで客席からは反響音を聞くことになってグチャグチャするだけで、結局吹奏楽部の音も音楽部の音も聞こえない、という事態を招くことになるのです。

(合唱や吹奏楽のように生の音を観客に聞かせたい場合は、会場の響きが重要になりますよね。PAの場合はこれが全く逆でして、響かない会場であればあるほど良い、ということになります。こういう響かない会場のことを我々は「デッド(Dead)な会場」と呼んだりします。中杉の視聴覚室は、かなりデッドです。)

 

4.アレンジの問題

「たくさんの音を出してその調和を聞かせる吹奏楽」と「限られた音数を周波数帯ごとに分散させて個々の音の分離を目指すPA」は、そもそも食い合わせがかなり悪いーーということを、ここまで説明してきました。例えるなら、「サッカー選手もアメフト選手もフットボール選手だから、一緒にラグビーができるよね?」と言っているようなものです。「同じ音楽」「同じ合奏」「同じポップス」だからといって、何でも一緒にやってうまくいくわけではありません。

これに加え、今回の演奏の場合、「吹奏楽だけで成立するアレンジ」と「バンドだけで成立するアレンジ」を一斉に演っているのが致命的でした。

PAのことを知らないと、「全部鳴ると全部聞こえる」ような気がしますが、PA的には「全部鳴る=全部聞こえない」です(ノイズキャンセリングのイヤフォン&ヘッドフォンもこの仕組みを利用して、外部の音と逆位相の同じ音をぶつけることで外部の音を消しているのです)。今回の場合、例えばトランペットの出す周波数はフルートの周波数を網羅してしまうため、フルートが聞こえるようなPAをするためには、他の音を犠牲にするしかないのです。そういう「同居し得ない」組み合わせがたくさんあった、ということなのです。

ボーカルのメロディラインをなぞる楽器がありましたが、「歌もの」である以上、歌が優先されます。繰り返しますが、それを両方聞こえるようにすることはできないのです。いや、できるのですが、その「歌」と「歌メロをなぞる楽器」を両方とも聞こえるようにするために、今度は他の楽器の音を犠牲にする必要があるのです。

 

5.合同演奏は可能か

以上を踏まえた上で、それでも音楽部と吹奏楽部が一緒に演奏するとしたら、どういう形があり得るでしょうか。

案1)もともとホーンセクションが入っている楽曲をカバーする。(音楽部>吹奏楽部)

スカやファンクのようなホーンセクションのいる音楽は原則として、ギターや鍵盤が鳴っている瞬間とホーンセクションが鳴っている瞬間を分けたアレンジになっています。

一般的に、スカやファンクなどのジャンルに入るホーンセクションというと、サックス・トランペット・トロンボーンです。低音域はエレキベースが担うことになりますし、楽曲のコード感はギターやキーボードが担うことになります。

この形なら、吹奏楽部(ホーンセクション)をバッチリ聞こえるように調整することが可能です。ただし、それ以外の吹奏楽の低音楽器や木管楽器の人に出番はありません。

 

案2)吹奏楽部のアンサンブルにギター、ベース、(ドラム)として音楽部が参加する(吹奏楽部>音楽部)

上の案では、吹奏楽部がせいぜい3人しか出演できませんから、納得がいかないですよね。ということで、こちらの提案です。吹奏楽部の演奏する楽曲の中には、ドラムセットやエレキベースを使用する楽曲がありますよね。こうしたリズム隊だけ音楽部が参加するやり方です。PAは利用せず、普段の吹奏楽部さんがやっているように、ドラムは生音、ベースはベースアンプから出力します。加えて、吹奏楽部さんがソロ回しをするついでに、ギターソロの場面を作ってもらう、なんていうのはどうでしょう。(こちらもPAを介さず、ギターアンプの音を観客に届けることになります。)

ただ、音楽部のドラムの演奏は、吹奏楽部よりもかなり音量・音質の面で主張が強いので、「このドラム、うるさいな…」ということが起こるかもしれません。

当然のことながら、こちらの案の場合、音楽部員は最大でも3人混ぜてもらうのが限界です。また、演奏全体の音量としては案1よりも小さくなってしまうため、案1→案2の順で演奏すると、会場は盛り下がることになるので注意が必要です。

 

いかがだったでしょうか。いずれにしても、「音楽部員大勢+吹奏楽部員大勢」という形態でのコラボ演奏は無理だということがご理解いただけましたか。また、(きっと読んではくれないでしょうが…)「別に音楽部がエゴで大きな音を出して吹奏楽部の演奏をかき消そうとしていた」というわけではないことをご理解いただけたら嬉しい限りです。


合同ライブ セッティングシートの変遷

2024-02-13 08:30:00 | 
合同ライブの時には他校のバンドさんのセッティングについての情報を取りまとめるのが通例です。(たまにそれをせずに「どんなセッティングのバンドが来たって対応するぜ!」という強気な学校もありますが。)
 
他校のライブに参加する時も、自校で主催する時も、このとりまとめが実に面倒です。この10年、これをなんとかラクにできないものかと苦心してきました。オリジンであることを声高に主張するわけではないのですが、割に自分のアイディアを他校さんに採用してもらっているのでは?という気もしますので、そこらへんについてご紹介できればと思います。
 
 
フェーズ1〜書式(紙/Excel/PDF)を送り(Email/Fax)、記入/入力の上、返送〜
 
「合同ライブ」というものを本校でも主催するようになった当時に使っていた書式は以下のようなものでした。(これも変遷の末の形ですが。)
 
 
これといった工夫もありません。今でこそ、合同ライブというと「1バンド2曲」というのが関東近郊での通例になっていますが、同じ書式を文化祭でも使いまわしたいために、妙に演奏曲を書く欄がたっぷり用意されているのが特徴です。
 
ちなみに、東京都の軽音楽連盟さんや全国の軽音楽部協会さんは、だいたい以下のようなレイアウトの書式を使っています。
 


このレイアウトの雛形は、連盟発足当時に色んな先生の意見を踏まえて私が整えたような気がします。私が個人的に「レイアウト仕事」「編集仕事」が好きなので、このレイアウトを見ると、そこはかとなく自分の「匂い」のようなものを感じてしまいます。(ただ、記憶で書いていますので、「このレイアウトは自分の仕事」なんて主張しておいて、全然違うかもしれません。だとしたら恥ずかしい…。)
 
誰のレイアウトかはともかく、こういう書式をメールやFAXで参加校に送って、Excelで編集したものをメールで返送してもらったり、手書きしたものをFAXしてもらったりしていたわけです。
 
このやり方の難点は、他校の顧問の先生もとりまとめが面倒ですし、こちらとしても回収に手間がかかる上に、ここに書かれた情報に基づいてプログラムを作ったりするのにも非常に時間がかかりました。加えて、バンド名はもちろんのこと、演奏曲名その他の情報を転載する際に間違えたりして、せっかく参加してもらった皆さんに不愉快な思いをさせたりーーといったこともありました。
 
そういう作業を、顧問がやらずに部員にやらせるのが部活らしいやり方ではあるものの、「生徒に間違いのないようにやらせる」というのは本当に手間がかかるものでして、顧問自らやるにしても部員にやらせるにしても、無駄に時間がかかります。
 
 
フェーズ2〜Google Formによる入力→書き出しデータを利用した資料作成〜
 
「出演者本人が提出した情報をそのまま転載できるのが一番間違いがない」ということで、次に考えたのが、Google Formの利用です。
 
記録を見ると2018年の年初くらいから、Formの準備を始めたようです。(もう使っていませんが、Formの最終ver.はこんな感じです。)
 
 
 
 
 
こんなFormを用意し、スプレッドシートに書き出されたデータを、今度はExcelのlookup関数を使って、PA用のセッティング書式やプログラムに書き換える、という仕組みを作りました。(当時はスプレッドシート→Excelにデータを載せ替えることになんの違和感も感じていませんでした…。)これは、「出演者が提出した情報をそのまま使う」という試みとしては、ある程度良いやり方だったと思います。
 
 
とはいえ、恥ずかしながら顧問のITスキルの限界があり、最終的にはFormからlookupしたデータを「セッティング図」に可視化するプロセスが手作業になっていました。(ここらへん、Microsoft Accesssを使えたら…と思っていたのですが現段階でも習得には至っていません。)
 
また、バンド名・曲名・メンバー名等が入ったプログラム(「番組表」を意味する方の「プログラム」です)も、lookupによって一覧性の高いものを作ることができましたが、回によって出演バンド数等に違いがあるため、ある程度は「成形」の作業があったことは確かです。
 
 
こうして、ある程度の形を作ったところで、連盟の皆さんに「連盟の大会でもFAXや郵送をやめてGoogle Formを使ったらどうか」と提案したのですが、「利用する側が操作できない(抵抗がある)のではないか」ということで「時期尚早につき見送り」ということに。とはいえ、もともとは自分の学校の合同ライブで楽をするために組んだものですので、そのまま運用を始めました。
 
その後、コロナ禍になり人の移動が制限され、ギガスクール構想の進展も相俟ってGoogle formも浸透し、連盟さんはじめいろいろな学校の合同ライブで「セッティング情報をフォームで収集する」というやり方が増えたように思います。(Formで収集した情報を、私がやっていたように成形したりしているのかーーということには興味があります。)
 
 
フェーズ3〜Google スプレッドシートの共同編集〜
 
コロナ禍が一段落し、合同ライブを再開する頃、勤務校が本格的にChrome BookとGoogle for Educationを利用するようになり、私としてもOfficeのアプリ(Word, Excel, PowerPoint)を使わなくなってしまいました。と同時に、部活としてもPA環境や楽器アンプの入れ替えがあり、「Formに埋め込んだセッティング図を差し替える」「今までExcelで成形していた(「番組表」を意味する方の)プログラムやセッティング図をスプレッドシートに移行する」という作業の必要性が出てきました。
 
一度は、それらの作業に取り掛かったものの、如何せん面倒くさい! 同じフローをスプレッドシートに再現するにしては、そもそものそのフローが格別に便利ではなかったーーという事情もあり、その面倒な作業に取り掛かるモチベーションが湧きません。
 
折しも、Googleのドキュメント、スライド、スプレッドシート等の共同編集機能を普段の授業で多用し始めた時期でもあったため、やり方を刷新することにしました。それが以下の形。(実物はここから開くことができます。入力も可能。)共同編集設定になっているこのシートのクリーム色の欄に入力してもらう形です。(他の部分のセルを入力不可にすべきなんでしょうが、面倒でやっていません。)
 

この形のメリット
・Formに比べて一覧性に優れる(今何を入力しているのか、どこまで入力すれば終わるのか、が見える)
・見たまんま、セッティング図
・機材の入れ替え等の対応(書式の変更)がしやすい。
・参加校の顧問の先生はこのシートのURLを出演部員に転送するだけ。取りまとめ作業も返送作業も不要。(そこはFormでも同じ)
 
この形のデメリット
・iOSデバイス(iPhone/iPad)で入力する場合は、スプレッドシートのアプリが必要(これが最大のデメリット!/PC端末はブラウザ上で入力)
・このシートから別途(「番組表」を意味する方の)プログラム等を作る場合には、ひと手間かかる(後述)
・共同編集ゆえに他のバンドの情報を誤って消したり上書きする可能性がある(学校ごとにファイルを分けることで、他校の情報を消すようなことは起こらないようにしています)
 
 
現状、(「番組表」を意味する方の)プログラム作成は自動化できていません。ご覧のように、1バンドのバンドメンバーの人数が異なるため、これを上手く収める手立てが思いついていないのです。したがって、入力してもらったセッティン図の必要事項をコピペしてプログラムへと流用しております。しかし、ただのコピペですので、近いうちにこの作業は部員にやってもらおうと思っています。
 
 
まとめ〜ツールの変遷とともに〜
 
以上見てきた変遷は、たかだかここ10年ちょっとのものです。学校現場は、時代から2周回遅れしている業界であり、つい最近になって「FAXを廃止しよう」と決まったという有り様です。ですので、上記の「フェーズ1」であっても「記憶に新しい」という感じです。
 
「フェーズ2」は、Google Formという発想までは良かったのですが、収集したデータの成形段階はExcel(あるいはAccessが使えたらな〜)ということで、Officeアプリを使う発想からは逃れられませんでした。
 
その後、私の勤務校は「Google for Education + Chrome Book」に舵を切ったため、かつて「Microsoft:Word, Excel, PowerPoint」で行っていた業務は(ごく一部の業務を除いて)「Google:Document, Spreadsheet, Slide」に移行してしまいました。「今さらExcelをWindows機で立ち上げるのは億劫」という事情が、「フェーズ3」を招いたという格好です。
 
学校という時代遅れの業界とはいえ、業務ツールの変遷が、こんな「合同ライブのセッティング情報」の集約にまで現れているのは、なかなかおもしろいものだと思いませんか。

謹賀新年2024

2024-01-01 00:20:00 | 

あけましておめでとうございます。

旧年中はたくさんの人に支えられ、そして応援していただき、充実した活動を行うことができました。

本年もたくさんの人に支えていただきながら、常に新しい挑戦を続け、自由でクリエイティブな活動をしていきたいと思います。


ご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

 

 

 

イラスト素材は来夢来人さんより


謹賀新年2023

2023-01-01 08:20:09 | 

あけましておめでとうございます。

旧年中はたくさんの人に支えられ、そして応援していただき、充実した活動を行うことができました。

本年もたくさんの人に支えていただきながら、常に新しい挑戦を続け、自由でクリエイティブな活動をしていきたいと思います。


ご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

 

 

素材提供 ダ鳥獣ギ画

 


同じ列の最後尾に並び直す

2022-12-30 11:56:18 | 

暮れに卒業生(を含むバンド)が複数組出演するライブハウスイベントに遊びに行ってきました。私(当部顧問)は「バンドマン」という生き方には懐疑的であり、これまでも似たようなことを当ブログで書いてきました。(他の記事を読んでみたいという奇特な方は「雑」というカテゴリを漁ってみてください。)

応援の気持ち、そして「元気でやってるかな」という気持ちでライブハウスに遊びに行った以上、彼らの活動を腐すようなことはすまいと思いつつ、やっぱり「ガッコウノセンセイ」などというお堅いお仕事をしているせいか、「将来どうするつもりなんだ」という思いが彼らの前でもダダ漏れてしまいました。いや、ライブ自体はとっても格好良かったんですよ。間違いなく。

ライブを終えた彼らと談笑する中で、タイトルにつけた表現が彼らの中から飛び出して、現在も頭にこびりついて離れません。(だからこうしてブログに文字を叩きつけているところです。)曰く、一度バンドの活動を止めると、再度動き出す時には「同じ列の最後尾に並び直す」必要があり、それはものすごく煩わしいのだ、と。今は、あちこちから声がかかっていいるようですし、バンドを回す範囲において赤字を出すこともなくやれているようです。きっと彼らは「列」の良い位置にいる手応えがあるのでしょう。

「同じ列」とは何か。たとえばこの日のイベントもライブハウスが主催するブッキングイベントであり、出演するバンドがそれぞれにステージ上で「今日のイベントに自分達のバンドを呼んでくれてありがとう」という感謝の言葉をブッキング担当者に伝えていました。活動を止めると、自分達のライブをみにきてくれる人が減ります。だって似たようなバンドはそこかしこにごろごろ転がっているから。客を呼べないバンドはライブハウスのブッキング担当者に呼んでもらえません。彼らの中には、それなりにバンドマンカーストがあって、もし「声をかけてもらえない」バンドになってしまったら、同じようにたいして客を呼べない格下のバンドと一緒にライブをやり、信頼と実績を再び積み上げなければいけません。ーー「同じ列の最後尾に並び直す」とは、おそらくこのようなことを指しているのだと思います。

「なるほど。大変なものだな。」と思いつつも、どうしても気になったことがあります。それは「なぜ同じ列に並ぼうとするのか」ということです。

 

Twitterのタイムラインを眺めていると、頻繁にサーキットフェスのタイムテーブルが流れてきます。同じエリアのライブハウスが共同開催し、客は見たい出演者を求めてそれらのライブハウスを「はしご」する、というアレです。

私はこういう部活動の顧問をやっていながら、「ライブハウスでライブを楽しむ」という趣味を持ち合わせません。音楽を聞くことは嫌いではないですが、長時間立っているのは苦痛だし、得られるリターンに対してずいぶんお金を払わされるな、という印象もあります。ビールも高いし。教え子が複数出演しているようなライブやフェスなら「行ってみようかな」と思わないことはないのですが、さりとて実際に足を運ぶことはめったにありません。

そういう立場の私が、あのサーキットフェスのタイムテーブルを見ると、いつも不思議に思うのです。

「このタイテを見て、出演するバンド・アーティスト(以下「バンド」)の皆さんは、なんで絶望的な気持ちにならないのだろうか?」と。だって、同じイベントに出演するバンドは皆ライバルですよね?ーー同じフェスに出ているバンドは、基本的には「そのフェス以外でそのライブを見ようと思ったときの単価がだいたい同じようなクラス」だと思います。同列のカーストとでも言いましょうか。例えば下北沢のサーキットフェスにB'zは出てきませんよね。カーストが違うからです。サーキットフェスに出ているバンド同士は、そのフェスの瞬間は仲間かもしれませんが、そこを離れたらお客さんを奪い合うライバルになります。

しかも、私自身が「趣味でライブハウスに行くことはない」と述べたように、「ライブハウスで音楽を楽しむ人たちの総数」というのは、急に増えたり減ったりしません。つまり、「パイが限られている」というやつです。フェスの時にはそのパイを分け合うことができますが、フェスを離れたときには、そのパイを奪い合うしかない。フェスの当日だって、「人を集められるバンド/集められないバンド」がいますが、その集められないバンドはフェスを離れたら、もっと集客に苦労するのではないでしょうか。(バンド単体で集客できないから、フェスに出たりブッキングライブに出たりするわけですよね。)

お金を払って見に来てもらうためには、他のバンドとは異なる魅力をアピールしなければなりません。しかし、ここで述べているようなバンドって、エレキギターを弾く人や歌を歌う人、ドラムを叩く人がいるバンドばかりです。あんなにたくさんのバンドが出ているのに、使われている楽器の種類はかなり限定的です。リズムは8ビートや四つ打ち、シャッフルビートであり、例えばラテンのリズムにはそうそう出会いません。パフォーマンスは一律に「熱量」が重視され、「客が腹を抱えて笑う」ことを目指したバンドにもそうそう出会いません。サーキットフェスのタイムテーブル表は、そんな似たようなバンドが山ほどいることをまざまざと見せつけられるアイテムです。それらと差別化をしなければ集客ができないし、集客できたとしてもパイは限られています。それってかなり絶望的なことだと思うのです。それなのにライブハウスで頑張ってライブをすることで、彼らはどんな成功イメージを持っているのでしょうか。

もちろん、「そもそも音楽で商業的な成功を得ることを求めていない」「趣味で山に登る人がいるように趣味でステージ歌っている」「お客さんがたった一人でもその人のために歌うよ」という人もいると思います。その人たちを否定する気はないですし、演者とリスナーの幸福な邂逅(かいこう=出会い)の場としてのライブハウスを否定する気もありません。私がここで述べているのは「バンドで商業的に成功したいと思っている人」です。その人たちは、ライブハウスでライブをすることで、その先にどんな成功イメージを描いているのか?それが不思議なのです。

たとえばそれは、「ライブハウスで活躍して注目を浴びることで、レーベルとの契約を得て、果ては武道館を満員にする」というストーリーでしょうか。もちろんあり得ないことではありません。ただ、武道館を満員にしているバンドって、「ライブハウスでの成功の末に武道館にたどり着いた」のでしょうか。ーー「ライブハウスで頑張ったから武道館にたどり着いた」のではなく、「レーベルの積極的なプロモーションがあったから武道館にたどり着いた」「タイアップによって知名度が上がったから武道館にたどり着いた」「何かの曲がSNSや動画サイトでバズったから武道館にたどり着いた」といった側面がかなりあるのではないでしょうか。(今年のCount Down Japan 2223の30日のヘッドライナーはAdoさんですって。彼女はライブハウスで頑張った人ではないですよね。もちろん、ライブハウスでライブを頑張った結果としてあそこにたどり着いたバンドもたくさんいますが、ブレイクのきっかけが本当にライブハウスの活動にあったかどうかは分析の必要がありそうです。さらにいうと、タイムテーブルにはアジカンがいて、Acidmanがいて、ホルモンがいて、9mmがいて、挙げ句の果てには佐野元春までいる。ベテランは椅子を明け渡してはくれません。)

だとしたら、成功するための戦略は「誰かに積極的プロモーションしてもらうために頑張る」「タイアップを得るために頑張る」「SNSや動画サイトでバズるために頑張る」ということもあるはずなのです。最近、身近な人がこんなことを言っていました。「ライブハウスで夢を追うのって、お祭りの出店のクジに期待するようなもの。そこに本当にアタリは入っているの?」と。

表題の「列」の話でいうと、それが「列」なのであれば、いずれ順番が回ってきます。しかしライブハウスでのライブ活動は、本当に順番が回ってくる列なのでしょうか。CDJには還暦をゆうに超えた佐野元春が出てきちゃうんですよ。列はちっとも進みそうにありません。(もちろん全てのミュージシャンが還暦まで現役で活動をするなんて思っていません。極論は承知の上。)

長い長い長い列に並び、年齢を重ねた先に待っているのは貧困です。本校の生徒はその多くが恵まれた家庭の出身です。生活や家庭環境の豊かさが人格に表れており、気持ちの良い人たちの集まりです。しかし「貧すれば鈍する」という言葉があるようにーー小学館『ことわざを知る辞典』によると「貧乏になると性質や頭の働きまでも鈍くなる。また、貧乏するとどんな人でもさもしい心をもつようになる。」とありますーー経済的な環境は人格に大きな影響を及ぼします。貧困に陥って「結婚もできない」「病気になっても病院にいけない」「今日壊れた冷蔵庫を明日買い換えることができない」なんていう目に遭い、挙句その人間性まで変わってしまったら本当に悲しいと思うのです。そして、実家住まいの若者には、ここらへんがピンとこないと思うんですよね。「最低限生活はできている」と勘違いしますから。

音楽をやめろとは言いません。でも、「列」には並ばないでほしい。その列はお祭りの出店のクジを引くための列だと思った方がいい。(だから列をショートカットする発想も行き詰まるでしょう。) 音楽表現をしながら、それがまとまった経済的リターンに繋がるような、そういうモデルを模索してほしい。少なくとも、本校の卒業生をそれを考えるだけの頭脳と、それを実行に移すだけの行動力を持っているはずなのだから。


2022年 「中杉音楽部」とはプラットフォームである 3/9

2022-03-09 21:03:00 | 
57期生の卒業式が挙行された今日、標題のことについて改めて気づいたことがあるので、したためておきます。

音楽部には小汚いダッフィーがいます。
我らが根城・第2音楽室の鍵 と
物置き兼活動場所・部室の鍵 を
首に括った全長30cmを超える?「キーホルダー」です。

50期〜51期あたりが持ち込んだように記憶していますから、かれこれ7〜8年は居ることになります。なぜヌイグルミがキーホルダーなのかと言うと、「大きなものに鍵をつけておけば、きっと失くさないから」に他なりません。教室の鍵というのは紛失しがちです。太古の昔には合鍵を作った極悪人もいたと聞いています。これだけキーホルダーが大きければ、そうそう失くすまいし、持ち出すまいーーと思うのですが、それでも文化祭や合同ライブなどでわちゃわちゃしていると、「ダッフィーが居ません!!」なんてことが起こるので、不思議なものです。

さて、卒業式を迎えたこの日、3年生部員が教員室に来てダッフィーを貸せと言うのです。「やっぱり思い出のダッフィーと写真を撮っておかないと」って言うんです。おいおい、顧問とは写真を撮らないのに、ダッフィーとは撮るのかよ。ずいぶんと寂しいじゃないかーーと、いささかムッとしました。しかし、すぐに思い直しました。部活動において、顧問が眼中に無いなんて、大変けっこうなことじゃないか、と。

このコロナ禍で、部活もたくさんのイベントが中止になったり形を変えたりしました。部員同士で引き継いできたことが、うまく引き継がれなくなり、どうしても顧問主導で行わなければならない場面が生じています。そのたびに「これは部員がやりたいことなのだろうか?顧問がやらせたいだけなのでは?」と自問自答しておりました。

しかし、今日彼らのとった行動は、部活動が顧問のやらせていたことではなく、ダッフィーが象徴する第2音楽室で行われていたことを表していました。そう、中杉音楽部は顧問の指導力でさまざまなクリエイティブを成し遂げてきたのではなく、部員らがあの部屋で成し遂げてきたのです。(しかも、彼らは長い活動停止期間の間、大好きな第2音楽室から締め出されていたのです!)

考えてみれば、私はいつだって部員の活動を遠巻きに(?)、「いいなあ、楽しそうだなあ」と思いながら眺めています。昨夏も、パート練習が終わった後の視聴覚室で、3年生が熱心にテーマソングのレコーディングやMV撮影の打ち合わせをしていました。顧問はすぐ目の前にいるのに、意見を求めようなんていう素振りは微塵も見せず、実に熱心に、そして楽しそうに…。そう、いつだって部員は40後半に差しかかったオッサンなど眼中に無く、「中杉音楽部」というプラットフォームを通じて活動をしているのです。(だからこそ、昨夏はMV撮影スタッフに加えてもらえて、とっても楽しかった!笑)


さて、ウチの部員は、ほとんどこのブログを見ていないので、独り言のように呟くのですがーー毎年卒業に寄せて顧問が伝えたいのは一つだけです。「惰性で音楽を続けて、何かを頑張っている気になるな」です。57期の皆さんが、新たなフィールドで新たな挑戦をし、新たな活躍ができるよう、顧問は小汚いダッフィーと遠くから応援しております。


卒業おめでとう!!