中大杉並高校 音楽部

中央大学杉並高校の部活動のひとつ〈音楽部〉のブログです。

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合同ライブ セッティングシートの変遷

2024-02-13 08:30:00 | 
合同ライブの時には他校のバンドさんのセッティングについての情報を取りまとめるのが通例です。(たまにそれをせずに「どんなセッティングのバンドが来たって対応するぜ!」という強気な学校もありますが。)
 
他校のライブに参加する時も、自校で主催する時も、このとりまとめが実に面倒です。この10年、これをなんとかラクにできないものかと苦心してきました。オリジンであることを声高に主張するわけではないのですが、割に自分のアイディアを他校さんに採用してもらっているのでは?という気もしますので、そこらへんについてご紹介できればと思います。
 
 
フェーズ1〜書式(紙/Excel/PDF)を送り(Email/Fax)、記入/入力の上、返送〜
 
「合同ライブ」というものを本校でも主催するようになった当時に使っていた書式は以下のようなものでした。(これも変遷の末の形ですが。)
 
 
これといった工夫もありません。今でこそ、合同ライブというと「1バンド2曲」というのが関東近郊での通例になっていますが、同じ書式を文化祭でも使いまわしたいために、妙に演奏曲を書く欄がたっぷり用意されているのが特徴です。
 
ちなみに、東京都の軽音楽連盟さんや全国の軽音楽部協会さんは、だいたい以下のようなレイアウトの書式を使っています。
 


このレイアウトの雛形は、連盟発足当時に色んな先生の意見を踏まえて私が整えたような気がします。私が個人的に「レイアウト仕事」「編集仕事」が好きなので、このレイアウトを見ると、そこはかとなく自分の「匂い」のようなものを感じてしまいます。(ただ、記憶で書いていますので、「このレイアウトは自分の仕事」なんて主張しておいて、全然違うかもしれません。だとしたら恥ずかしい…。)
 
誰のレイアウトかはともかく、こういう書式をメールやFAXで参加校に送って、Excelで編集したものをメールで返送してもらったり、手書きしたものをFAXしてもらったりしていたわけです。
 
このやり方の難点は、他校の顧問の先生もとりまとめが面倒ですし、こちらとしても回収に手間がかかる上に、ここに書かれた情報に基づいてプログラムを作ったりするのにも非常に時間がかかりました。加えて、バンド名はもちろんのこと、演奏曲名その他の情報を転載する際に間違えたりして、せっかく参加してもらった皆さんに不愉快な思いをさせたりーーといったこともありました。
 
そういう作業を、顧問がやらずに部員にやらせるのが部活らしいやり方ではあるものの、「生徒に間違いのないようにやらせる」というのは本当に手間がかかるものでして、顧問自らやるにしても部員にやらせるにしても、無駄に時間がかかります。
 
 
フェーズ2〜Google Formによる入力→書き出しデータを利用した資料作成〜
 
「出演者本人が提出した情報をそのまま転載できるのが一番間違いがない」ということで、次に考えたのが、Google Formの利用です。
 
記録を見ると2018年の年初くらいから、Formの準備を始めたようです。(もう使っていませんが、Formの最終ver.はこんな感じです。)
 
 
 
 
 
こんなFormを用意し、スプレッドシートに書き出されたデータを、今度はExcelのlookup関数を使って、PA用のセッティング書式やプログラムに書き換える、という仕組みを作りました。(当時はスプレッドシート→Excelにデータを載せ替えることになんの違和感も感じていませんでした…。)これは、「出演者が提出した情報をそのまま使う」という試みとしては、ある程度良いやり方だったと思います。
 
 
とはいえ、恥ずかしながら顧問のITスキルの限界があり、最終的にはFormからlookupしたデータを「セッティング図」に可視化するプロセスが手作業になっていました。(ここらへん、Microsoft Accesssを使えたら…と思っていたのですが現段階でも習得には至っていません。)
 
また、バンド名・曲名・メンバー名等が入ったプログラム(「番組表」を意味する方の「プログラム」です)も、lookupによって一覧性の高いものを作ることができましたが、回によって出演バンド数等に違いがあるため、ある程度は「成形」の作業があったことは確かです。
 
 
こうして、ある程度の形を作ったところで、連盟の皆さんに「連盟の大会でもFAXや郵送をやめてGoogle Formを使ったらどうか」と提案したのですが、「利用する側が操作できない(抵抗がある)のではないか」ということで「時期尚早につき見送り」ということに。とはいえ、もともとは自分の学校の合同ライブで楽をするために組んだものですので、そのまま運用を始めました。
 
その後、コロナ禍になり人の移動が制限され、ギガスクール構想の進展も相俟ってGoogle formも浸透し、連盟さんはじめいろいろな学校の合同ライブで「セッティング情報をフォームで収集する」というやり方が増えたように思います。(Formで収集した情報を、私がやっていたように成形したりしているのかーーということには興味があります。)
 
 
フェーズ3〜Google スプレッドシートの共同編集〜
 
コロナ禍が一段落し、合同ライブを再開する頃、勤務校が本格的にChrome BookとGoogle for Educationを利用するようになり、私としてもOfficeのアプリ(Word, Excel, PowerPoint)を使わなくなってしまいました。と同時に、部活としてもPA環境や楽器アンプの入れ替えがあり、「Formに埋め込んだセッティング図を差し替える」「今までExcelで成形していた(「番組表」を意味する方の)プログラムやセッティング図をスプレッドシートに移行する」という作業の必要性が出てきました。
 
一度は、それらの作業に取り掛かったものの、如何せん面倒くさい! 同じフローをスプレッドシートに再現するにしては、そもそものそのフローが格別に便利ではなかったーーという事情もあり、その面倒な作業に取り掛かるモチベーションが湧きません。
 
折しも、Googleのドキュメント、スライド、スプレッドシート等の共同編集機能を普段の授業で多用し始めた時期でもあったため、やり方を刷新することにしました。それが以下の形。(実物はここから開くことができます。入力も可能。)共同編集設定になっているこのシートのクリーム色の欄に入力してもらう形です。(他の部分のセルを入力不可にすべきなんでしょうが、面倒でやっていません。)
 

この形のメリット
・Formに比べて一覧性に優れる(今何を入力しているのか、どこまで入力すれば終わるのか、が見える)
・見たまんま、セッティング図
・機材の入れ替え等の対応(書式の変更)がしやすい。
・参加校の顧問の先生はこのシートのURLを出演部員に転送するだけ。取りまとめ作業も返送作業も不要。(そこはFormでも同じ)
 
この形のデメリット
・iOSデバイス(iPhone/iPad)で入力する場合は、スプレッドシートのアプリが必要(これが最大のデメリット!/PC端末はブラウザ上で入力)
・このシートから別途(「番組表」を意味する方の)プログラム等を作る場合には、ひと手間かかる(後述)
・共同編集ゆえに他のバンドの情報を誤って消したり上書きする可能性がある(学校ごとにファイルを分けることで、他校の情報を消すようなことは起こらないようにしています)
 
 
現状、(「番組表」を意味する方の)プログラム作成は自動化できていません。ご覧のように、1バンドのバンドメンバーの人数が異なるため、これを上手く収める手立てが思いついていないのです。したがって、入力してもらったセッティン図の必要事項をコピペしてプログラムへと流用しております。しかし、ただのコピペですので、近いうちにこの作業は部員にやってもらおうと思っています。
 
 
まとめ〜ツールの変遷とともに〜
 
以上見てきた変遷は、たかだかここ10年ちょっとのものです。学校現場は、時代から2周回遅れしている業界であり、つい最近になって「FAXを廃止しよう」と決まったという有り様です。ですので、上記の「フェーズ1」であっても「記憶に新しい」という感じです。
 
「フェーズ2」は、Google Formという発想までは良かったのですが、収集したデータの成形段階はExcel(あるいはAccessが使えたらな〜)ということで、Officeアプリを使う発想からは逃れられませんでした。
 
その後、私の勤務校は「Google for Education + Chrome Book」に舵を切ったため、かつて「Microsoft:Word, Excel, PowerPoint」で行っていた業務は(ごく一部の業務を除いて)「Google:Document, Spreadsheet, Slide」に移行してしまいました。「今さらExcelをWindows機で立ち上げるのは億劫」という事情が、「フェーズ3」を招いたという格好です。
 
学校という時代遅れの業界とはいえ、業務ツールの変遷が、こんな「合同ライブのセッティング情報」の集約にまで現れているのは、なかなかおもしろいものだと思いませんか。

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