中華街ランチ探偵団「酔華」

中華料理店の密集する横浜中華街。最近はなかなかランチに行けないのだが、少しずつ更新していきます。

酒と人生の師匠が短歌で大賞受賞

2012年08月24日 | Weblog

 角川学芸出版が発行している『短歌』という月刊雑誌がある。
 書店で表紙ぐらいは眺めることはあっても、手に取ってパラパラめくることなど滅多にない本だが、私の酒の師匠であり人生の大先輩でもある先生から、その6月号に『自分の名前が出ている!』との連絡があった。

 さっそく近くの本屋に駆け込み師匠の名前を探してみると、特集「挽歌―亡き人を想い歌う」の中で、歌人の小島ゆかりが総論を書いていて、そこに彼の作品が出ているのであった。

 小島ゆかりはこのように評している。


 そして五首目の歌はどうだろう。この母はまさにいま、生の側から死の側へ赴こうとしている。まだこの世の側に命の名残を湛えている母に、「死を告げて光の方へ行くように言う」のだ。宗教的なニュアンスを読み取る読者がいるかもしれないが、わたしはこのままに鑑賞した。最初で最後の渾身の言葉であり、厳かな晴れやかな、送る歌である。

 
 実は師匠、この歌で昨年の中日歌壇『年間最優秀賞』を受賞しているのだ。

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 受賞者の紹介記事にもあるとおり、短歌を始めたのは2010年から。
 もともと文才があり、長いこと俳句をやっていた経験が、短歌にもいかされたのだろう。

 新聞に投稿するようになって、初めて掲載されたのが、これだ。

 「裏」の字を覚え間違え五十年辞書を見せられ二分見つめる
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 食べられず動きもできずオムツしてなお笑む母に錫の勲章
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 われを母震へる指でまさぐれり「コハカラナクテモイゝ」と言ふなり
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 母にまだ温み残れり詩を告げて光の方へ行くように言う
 これが、年間最優秀賞に選ばれた作品だ。
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 今年に入ってからも先生の投稿は続き、何回も選ばれている。

 叔母の足動かすしぐさ母に似るくちなしの香も好きかもしれぬ
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 救急車で運ばれたんだよお母さん夕餉のことなど心配しないで
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 地下街に噴水あるを知らざりき意識するゆゑ月はあるとふ
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 そして、これは何だか不思議な歌だが、分かるような気もする。
 わが部屋は我が身ならむか改築で壁ぶち抜かれ痛む脇腹
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 読書家の先生の蔵書数は約3万冊という。まったく想像もつかない分量だが、書庫を広げるための改築なのだろうか。
 というよりも、書籍の重みで床が抜けやしないか、そっちの方が心配になる…

 ま、それにしても、遅ればせながら年間最優秀賞受賞、おめでとうございます!
 

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2 コメント

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ちょっとした日常 (冬桃)
2012-08-24 10:33:30
 短歌は起承転結があっていいなあ、と俳句を
始めてから羨んでいます。
 俳句は「起承」くらいで終わらなきゃいけなくて
そういう中途半端な文章を書いちゃいけないと
言い聞かせてきた身には、いまだに混乱の種です。
 短歌は一首でドラマを表現できますよね。
 けどそれも、なにげない日常をドラマとして
すくいとる感性あってこそ。
 どれもしみじみと味わい深い歌ですねえ。
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Unknown (管理人)
2012-08-25 06:52:48
>冬桃さん
俳句はなんだか小さなキャンバスに描かれた絵のようです。
それに対して短歌は世界最小の短編小説みたい。
どちらも感性が必要ですね。

そういえば師匠は、
「お~いお茶」の新俳句でも入賞していました。
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