中華街ランチ探偵団「酔華」

中華料理店の密集する横浜中華街。最近はなかなかランチに行けないのだが、少しずつ更新していきます。

ライドシェア

2023年09月03日 | Weblog


 最近、ライドシェアのニュースが多くなったと思いませんか。なんだかなぁ……




 
 こんなイメージですが、タクシー配車アプリ「GO」との一番の違いは、やってくる車がタクシーではなく個人の自家用車ということです。これって、白タクですよね。

 ということで、今日は20代の頃に乗った白タクの話をしましょうか。
 当時は東京から横浜まで電車をいくつも乗り継いで通勤していました。朝はだいたい1時間40分くらい、帰りは毎日呑んで遅くなるため2時間くらいかかっていたと思います。
 呑む場所はだいたい野毛が中心でした。コピーした野毛の地図を持って毎晩呑み歩き、行った店にはチェックを入れ完全制覇を目指していたのです。
 
 いま振り返ると、本牧にも顔を出しておくべきだったと思いますが、当時は怖い町というイメージがあったため近づくことができなかったのです。そんなこともあって、野毛専門の呑み助マップ制作を目指していました。
 そんなことをしていたから、帰りの電車(京浜東北線)で寝過ごして大宮まで行ってしまったり、あるいは東横線で寝たまま2往復したりというバカなことを何度も繰り返していました。
 一番ひどいのは、午前11時頃から呑み始めた宴会のあとのこと。かなり呑んでいましたが、自分の意識では《まだ大丈夫》という感じで午後3時頃、桜木町駅で京浜東北線に乗り品川駅に向けて出発。そしてすぐに眠りこけてしまったようです。
 
 やがて深い眠りから覚めて、気がついた時、なぜか電車は桜木町駅に止まっていました。《なんだよ、まだ出発していないのかよ~》と思いながら窓を見ると、外は真っ暗でホームには照明が煌々と光っているではないですか。
 腕時計を見ると、なんと、針は7時を指してたのです。この頃には酔いも覚めていたので、状況をすぐに理解できました。
 眠りこけたまま、大船・大宮間を何度も往復していたのです。終点に到着した時、誰も起こしてくれなかったんですね。大宮駅でも、大船駅でも! 4時間も無駄に往復していたということは、何往復だったのでしょうかね。
 
 東横線でも同じことが時々ありました。桜木町駅から乗り、終点の渋谷駅に着いても寝たまま。たまにはそこで起こしてくれる親切な人もいましたが、そのまま折り返してしまい、気がついたら元住吉駅や横浜駅の下りホームにいた、なんてことも。
 こんなことが続くと、錯覚も起きてきます。
 《いけねっ! また寝過ごして折り返してしまったぁ~》と思い、閉まりかかった扉の隙間からあわててホームに飛び出したのですが、よくよく見るとそこは元住吉駅の上りホーム
 実は、まだ渋谷駅に向かって走っていたのです。がっかりしましたよ。もう最悪。だって、この電車、上りの最終だったのです。
 こうなると駅の外に出るしかありません。しかし、元住吉というのは初めて足を踏み入れる町。タクシー乗り場を探しますが発見できません。こうなったら幹線道路を流しているタクシーを拾うしかない。1時間近く立ちんぼをやって、やっと1台が停まってくれて、無事に自宅まで帰れたというわけです。

 こういうことを繰り返しているうちに、《無理して帰ることはない》という思いに至り、終電過ぎまで呑んでそのまま泊ってしまうことになります。
 どこに泊まるのかって? 当時はあの「武蔵屋」の向かい側に「横浜温泉」という終夜営業の風呂屋がありました。そこで朝まで過ごすのです。
 ほかには野毛のジャズ喫茶「ダウンビート」ね。椅子に座ってジャズを聴いているうちに眠くなって寝てしまうのですが、そのたびに店員さんに起こされていました。
 夏なんかは路上で寝ることも。一晩中、馬車道のベンチでカバンを枕にして横になっていても、安全だったんです。
 こんな泊まり方をしていたのですが、いちばん多かったのは、都心部住まいだった作治さんの部屋に潜り込んで勝手に寝てしまうことだったでしょうか。こちらにはずいぶんお世話になったのですが、今日はこの話には触れません。詳しくは別記事で書こうと思います。

 さて、終電過ぎまで呑んで、どこかに泊まって翌日出勤、なんていう生活をしていましたが、どうしても家に帰らなければいけない時もあります。
 福富町で2軒、そして野毛で2軒と梯子酒をして終電がなくなってしまった日のこと。桜木町駅前には白タクが何台も待機しており、
 『は~い、渋谷方面、渋谷方面!』と、白タクの運転手が相乗り客を集めていました。
 そうすると、『俺は日吉まで』とか『自分は自由が丘まで』とか言って酔客が集まってきます。私の場合は『渋谷ね、渋谷までお願いします』ということで、真っ先に助手席に案内されました。遠い順に乗せていったんですね。客は私を含めて5人で、4人が後部シートに座らされました。
 やがてみんな酔っているから会話が多くなります。どこで呑んだとか、どこのアレが旨いとか、そんなたわいもない話です。

 走り出して30分ほどして一人が下車。いくらだったのか、もう記憶がありませんが、多分、タクシー並みの料金だったのではないかと思います。
 走り出してしばらくすると、また一人が降りて清算します。そうして一人いなくなり、また一人と続き、自由が丘では助手席に座らされている私一人に。
 深夜、知らない男の運転する乗用車に乗って、それも助手席で並んでいるのは、なんとも居心地のいいものではありませんでした。

 会話がないまましばらく走っていると、運転手が突然、語りかけてきました。
 
 『お客さん、ちょっと寄り道していきませんか…料金を割引しますので』
 
 これって、なんかヤバくない? どこかに連れ込まれて身ぐるみ剝がされるとか、もしかしたらホテルに直行とか…いろいろ悪い結果を想像していたのですが、続けて発した彼の提案にちょっと興味が湧いてきました。

 『今、学芸大学駅前だけど、三軒茶屋にオレの元彼女が住んでいてね、ちょっと見に行きたいんで、一緒に寄ってくれる?』
 
 もしかしたら、元彼女の部屋に上がり込んで、一杯やるのかな、なんて不埒な想像をしているうちにアパート前に到着。しかし、そこで元彼女を訪ねるわけでもなく、ずっと部屋の明かりを見ているだけだったのね。
 ここに20分くらいいたでしょうか。その間、彼は元彼女と過ごした幸せだった時のことをいろいろ話し始めたのです。詳しい内容はすっかり忘れてしまいましたが……。
 結局、遠回りをして元彼女のアパート前まで行き、さらに彼の思い出話を聞かされて、時計を見ると午前3時になっていました。そして、こう言うのです。

 『俺の勝手でつき合わせてしまって申し訳ない。料金は無しにします』

 結局、白タク料金はチャラにして、さらに渋谷駅ではなく自宅近くまで乗せていってくれたのです。遥か昔の思い出ですが、おもしろい運転手に当たったと、今でもちょっとだけ感謝しています。

 これから始まるらしいライドシェアでは、こんなことが起きるのかどうか。知らない者同士が5人で相乗りするには、たとえば桜木町駅前で私が『渋谷方面に行きたい方いますか~、渋谷方面~』と声掛けをしてあと4人を集めなければなりません。まるで手配師ですね。(なんだか、職安前にいた手配師を思い出します)
 さらに、乗車料金を5人でどう分けるのか、支払い方法はどうするのか、いろいろ課題が多そうです。

【参考】
>関内から杉田までヒッチハイク



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