エッセイ -日々雑感-

つれづれなるままにひくらしこころにうつりゆくよしなしことをそこはかとなくかきつくればあやしゅうこそものぐるほしけれ

老眼鏡をかけて入れ歯をはめたライオンが鍼灸治療してもらうこと

2015年11月04日 | 雑感

2015年3月19日


 MとTから昼飯ついでに集まらないかとの誘いがあったが、入れ歯の具合が悪く、“ダメ”と断った。

 「お前がライオンだったら生きてられない」とMに云われたのは10年以上前だ。

 ところでMは、テニスが上手だが身体が硬くて長年整体、整形外科に通っている。その程度は病的にひどい。Tも腰痛・肩こりなどに関しては同様で、鍼灸院に通っている。対して私はそれには無関係だ。

 「お前がライオンだったら生きていられない」とMに云うと、“その通り”と彼も答える。

 ライオンが治療台に横たわって、自分の入れ歯をはずしてその具合を老眼鏡で見ながら、鍼灸師にお灸をすえてもらっている図は漫画としては面白いが、こんなことできるのは人間だけだ。

 

1906年にドイツのハーバーとボッシュが、鉄触媒を使って空気中の窒素を水素と反応させてアンモニアを作る技術を発明した。

 それまでは窒素源を固定するのは天然界ではマメ科の植物、工業的にはチリでとれる硝石を輸入するしかなかった。だから農業生産性は、必須の窒素源肥料の取得可能量によって制限されていた。

 ところが、ハーバー・ボッシュの空中窒素固定技術で簡単にアンモニアを作れるようになり、アンモニアから硫酸アンモニウムとか硝酸アンモニウムなどの化学肥料ができるようになった。窒素はおおまかにいえば空気の約4/5を占める。無尽蔵だ。

 だから、ハーバーとボッシュは“空気からパンを作る人”と呼ばれている。

 パンが十分に食えるようになったおかげで人口が爆発的に増えてしまった。ハーバー・ボッシュ法以前では、20億にも満たなかった人口はいま72億強。おそろしい。むろん、空中窒素固定法が人口爆発の唯一の原因ではないが、極めて大きな要因であることは確かだ。

 

先日、Tと京都北山にある高校時代の山岳部の小屋に行った。

その帰りに鹿の生々しい死骸を見つけた。タヌキ、きつね、カラスなどによるものだろう、見事にあばらなどの骨だけを残して食べられていた。

 

                          

自然サイクルだ。

 “長生きはしたくないけど医者かよい”という川柳があるな、とTが云ったが、人だけが自然のサイクルに入っておらず、人口増加、そしてそれに伴うもろもろの負の財産を蓄積し続けている。


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