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シンガポールへ、愛をこめて

2019-08-14 09:18:34 | 電影Movie/音楽Music/芸術Art
帰りたい、帰れない。
国家治安法のかげで、裁判なしに拘留されたり、出国いらい一度も帰国が叶わなかったり。シンガポールで上映禁止・配給禁止という、母国のグレー歴史を、静かに描いたドキュメンタリー。インタビューはロンドン、タイ、マレーシアの静かな陽光の中で撮られ、何十年のもつらい日々を端正かつ穏やかに、うつしとって見せる。登場する老人たちは、いまもシンガポールを愛し、恋焦がれ、いつか母国の地を踏める日を待ち続けているのだった。#星国恋



上映後Tan Pinpin監督のトークでは、90代の母の誕生日をチャンギ空港で祝うシーンでは、移動時間がなく空港内に仮眠待機し、監督自ら感動のため回すカメラが手ブレしたとも。本人は帰国許可が下りずスカイプ参加だったのだが。また、2013年に製作にとりかかり本作の内容を秘して、「セヴンレターズ」建国50周年記念:7人の監督によるショートストーリー(2015年) 詳しくはこちら撮影した。もし本作の内容が知れたら「セヴンレターズ」のメンバーに選ばれなかっただろう、と。


完成後、知人宅での上映会をしたが、リベラルなシンガポールと思っていた人が意外に保守的で帰国のためにサインしないのは頑固すぎる...と意見されたこと。この映画はシンガポールの一面しか描いていないが、政治的状況はさらに強固になっている現在、未来のひとに向けてシンガポールの裏顔を知ってもらいたかったこと、など話された。
一緒に観たジョホールバル出身友人Fは「全然知らなかった。シンガポールのイメージが変わった」と。国外で住まうものは望郷の念がつのるのはどこも同じ。自国と他国・自分と他者の違いを受け入れる寛容さ、忘れてはいけない。

シンガポールへ、愛をこめて 
シンガポール/マレーシア 2013年
監督:Tan Pinpin ,タン ピンピン
見終わったあと、ジョホールバルから対岸のシンガポールを見つめる老人の後姿ポスターが胸にせまる。
そして8/23-9/4はマレーシアのヤスミン・アフマド監督の映画特集は大阪で組まれる。こちらも見逃せません!
詳しくはこちら


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