知花子ども会・知花ときわ会

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沖縄の行事【アブシバレー】

2021年05月04日 | ★歴史・伝統・文化

アブシバレー
5月下旬(旧暦4月中旬)
 田植えの後に畔の草刈りを行い虫払いをして、豊作を祈願する行事旧暦の4月14、15の2日間か、4月中旬以降の吉日を選定して行う村が多い。

集落全体で畔の清掃を行い、害虫(ネズミ・イナゴなど)を捕え、神役たちはこれを拝所に持っていき虫払いの祈願をする。その後、草や木で作った模型の舟に害虫を乗せ海へ流す。このとき虫が遠くへ去り再び戻ってこないようにと呪文を唱える。また、集落総出で競馬や角力、芸能などの娯楽に興じ、老若男女が酒食を共にした。この日は人畜ともに物忌みをし、特に肥料を担ぐことや針仕事は禁忌され、これを犯せばハブに咬まれるといわれた。またこの時期は山留で、山の口が開くまで木を切ることも禁じられた。王府が奨励した行事とされるだけに沖縄本島とその周辺地域を中心に広がり、現在も字単位で御願や宴会を催す例がみられる。


ミニ知識

・物忌とは

特定の祭祀行事にあたり、期間を定め日常的な行為を控え、不浄を避けて身を慎み過ごすことを物忌という。

沖縄本島一帯の物忌は旧暦2月のニングワチウマチー、4月のアブシバレー、5月のグングワチウマチーなどに伴い設けられ、八重山地域では田に植えた苗の成長期、穂の出はじめ、穂の成長期など、穂の生育過程に合わせていくつもの物忌があった。(竹富時までは、かつて月ごとに物忌があったという。)

これらはいずれも、農作物の生育と深く関わっている点が共通している。また、おおむね旧暦4月中に野山に立入ることを禁ずる山留や、海産物の採取を制限する海留めも物忌の一種で、ちょうど草木や魚貝の成長著しい時節に設けた海留、山留は、人々の行いを慎んで身を清めるとともに、日常生活に欠くことのできない天然資源を保護する役割もあった。

沖縄では物忌において慎むべき行為として、肥桶(堆肥をいれた容器)を担ぐこと、針仕事や畑仕事を挙げる地域が多い。このうち、火桶を担ぐことを忌むのは不浄を遠ざけ身を清めるため、針仕事や畑仕事については、庶民の暮らしではごく日常的な作業であったことから、こうした仕事さえ控え静かに身を慎むとの意味であろう(針仕事を禁ずるのは「人の目に見えない神を誤って針で刺し、縫い留めてしまわないため」との説もあるようだが、これは後世のこじつけと思われる)。ただし、こうした禁止事項は沖縄独特のものではなく、物忌に際して下肥(人の糞尿を肥料としたもの)の扱い、畑仕事、針仕事を控える習俗は日本全土にひろく分布している。

一方、他県では肉食を避ける地位もあるが、これは沖縄では聞かれないようである。なお、沖縄では多くの地域で「物忌の定めに背く者はハブに咬まれる」とされたが、これは物忌の禁を犯すことへーの筒良い戒めの表れであろう。

〈文/沖縄国際大学・沖縄大学非常勤講師・稲福政斉〉

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