添乗員がとんでもガイド!
抱腹絶倒だが・・笑えぬ事実があるのだ!
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週刊新潮 2018年5月17日号より(↓)
韓国発「対馬ツアー」に潜入したら――ライター・崔碩栄(上)
街中にハングルの看板が立ち並び、どこを見回しても韓国人観光客ばかりの長崎県・対馬。“いずれ韓国領になる”とうそぶくガイドもいるというが、韓国人観光客は、この島をどう見ているのだろう。ツアー客の一人になって釜山発「対馬ツアー」に潜り込んでみた。
「韓国人向けの対馬ツアーに参加してみませんか? 韓国人の観光客がどんな説明を受けて、対馬をどう見ているのか知りたいのです」
編集部からこんな声がかかったのは、筆者が韓国生まれの韓国人だからである。
ここ数年来、日本では対馬の“韓国化”が盛んに報道されている。年間36万人の韓国人観光客が訪れるこの島には、いたるところにハングルの看板が林立し、韓国資本による土地買収も進んでいるという。また、観光客で潤うのは韓国人相手のホテルや土産物屋ばかりで、地元住民は、むしろ警戒心を強めているとも。
「対馬はもともと韓国領です。いずれきっちり韓国の領土になりますから」
日本の新聞報道によると、こんな冗談ともつかぬ話をする韓国人ガイドもいるというが、韓国人にとって対馬とは、どうやら特別な存在らしい。それを見聞するべく、対馬ツアーに参加することにした。
対馬ツアーは釜山から出発するのが最も手軽だ。早春のとある土曜日の朝、釜山港国際旅客ターミナルに向かう。ロビーは旅行客で一杯。その多くは対馬行きのツアー客だ。定員は30名程度。それを1人のガイドが引率する。ツアー料金はガイド付きで約3万円(1泊2日)である。
集合時間になり、女性ガイドが現れた。彼女はツアー客のパスポートを確認し、乗船券と昼食用の弁当を配る。釜山港での出国審査は、空港に比べると簡素なもので、素通りのように出国することが出来た。
高速船「ビートル」に乗り込むと、韓国語でこんな会話が聞こえてくる。
「これ(船)が転覆したら窓を割って逃げ出さないと……」
「座席番号は事故が起きたときに、遺骨を収集するのに(身元がすぐに調べられるように)貼っているんだよ」
セウォル号沈没事故の影響は今も影を落としているようだ。
消された「日本海」の文字
船が出発すると、大型モニターに案内放送が流れ始めた。事故に遭った場合の退避方法などのあと、島でのエチケットについての説明が始まる。釣りをする時エサを撒いてはいけない、車は道路の左を走る、歩きタバコはいけない等々、これまで対馬で起こった事故やトラブルを防止するためのものなのだろう。
約70分後、船は異国の港、「比田勝(ひたかつ)」に到着する。対馬の韓国側の玄関口だ。ターミナルを出たところに、30人乗りぐらいのバスが待機していた。これに乗り込むとツアーの出発である。
韓国人を乗せたツアーバスは、まず、どこに向かうのだろうか。それは、島の北端・鰐浦にある「韓国展望所」だ。山の上にある展望所は、広大な海を望めるだけでなく、天気の良い日には釜山港の夜景や花火まで楽しむことが出来るという。対馬と韓国は思ったより近い。そのことにみんな驚き、納得するのだ。
が、ここでいきなり情けないものを見てしまった。
展望所の室内には近隣の写真や地図が展示されているのだが、地図の「日本海」の文字が消され、代わりにハングルで「ドンヘ(東海)」と書き込まれているのだ。外国まで来て、こんな落書きをするとは……。
注(役場は・・、まちは・・それを 消したのか? そのままなのか? (怒)
次の目的地は竜宮伝説が有名な和多都美(わたつみ)神社。バスの中ではガイドが対馬の紹介を始める。韓国との歴史的な関わり、風俗などについてである。旅行先の説明を受けながら旅をするのはガイド付きツアーの醍醐味だ。
やがて、話は1419年の「対馬島征伐」に及ぶ。日本では「応永の外寇」と呼ばれているが、韓国では子供でも知っている大事件である。倭寇の被害に遭っていた朝鮮国が、その拠点である対馬に1万7000の大軍を送り攻撃したというものだ。
だが、ガイドの説明が比較的客観的だったのはここまで。この後「トンデモ歴史」のオンパレードが待っていた。
“韓流デマ”の連発
次の話題は、江戸時代の朝鮮通信使だ。壬辰(じんしん)倭乱(豊臣秀吉の朝鮮出兵)以降、徳川幕府と朝鮮が関係修復を図り、通信使を派遣した、と解説したところまでは良かったのだが、ここからが耳を疑った。
「壬辰倭乱によって、対馬には未亡人が大量に発生し、男性が不足したのです。そこに男性、つまり、朝鮮通信使が来たら、対馬でどんなことが起きたと思いますか? 対馬の女性たちが布団を抱えて、朝鮮通信使たちを追い回した(一緒に寝ようとした)んですよ」
「日本に着物というのがあるでしょう。その女性の背中に結んでいるのをオビ(帯)と言うんですが、これはセックスをするときにシーツのような役割を果たすんです」
「日本人の姓を見ると、田中、木下といった場所を示すものが多いんですが、これは、その人たちが作られた、つまりセックスした場所から取られたものなんです」
日本の女性たちが布団を抱えて出迎えたという話には仰天したが、帯の話は、私も聞いたことがある。実際に着物を着たことのない人が、座布団のように見える帯を見て妄想を膨らませたのだろう。日本人に対する「セックス・アニマル」という偏見を肥大させた“韓流デマ”の一つであり、こんなところで耳にするとは思わなかった。
さらにガイドは「神社」についての主張を始める。
「日本には神社が8万以上あります。今、向かっている和多都美神社もその中の一つですが、日本には私たち(韓国人)が訪れてはいけない神社があります。そう、靖国神社です。戦犯を祀る神社だからです。それにもかかわらず、靖国神社には安倍総理が参拝しました」
対馬観光で靖国神社が話題になること自体、違和感があったが、わざわざツアー中にする話なのだろうか。
東郷元帥が尊敬した「朝鮮水軍」将軍!?
バスはやがて島の中央部にかかる万関(まんぜき)橋に差し掛かった。1900年に海軍が艦隊の通路として作った人工海峡であるという解説とともに、日露戦争や東郷平八郎元帥に話が及ぶ。いわく、東郷元帥は日本の軍神といわれるが、彼が尊敬していた人物がいる。それが、壬辰倭乱で朝鮮水軍を率いた李舜臣将軍である――という話だ。
この話は日本人はあまり知らないだろうが、韓国人の間では有名な「都市伝説」の一つだ。
日露戦争後、ある人が東郷元帥に「あなたはトラファルガー海戦のネルソン提督に匹敵すべき軍神である」と賛辞を贈ったところ、東郷元帥が「私に言わせれば、ネルソンというのはそれほどの人物ではない。真に軍神の名に値するとすれば、それは李舜臣であろう。李舜臣に比べれば自分は下士官にも値しないものである」と述べたというのだ。
韓国人の自尊心を大いにくすぐってくれる逸話だが、残念ながらこれも根拠はない。そもそも東郷元帥が李舜臣の存在を知っていたかどうかすら確証はない。
だが、そんなことは観光客にとってどうでもいいのである。異国・対馬で「偉大な先達」の足跡に接し、モラルが足りない日本人の話で盛り上がったのだから
崔碩栄(チェ・ソギョン)
ライター。韓国・ソウル生まれ。大学で日本学を先行し、1999年に来日。主な著書に『韓国人が書いた韓国が「反日国家」である本当の理由』(彩図社)、『「反日モンスター」はこうして作られた 狂暴化する韓国人の心の中の怪物〈ケムル〉』(講談社+α新書)など。