気まぐれ徒然かすみ草ex

京都に生きて短歌と遊ぶ  近藤かすみの短歌日記
あけぼのの鮭缶ひとつある家に帰らむ鮭の顔ひだり向く 

短歌人10月号 同人のうた その3

2015-10-13 18:15:49 | 短歌人
華やかな日々ありしかと問いかける耳に残りしピアスの穴に
(山本栄子)

食欲の失せし老夫をさびしみつ数なき食器を音たて洗ふ
(山下柚里子)

牡蠣むきに母のしめゐし帆前掛は紺色さめてひもやはらかし
(阿部凞子)

野戦病院のほとりに干される包帯のしろきをおもふ八月のそら
(金沢早苗)

青春は地獄と言はれ老年もこれまた地獄と交すことのは
(大和類子)

てのひらを丸めてつくる円筒を覗けば八月の風は金色
(藤本喜久恵)

ふと湧ける歌のきれはしすぐ消えて夏の終はりの風のなかなる
(高田流子)

白昼のしろさに人も人かげもかげとのみ見ゆるけふ 秋立ちぬ
(菊池孝彦)

盆に入り東京しずかに風吹いて梅の実も食う桃の実も食う
(谷村はるか)

夜の道ひとり歩めばもの言わぬ人面のごとマンホールあり
(長谷川富市)

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短歌人10月号、同人1欄より。



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