気まぐれ徒然かすみ草ex

京都に生きて短歌と遊ぶ  近藤かすみの短歌日記
あけぼのの鮭缶ひとつある家に帰らむ鮭の顔ひだり向く 

短歌人4月号 同人のうた その3

2016-04-24 14:42:38 | 短歌人
早朝のひかり差し込む部屋内に晩年といふゆたかさにゐる
(山中重子)

暖房の部屋に籠りてはてさてとこれより地図の旅愉しまむ
(小川潤治)

名をつけしゆゑに死なせし兎かとわがかなしめり歳月すぎて
(金沢早苗)

満州に梅は咲きしか牧師館の庭に白梅けふは開きぬ
(吉浦玲子)

太郎雲次郎雲うかぶ休日の午後の海辺の道を歩めり
(大橋弘志)

立春に味噌を仕込んで眠りたり我よりふかく味噌は眠らむ
(岩下静香)

那智瀧の真上の空の芯くろく風があつまる冬のはじめに
(大谷雅彦)

ささやかな内臓ならむに精緻さのきはまりとしてむささびが飛ぶ
(三井ゆき)

あらたしと読むに驚き牛飼ひの左千夫の歌をあたらしく読む
(中地俊夫)

挽歌など見たくあらずとざらつきて籠るこころに死者は明るむ
(西勝洋一)

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短歌人4月号、同人1欄より。

飴色に切干大根たきあがる祖母のふところ日なたの匂ひ
(近藤かすみ)

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