1960年後半から70年初期にかけて「ソフトロック」なる言葉が一部のバンド紹介などでレコードの帯に書かれていた時代がありました。
曰く
「ソフトロックの王者」
「ソフトロックのチャンピオン」
「ソフトロックの彗星」等々
この時代、政治的なメッセージを持つか、前衛的とか暴力的なものがロックの正義という風潮があり、従来からあったポップミュージックは十派一からげで「シングル屋」と括られ一段低く見られるポップス不遇の時代があったのです。
何しろロックという言葉をつけなければ売れ行きに影響が出る。かといってコーラスやメロディー重視のサウンドに「ロック界期待の新鋭」などと売り出すわけにもいかない。そこで出てきたのがソフトロックみたいです。いわばロックという言葉をつけるための免罪符(?)。
そんなわけで一部のビッグネームを除くとこの時代には埋もれたポップスがあるのです。ポップス自体は現代も連綿と続いているのですが、私はユーロビートの影響を受けている現代のポップスは少し苦手(あ!好きな曲はいっぱいありますよ)なんで、個人的にはこの時代のポップスを聴きたいのです。しかし資料がない。
先日のこと、御茶ノ水ディスクユニオンで発見した「SOFT ROCK A to Z」はまさしくこの時代のポップスを紹介している本。実はこの本が出ていたことは知らなかったので古本で置いてあったこの本を速攻でお買い上げ。中身はもう「誰?誰?」知らないバンドばっかりでファンには金の鉱脈を記した宝島の地図ですわ。
それまではレコードコレクターズのソフトロック特集号が指南書でした。この本も良書ですが、歴史や背景などにも言及されていて、バンドやアルバムの記事がその分削られているのが残念でした。やはり特集号と一冊丸ごとソフトロックでは駆逐艦と空母くらい違いますねぇ。A toZはひたすらアルバムを紹介しているのも素晴らしい。