ちこっと墓場屋なんぞに立ち寄るのだ。床にはノートパソコンが散乱していて何屋なのかちょっと見には分からないカオス状態になっている。銀塩カメラも全く入ってこないのか、もう同じ顔ぶれの状態が長く続いているのだ。レンズ棚も同じ…むむむ?
目に入ったのはブロニカ用標準レンズNikkor75mmであった。そういえばだいぶ以前にも一度見かけたことがあったな。そのときはマルチコートの施された後期型だったが今日鎮座しているのは単層コートの前期物だ。状態はよろしくないなぁ。「これいくら?」「千円」「買った」
前回マルチコートの後期物をパスしたのに今日は程度がかなり落ちる前期物を何故ゲットしたのか。何とこいつには「ヘリコイド」がついていたのだ。
知らない人には「ヘリコイドがないレンズなんてそもそもジャンクじゃん」となるだろうが、ブロニカニッコールにはヘリコイドが「ない」のだ。というのも最初に出たゼンザブロニカデラックスはレンズ繰り出し機構をボディに持つという特殊な構造をしていたのだ。
3代目のS2からボディのレンズ繰り出し機構はなくなった。しかし既に供給されているレンズにはヘリコイドがないのだ。そこでヘリコイド部分だけを別に供給することにしたのだ。ヘリコイドは全共通で1種類のみだと思った。
一見するとヘリコイド分だけレンズ価格を下げられる合理的システムなのだ。何しろ当時ニッコールレンズは高価なので価格を下げるには有効な方策だったかもしれない。
しかし焦点距離によって繰り出し量が違うので、距離目盛りをいくつもヘリコイドに記入する必要があった。何しろ距離目盛がないと被写体深度が測れないのだ。自分の手持ちで一番多いのは何と4種類の焦点距離に対応している。上下二段で更に色違いにしている。苦労の跡が伺えるが、その割りに実に使いづらい(まぁ使わないけどさ)。
本来はボディ1にヘリコイド1という組み合わせになるはずだが、中古では何故かこれが不均衡でヘリコイドのないボディが見受けられる。そしてこのヘリコイド、中古を探すのは結構面倒くさい。特に昨今の銀塩中古カメラ屋激減な中では以前に増して大変なのだ。
なので標準レンズ以上にこのヘリコイドリングに価値があったのだ。
んで、もう一度棚を眺めると何と50mmレンズ発見!しかもリアキャップ付きじゃないか。これも千円ですって「買った買った買ったぁぁ!」
中古でリアキャップのないレンズが多いのは、お店がキャップを別にして売るからなのだ。まして墓場屋ともなるとリアキャップはないのが基本なのだ。
まぁ普通の交換レズならキャップの入っているカゴを探せば見つけられるが、ことブロニカニッコールとなると話は別。まず見つからない。
手練な中古カメラ屋ならブロニカニッコール用リアキャップはしっかり別にして売っているのだ。このキャップ、需給バランスが崩れると高騰する見本みたいなものだ。
それにしてもこの50mmレンズ、前玉の巨大さが実に格好よいです。当時、ブロニカの売り文句は「ニッコール交換レンズ」でしたからね。当時のニッコールは現代とは比べ物にもならないくらいのブランドだったのよ。レンズならニッコール、醤油ならキッコーマン(たとえになってない)。まぁ西のツァイス東のニッコールでした。
何にせよ久しぶりの銀塩カメラ系お買物でした。
ブロニカ用ニッコール50mmがキャップ付きで1000円ですとな。やっぱりスゲエなあ東京は。それはキャップが500円でレンズが500円ですか。
ヘリコイド省略ものなら三河のキタムラでキエフマウントのユピチェーリの50mmを200円で拾ったことがありまね。連中はバレルレンズか何かと思ったんでしょうね。そういえば、プラクチカマウントのカッサー40mmF3.5を2000円で拾ったことがあります。それだけなら大したことが無いですが、αアダプターが付いていたんですよね。それが逆向きについていたんで、キタムラも油断して安くしちゃったらしいんですよ。
そのキタムラも最近では世知が無いらしくて、踊るような物が出なくなりましたねえ。
名古屋の中古カメラ市でエキザクタマウントのエナリット35mmF2.8を確保したことがあるんですが、売り値3000円を50%引きでしたね。無論、セラーの青年は知らないですよ、エキザクタマウントなんて。
ここまで来ると、得したのかどうかも自信がないのですが。
下手すりゃフロントとリアキャップで千円持っていかれますからね。そう考えるとレンズがオマケですね。
エナリットを1500円とはテッサー並みの鷹の目ですね。
それにしても今では銀塩カメラやレンズを置いてるお店を探す方が困難な時代になっちゃいましたね。