最前線の育児論byはやし浩司(Biglobe-Blog)

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●子どもの情緒不安

2007-07-02 10:29:24 | Weblog
●情緒が不安定な子ども
 子どもの成長は、次の四つをみる。(1)精神の完成度、(2)情緒の安定度、(3)知育の発達度、それに(4)運動能力。

このうち情緒の安定度は、子どもが肉体的に疲れていると思われるときをみて、判断する。運動会や遠足のあと、など。そういうときでも、ぐずり、ふさぎ込み、不機嫌、無口(以上、マイナス型)、あるいは、暴言、暴力、イライラ、激怒(以上、プラス型)がなければ、情緒が安定した子どもとみる。

子どもは、肉体的に疲れたときは、「疲れた」とは言わない。「眠い」と言う。子どもが「疲れた」というときは、神経的な疲れを疑う。子どもはこの神経的な疲れにたいへん弱い。それこそ日中、5~10分、神経をつかっただけで、ヘトヘトに疲れてしまう。

●情緒不安とは……?

 外部の刺激に左右され、そのたびに精神的に動揺することを情緒不安という。二~四歳の第一反抗期、思春期の第二反抗期に、とくに子どもは動揺しやすくなる。

 その情緒が不安定な子どもは、神経がたえず緊張状態にあることが知られている。気を許さない、気を抜かない、周囲に気をつかう、他人の目を気にする、よい子ぶるなど。その緊張状態の中に、不安が入り込むと、その不安を解消しようと、一挙に緊張感が高まり、情緒が不安定になる。

症状が進むと、周囲に溶け込めず、引きこもったり、怠学、不登校を起こしたり(マイナス型)、反対に攻撃的、暴力的になり、突発的に興奮して暴れたりする(プラス型)。表情にだまされてはいけない。柔和な表情をしながら、不安定な子どもはいくらでもいる。このタイプの子どもは、ささいなことがきっかけで、激変する。

母親が、「ピアノのレッスンをしようね」と言っただけで、激怒し、母親に包丁を投げつけた子ども(年長女児)がいた。また集団的な非行行動をとったり、慢性的な下痢、腹痛、体の不調を訴えることもある。

●原因の多くは異常な体験

 原因としては、乳幼児期の何らかの異常な体験が引き金になることが多い。たとえば親自身の情緒不安のほか、親の放任的態度、無教養で無責任な子育て、神経質な子育て、家庭騒動、家庭不和、何らかの恐怖体験など。

ある子ども(五歳男児)は、たった一度だが、祖父にはげしく叱られたのが原因で、自閉傾向(人と心が通い合わない状態)を示すようになった。また別の子ども(三歳男児)は、母親が入院している間、祖母に預けられたことが原因で、分離不安(親の姿が見えないと混乱状態になる)になってしまった。
 ふつう子どもの情緒不安は、神経症による症状をともなうことが多い。ここにあげた体の不調のほか、たとえば夜驚、夢中遊行、かん黙、自閉、吃音(どもり)、髪いじり、指しゃぶり、チック、爪かみ、物かみ、疑惑症(臭いかぎ、手洗いぐせ)、かみつき、歯ぎしり、強迫傾向、潔癖症、嫌悪症、対人恐怖症、虚言、収集癖、無関心、無感動、緩慢行動、夜尿症、頻尿症など。

●原因は、家庭に!

 子どもの情緒が不安定になると、たいていの親は原因さがしを、外の世界に求める。しかしまず反省すべきは、家庭である。

強度の過干渉(子どもにガミガミと押しつける)、過関心(子どもの側からみて神経質で、気が抜けない環境)、家庭不和(不安定な家庭環境、愛情不足、家庭崩壊、暴力、虐待)、威圧的な家庭環境など。夫婦喧嘩もある一定のワク内でなされているなら、子どもにはそれほど大きな影響を与えない。が、そのワクを越えると、大きな影響を与える。子どもは愛情の変化には、とくに敏感に反応する。

 子どもが小学生になったら、家庭は、「体を休め、疲れた心をいやす、いこいの場」でなければならない。アメリカの随筆家のソロー(一八一七~六二)も、『ビロードのクッションの上より、カボチャの頭』と書いている。

人というのは、高価なビロードのクッションの上に座るよりも、カボチャの頭の上に座ったほうが気が休まるという意味だが、多くの母親にはそれがわからない。わからないまま、家庭を「しつけの場」と位置づける。学校という「しごきの場」で、いいかげん疲れてきた子どもに対して、家の中でも「勉強しなさい」と子どもを追いまくる。「宿題は終わったの」「テストは何点だったの」「こんなことでは、いい高校へ入れない」と。これでは子どもの心は休まらない。

●子どもの情緒を安定させるために

 子どもの情緒が不安定になったら、スキンシップをより濃厚にし、温かい語りかけを大切にする。叱ったり、冷たく突き放すのは、かえって情緒を不安定にする。一番よい方法は、子どもがひとりで誰にも干渉されず、のんびりとくつろげるような時間と場所をもてるようにすること。親があれこれ気をつかうのは、かえって逆効果。

 ほかにカルシウムやマグネシウム分の多い食生活に心がける。とくにカルシウムは天然の精神安定剤と呼ばれている。戦前までは、日本では精神安定剤として使われていた。錠剤で与えるという方法もあるが、牛乳や煮干など、食品として与えるほうがよいことは言うまでもない。

なお情緒というのは一度不安定になると、その症状は数か月から数年単位で推移する。親があせって何とかしようと思えば思うほど、ふつう子どもの情緒は不安定になる。また一度不安定になった心は、そんなに簡単にはなおらない。今の状態をより悪くしないことだけを考えながら、子どものリズムに合わせた生活に心がける。

(参考)
●子どもの神経症について

心理的な要因が原因で、精神的、身体的な面で起こる機能的障害を、神経症という。子どもの神経症は、精神面、身体面、行動面の三つの分野に分けて考える。

(1) 精神面の神経症……精神面で起こる神経症には、恐怖症(ものごとを恐れる)、強迫症状(周囲の者には理解できないものに対して、おののく、こわがる)、不安症状(理由もなく悩む)、抑うつ感(ふさぎ込む)など。混乱してわけのわからないことを言ってグズグズしたり、反対に大声をあげて、突発的に叫んだり、暴れたりすることもある。

(2) 身体面の神経症……夜驚症(夜中に狂人的な声をはりあげて混乱状態になる)、夜尿症、頻尿症(頻繁にトイレへ行く)、睡眠障害(寝ない、早朝覚醒、寝言)、嘔吐、下痢、便秘、発熱、喘息、頭痛、腹痛、チック、遺尿(その意識がないまま漏らす)など。一般的には精神面での神経症に先立って、身体面での神経症が起こることが多く、身体面での神経症を黄信号ととらえて警戒する。


(3)行動面の神経症……神経症が慢性化したりすると、さまざまな不適応症状となって行動面に表れてくる。不登校もその一つということになるが、その前の段階として、無気力、怠学、無関心、無感動、食欲不振、引きこもり、拒食などが断続的に起こるようになる。パンツ一枚で出歩くなど、生活習慣がだらしなくなることもある。
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