最前線の育児論byはやし浩司(Biglobe-Blog)

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●仮面治癒

2007-11-21 10:16:12 | Weblog
●仮面治癒に注意!

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子どもの心の問題に対処するときは、
1年単位の根気が必要。

1年でも早いほうかもしれない。

数年単位で、様子を比較する。

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 子どもの心の問題をあつかっていると、ときどき不思議な現象にであう。私が最初にある子どもに出会ったとき、「この子の心の問題がなおるには、数年かかるだろうな」と思ったとする。

で、それなりの対処をしているのだが、数か月もたたないうちに、「なおった?」ような状態になることがある。たとえばF君(年中児・5歳)がそうだった。

最初母親も、「三歳のとき、病院で自閉症と診断されました」と話していた。(たしかに自閉傾向はあったが、私がみたところ自閉症ではなかった。母親が聞きまちがえたのだろうとそのときはそう思った。)自分勝手な行動が目立ち、私の言うことなどほとんど聞かなかった。

が、指導を始めて数か月後のこと。ふと気づくと、F君が別人のようにおとなしく、しおらしい様子で、私の指示に従っているではないか! 驚いてうしろで参観していた母親のほうを見ると、母親はそれを見て喜んでいたが、どうもおかしい。そこで母親からあれこれ話を聞くと、F君はある訓練教室で訓練を受けているということがわかった。はげしい暴力的な訓練で有名な訓練教室である。

 こうしたケースは極端なケースだが、大前提として、子どもの心の問題は、簡単にはなおらない。無理をすれば一見、なおったかのように見えることがある。私はこれを仮面治癒と呼んでいるが、仮面は仮面。なおったのではない。症状はさらに奥の深いところにもぐったと考える。

心の問題は、決しておさえてなおるものではない。むしろ反対に、不登校にせよ、引きこもりにせよ、もろもろの情緒障害にせよ、心の問題は、外へ解放させることによってなおす。1年単位の恐ろしく時間のかかる作業だが、これが大原則である。こうした問題で、たとえば別の形で強度の恐怖心を与えたりすると、子どもは退避的に、自己をコントロールするようになる。

F君がその教室で受けた訓練は、そういうものだったが、しかしそれは風邪をひいて熱を出している子どもに、頭から水をかけるようなものである。熱はさがるかもしれないが、それですむわけがない。事実そのあと数か月もすると、F君に妙な現象が出てきた。絵を描いているときでも、何を思ったのかひとりでニヤニヤ笑ってみせたり、突発的に大声を張りあげて、泣き叫んだりするなど。

 子どもに心の問題を感じたら、親のほうが一歩も二歩も引きさがる。今の状態をそれ以上悪くしないことだけを考えて、無理をしない。無理をすればするほど逆効果。さらに無理をすれば、ここでいう仮面治癒を引き起こすことがある。

こうなると、「教育」という場で対処できる問題ではなくなってしまう。その訓練教室では、「なおった、なおった」とさかんに宣伝しているが、本当に「なおった」とみてよいのか。私がいう仮面治癒に、皆さんもじゅうぶん注意してほしい。



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