最前線の育児論byはやし浩司(Biglobe-Blog)

最前線で活躍するお父さん、お母さんのためのBLOG
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●ある自己愛者

2007-11-09 07:42:28 | Weblog
●ある自己愛者

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この世界には、「常識」という
ものがある。

その「常識」があれば、当然、
「常識ハズレ」というのも、ある。

しかしそれだけではない。

「常識ハズレ」の、そのまた
「常識ハズレ」というのもある。
「常識ハズレの番外」という
べきか。

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●常識ハズレ・番外編

 私の知人が、市内で美容院を経営している。従業員は、2人。結構、繁盛している。そんなある日、……というか、その少し前、数軒おいた隣に、レストランができた。うわさによれば、キッチンの改修費だけでも、数百万円をかけたという。

 が、開店当初から、客は、ほとんどゼロ。理由はいろいろあるが、それはともかくも、事件は、そのあと、起きた。

 そのレストランの経営者(女性、当時40歳くらい)が、突然、知人の美容院へやってきた。そのとき客が、4、5人いたという。床には、切った髪の毛が散乱していた。

 そのレストランの経営者が、さめざめと泣きながら、こう言ったという。「お宅には、こうして客がたくさん来ている。その客を、うち(=レストラン)へ少し回してくれ」と。

 美容院を経営している知人が、「それはできません」と断ると、そのレストランの経営者は、その場で土下座。髪の毛の散らかった頭を床にこすりつけて、「お願いします」と何度も言ったという。

 これには美容院の知人が驚いた。従業員たちも驚いた。もちろん客たちも、驚いた。

 この世界には、「常識」というものがある。その常識があれば、当然、「常識ハズレ」というのもある。が、そのレストランの経営者がしたことは、常識ハズレの、さらにその外にある。つまり番外!

 が、問題は、それで終わったわけではない。ここからが本番。

 申し出を断られたレストランの経営者は、それ以後、その美容院に対して、猛烈ないやがらせを繰りかえし始めたという。美容院を経営している知人は、こう言った。

 「証拠がないから、だれが犯人とは言えませんが、車にキズをつけられる。シャッターにペンキをかけられる。犬の糞が、玄関先に並べられる。さらには、生ゴミが、美容院の駐車場にばらまかれる。看板に、石をぶつけられる……というようなことがつづきました」と。

 それからしばらくの間、その美容院の知人は、店のシャッターを半分閉じて、営業をつづけたという。「相手が相手ですから、何をされるかわからなくて、こわかったです」と。

●拒否されると、敵 

 自己中心性が極端にまで肥大化した状態を、自己愛という。自己中心性が強ければ強いほど、相手の心の動きがわからなくなる。

 そのレストランの女性の心の中に、視点を置いてものを考えてみよう。

 そのレストランの女性は、こう考えた。「近所で開店したのだから、少しくらい、客を回してくれてもよいはず」→「頭をさげて、頼みに行った」→「土下座までして、頼んだ」→「しかし断られた」→「そのためレストランの経営が、ますますきびしくなった」と。そこでそのレストランの女性は、「自分のレストランに客が入らないのは、美容院の経営者のせい」と考えるようになった。

 そのあといろいろないやがらせ事件がつづくが、もちろん犯人はわからない。しかし常識を働かせて考えれば、犯人は、だれか、容易に察しがつく。

 常識ハズレの人は、常識ハズレの行為に出る。常識ハズレという点で、一貫性がある。同じような例を、私も経験している。

 もう30年も前の話だが、当時の私は、それなりにモテた。そんなある日、あるところで、こんな事件が起きた。

 何かの仕事でその人を手伝っているとき、横にいた女性(当時、30歳くらい)が、私の手の上に、自分の手をのせて、こう言った。「今度、ヒマなとき、英会話を教えてくださらない?」と。

 どこかなまめかしい声だった。が、私は、ゆっくりと手を放し、「忙しいから……」というような言い方で、それを断った。

 その女性が、である。それから1年以上にわたって、私の悪口を言い始めた。「あの林は、幼児教室を開いているというが、母親に、手を出した」「生徒がやめると、罰金を請求してくる」「生徒がやめたら、その妹までやめさせられた」「今、女性問題で、妻とは離婚状態にある」などなど。

 その前後には、毎晩深夜に、無言電話までかかってくるようになった。

 私は、レストランの女性の話を聞きながら、自分の経験を思い出していた。このタイプの女性は、自分の思い通りにならないと、一転、今度は、徹底的に、敵に回る。つまりこれも自己愛者特有の症状のひとつということになる。

●自己愛者は孤独

 考えてみれば、かわいそうな女性たちである。美容院で土下座をした女性もかわいそうなら、私の悪口を言いふらした女性も、かわいそう。(自分)というものが、どこにもない。そのつど、欲望の命令ずるまま、常識ハズレな行動を繰りかえす。

 もちろんものの考え方も、自分勝手。わがまま。そのため他人が、どんどんと離れていく。が、本人は、それでも「自分さえよければ」と考える。自分の自己中心性に気づくことさえない。

 だから、孤独。だから、さみしい。

 だから……と、さらにこの先を書くのは、危険なことかもしれない。しかしこういうことも言える。

 もしあなたが日々の生活の中で、孤独を感じ、さみしく思っているなら、まず疑ってみるべきは、自己愛者ではないかということ。自己愛者でなくても、自己中心的な人ほど、そうである。が、問題がないわけではない。

 仮にあなたが自己中心性の強い人であるとする。その自己中心性に気がついたとする。そしてその自己中心性を打破するために、何かの活動を始めたとする。が、もしこの段階で、それ自体が、「自分のため……」「自分の孤独感を癒すため」と考えているようであれば、結局は、元の木阿弥。自己中心性を打破することはできない。

 というのも、その人の自己中心性というのは、脳みその奧の奧まで、イレズミのシミのように、しみこんでいる。表面的に化粧した程度では、取れない。消えない。

 自分の脳みその奧の奧までしみこんだシミと戦うためには、それこそ10年単位、20年単位の努力が必要である。多くのばあい、死ぬまで消えない。あるいは加齢とともに、ますますひどくなる。

 といっても、この世界は、すべてその自己中心性を基盤として、成り立っている。子どもの受験競争から始まり、もろもろの経済活動、さらには政治活動などなど。この世界から自己中心性を取り除いたら、社会そのものが崩壊する。

 そこで重要なことは、家庭だけでも、あるいは学校だけでも、(そうでない世界)にすること。「学校が最後の砦(とりで)です」と言った校長(K町K小学校)がいた。親子にしても、教師と父母、子どもの関係にまで、自己中心性が入ったら、人は、どこでどのように、自分の孤独やさみしさを癒せばよいかということになる。

 親子は、無私、無欲。無私、無欲であるからこそ、親子という。「損をした」とか、「得をした」とか、そういうふうに考えること自体、おかしい。「産んでやった」「育ててやった」、さらには「大学まで出してやった」とか言うこと自体、おかしい。もしあなたがそういうふうに考えているとしたら、それはそれで構わないが、その代償として、あなたは孤独や、さみしさと、日々に戦わねばならなくなる。

●レストラン

 話が脱線したが、自己愛者は、自分のことしか考えない。自分の姿しか見えない。だからその言動は、どうしても、常識ハズレになりやすい。冒頭にあげた、レストランの女性が、その一例である。

 で、その女性のレストランだが、皮肉なことに、現在は、その美容院がそこに移転し、美容院になっている。レストランを経営していた女性は、そののち、H市の郊外へ引っ越し、今は、どこで何をしているかわからない。

 その美容院の知人は当時を思い出しながら、こう言った。

 「何もかも我流で、常識ハズレでしたね。大理石づくりの椅子を並べたのですが、おしりが冷たくて、座ることもできませんでした。それに客として行くと、そばにずっと立っていて、『味はどうだ?』『これはおいしいでしょう』と話しかけてくる。うるさくて、たまりませんでした」と。

 そのレストランに客が入らなかったのは、その女性経営者自身に問題があったからということになる。自己愛者は、自分の立場でしか、ものを考えることができない。つまりそのレストランが失敗するのは、最初からわかりきっていたことということになる。
(はやし浩司 家庭教育 育児 育児評論 教育評論 幼児教育 子育て はやし浩司 自己愛 自己愛者)

【付記】

 この原稿を書くきっかけとなったのは、こんな事件があったから。

 1時間ほど休み時間があったので、その間、私は近くの書店で、時間をつぶした。その帰り道でのこと。突然、1人の男(50歳くらい)が、私に怒鳴りかけてきた。

 「貴様、貴様を不法占拠で、訴えてやる。警察を呼んでやる!」と。気が狂った犬のような叫び方だった。

 私はとっさの反応として、まわりを見た。が、そこには私しか、いなかった。私は、自分で自分を指さし、「私のこと?」と。

 するとその男は、ますますいきり立って、「貴様だア!」と。

 ちょうど夕暮れ時で、その男は、私を、別のだれかと見まちがえたらしい。それはわかるが、しかしそれにしても……???

 あとでこの話をワイフにすると、ワイフはこう言った。「世の中には、おかしな人が多いわね。でも、そこまで常識からハズレている人は知らない」と。

 そこで私は美容院を経営している知人から聞いた話を思い出した。それをワイフに話した。

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