建設現場の卵

建設現場からのエッセイ。「建設現場の子守唄」「建設現場の風来坊」に続く《建設現場の玉手箱》現場マンへ応援歌。

風来坊のままで(1)

2009-02-16 11:51:48 | Weblog
          …………………………(風来坊のまま)………

3月末日をもって早期退職者50名の中の1人となった。
2月の中旬から「有給休暇をまとめて消化してください」言う会社の方針で、家でゴロゴロしていただけで、さて何を始めようかと考えるのもつまらない日々を送っている。
毎日、朝早くから車で通勤していたのに、駐車場に車がいつも停まっているし、昼間も私を見かけるので
「何事だろうか?」
と近隣の口が動き始めている。
かつて3週間ほど駐車場に車を置いたままで現場に電車通勤した際には、てっきり私が入院しているのだろうと思われた事もあったが、今回は姿を時々見ているので、一層怪しまれてしまった。
「リストラされたのよ」
と女房が気楽に挨拶するものだから、反対に(まさか……)と思い込まれているようだ。
 その怠惰な生活のなかで『建設現場の風来坊』が出版となり、家に宅急便でドッサリと送られて来た。
第一弾の《建設現場の子守唄》の場合は工事現場の倉庫に半分置いて、来る人来る人に、
「本が好きなら持って行きなよ」
と仕事の段取りよりも先ず、自費出版の宣伝をしてから仕事の話をするのであった。
《建設現場の子守唄》を義理(無理矢理)で読んだ人達から、
「面白いから、職人に読ませたいから5冊買うよ!」
と倉庫の本があっという間に無くなり、増刷(三刷り)までして、手元には少し残っている。
 その時の状況を踏まえて、『建設現場の風来坊』は最初から出版部数を多くしている。
 だが、この度は2月より自宅に引きこもっているのだから、世間にこの《風来坊》が流れ出るチャンスが狭まった、と暗い気分でダンボールの山を見ている。
(儲ける為に書いたンじゃないから……)
とは言え、どうやってこれを売り捌くのか途方にくれて、またもダンボール箱の山を見ては、出したくないけれどもため息が、つい出て来ている。

 そんな中で、朝日新聞の夕刊(99年5月15日)に、本の紹介が掲載されたのである。

       《続く》
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