建設現場の卵

建設現場からのエッセイ。「建設現場の子守唄」「建設現場の風来坊」に続く《建設現場の玉手箱》現場マンへ応援歌。

総合図 その3

2019-04-09 14:09:40 | 建設現場

総合図 その3

設計図があって工事計画が始まったのか、工事計画があってそれを
実行(施工)する為に設計図が書かれたのかがハッキリしないのが
沖縄・辺野古埋め立て工事であろう。

いざ埋め立てを始めると海底下の軟弱地盤を強化するための杭工事
が必要と言い出して、必然的に何億円も投入となり、工事に数年も
かかると言いながら、総工費は公表出来ない理由が分からない。

設計図があるんだろ!施工業者も決まっているんだろ!談合かい?

福島原発の凍土壁止水工事に数百億万つぎ込んで、失敗しても業者に
止水完成までの瑕疵(責任施工)は追及しない事から、
海の下の地盤を強化したとして、どうやって強化地盤の完成を確認
するつもりなのか、失敗を隠し工事業者の丸儲けはミエミエだよね。

想定外・杭の本数がすくなかった。軟弱地盤層(厚さ)が深かった
なんて簡単な言葉で言い訳するよね。

政府の力で強引に工事をするのなら、福島の汚染度の低い除去廃棄物を
埋め立てに使うと設計図に書いて、設計図のとおりに仕事をさせると
ゼネコンと工事契約すればよかろう。沖縄の風土を壊して埋め立てず、
ゴミの処分は片付くし設計図という大義名分で・・(きつい冗談になったね)

福島では凍土壁工事をするにあたって設計図があって、監理者(国交省・
東京電力)が設計図とおりに監理監督すれば欠陥地盤にはならない筈だが、
『凍土止水工事は失敗する』何度も忠告した私には見えて居るプロジェ
クトである。

設計図と言いながら、実際はこの程度の価値しかないものなのである。

だから設計図がありながら総合図を要求する事になる業界の話を
総合図1+2の続きとして 始めよう。
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話を総合図 その2 に戻してから続けてみると・・・

この建物は設計競技の作品であり採用された様だが(設計談合?)、
まさかこの設計図が他の設計事務所のものより一番優れていたとは
思えず、『総合図』まで提出させる条件も認めていたのなら・・・

 疑えばキリが無く、官庁物件をこの程度の設計内容で承認されたのは
(いぶか)しいものだ。

近くのK中学校でもそうしたと言うそのケツジマイとして、
すぐに総合図を出せ!・・・俺の立場が無い)」
と鈴鹿市ではなっているので無ければイイが……と思っているが、さて―――

裏事情の有る無しにせよ『総合図』に力を入れる気力は全く無いまま
書き上げた図面に、

「先日決定した黒板の大きさを記入して、出入り口は壁の中央に
図面を修正して下さい」

「黒板を30㌢移動させたのでドアの位置も移動させる図面を、
誰が書くの?
やってられない!」

「今、決まったものも図面に書きこんであるのが『総合図』ですから……」

「そんな《設計図のお手伝い》は、今の時点では御受け致しかねます」

設計屋の仕事と施工屋の仕事の範疇を線引きした為に、相当無茶な注文が
入って来るのを覚悟したが、現場でイイものを創る為に
しのぎを削る打合せでもない限り、協議の場に私は出席しない事を伝え、
設計図に無い事についてはR設計事務所から文書で頂く事とした。

毎週の定例会議には担当者レベルで別途業者等の調整を任せる事にしたが、
ネズミの相談になってしまい、方向性も結論も決断されないままに
日程は過ぎ去っていった。

請負者として、頂いた設計図の通りに創るのが原則であり、設計図どおり
の品物については承認願いすら交わす必要もなく、ひたすら設計図に
忠実に創る事にしたものだ。

「R設計事務所さんとうまくやってくれ
と上司から意味深の電話が入って、
やっていますよ、設計図に書いてあるままの通りに、口は挟まずに……
それに設計図にない事を依頼されたので、見積りを出しています…
追加工事代を承認されてから仕事に手をつけます」

私の工程表は提出してあるが、いつもの通り相当前倒しになっているので、
「返事が遅れれば、後の祭りで対処できません、壊して二度手間(倍額)
になりますよ……」もつけ加えておいた。

ネズミの相談もネズミたちがネコに助けを求めに来るのに、大して日数は
かからなかった。

R設計事務所がいつまで『総合図』に固執するのかで、ここの現場の決着が
見えて来る。

 このまま行けば《竣工検査時になって相当やり直しが出される》と危惧する人も多いが、
設計監理として現場常駐している人がいて竣工させた建物に、
設計監理者の上司が不備を言うならば、

《とんだ筋違い》であろう」

と定例協議会で毎度釘を刺しておいたので、何も心配なく工事を進めて
いったのは私の意地であるが、本音は『しっぺがえし』がやがて
やって来る事の覚悟もしていた。

今までに経験した幾多の工事を振り返ってみれば―――

設計事務所に協力しない訳では無いのだが、『詳細図』が必用な内容
の建物(劇場・記念館・図書館等)に巡り会えれば、張り切って
作図をしていた事は《言わずもがな》である。

それらの建物には設計事務所のプライドが掛かっていて、細部に亘って
までこだわりが感じられて来る設計図であり、施工図の承諾願い図を
提出する時は身の引き締まる思いであった。

総合図が無くても、設計者の頭の中では先の先まで想定し終えて
いらっしゃるので、承諾願い図を一瞥したところで、
「ここはイメージと違うよ、このようにするつもりだから……」
と簡単なスケッチが提出図面に書き加えられて差し戻されて来る。

設計図の読解力不足と言われたようであるが、設計者のイメージに
叶うまでは、労力を惜しむつもりは全く無くて全面協力である。

《イイ物を創ろう》とお互いが燃えているから、施工図の
《書き直し》の気分ではなくて、
『出来上がったらこのようになるのだ…素晴らしい』
とこだわり、悦に入っていたものだった。

一枚の図面からこのような会話がよく出て来たものだったのが、
最近は懐かしく思える―――

しかし、ここではもう『しのぎを削る』タネ火さえ灯らないだろう……
このまま行けば私の記憶から消えたとしても、この先中学校として
長く残るのが……残念である。

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設計図・総合図について説明したのかグチったのかよく分からない話
のままで結末としよう。

建設業界が如何に時代遅れであり、談合・どんぶり勘定・手抜きを
上手に(バレないように)この先も継続していく事だろう。

これが土建屋の伝統なのか宿命なのか・・・。

 

コメント
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