建設現場の卵

建設現場からのエッセイ。「建設現場の子守唄」「建設現場の風来坊」に続く《建設現場の玉手箱》現場マンへ応援歌。

安全講演(2)

2009-10-30 08:33:18 | Weblog

          …………………………(安全講演 2…………

 「会社の為にやっているのか、決まりだからやっているのか」
という所から、本音で話をしますよ。

 皆さん、安全の反対は・・・危険ですね。
 
危ない作業を見た時に皆さん、何と言いますか?
 
当然、
「止めろよ、危ないよ!」
 
と作業中止の言葉をかけますね。

 では、安全な作業をしている場合は「止めろよ」とは言わず、
「頑張れよ・問題はない?」
 
と良いコミュニケーションですよね。

 では、安全~危険へ移る途中の時はどう言いますか?

 皆さんがよく言う、
「気をつけろよ」
 の連発なンですよ、無責任じゃあないの?監督としてそれでイイの?

 危ないならば仕事を止めさせるのに、気をつけて作業させるから、事故が起きるんだよ、気をつけながら作業させて安全監理ですか?

「気をつけるように」
 とは言葉で言えば簡単だけれども、危ないエリアに職人さんを入れていて、ただ無事故を祈っているのが現場じゃあないの?

 こんな虫のイイ話を今まで、神様が聞いてくれましたか?

 安全と危険の中間で作業をさせるのは、それはもう安全ではないンだよ。

 信号で言えば安全は青
 危険は赤。
 注意進行は黄色。

 信号でも判断に迷う《黄色で突っ込む》から交差点で事故になるのと、現場で気をつけながら作業させて、事故が起きるのと何ら違いはない。

 黄色なら交差点の手前で停止すれば事故がない、この簡単な事を、現場で何故出来ないの?応用出来ないモノじゃあないでしょ。

 現場監理をする人は、現場は安全か危険かでなく、
全か、安全でないか」
 で安全を判断するのが私の安全監理なのです。難しくはないンです。

危険という文字を使うのは、もう安全から飛び越えてしまっているのです。

 危険を防止するために細かな決まりがあるけれども、そのような決まりや、法令をここで教育する気は私にはありません。

 安全を確保したいのならば、安全の範疇に居ればいいだけの事で、
 「安全か、安全でないか」
 をモノサシにしたらどうですか?

 災害事例とか危険予知からの安全教育という方法もありますね。

「高所作業とは地上から何㍍以上をいうのですか?」
と安全教育で習っても、現場では無災害竣工の決め手にはならないのです。

 ハッキリ言って、今までの安全大会での講師の話が、役に立ちましたか? 
 
去年来られた講師の話を、覚えていますか、実践していますか?

 確かに机の上で安全と、労基署から注意を受けないための安全規則を学ぶのなら、ゼネコンの労務安全部長さんを講師に呼んで勉強してください。
 安全値を頭に詰め込み、学問的に優等生らしい監督になれるでしょう。

 私は、現場で事故を起こさせない監理の本音を話すから、どの会場で話をしても、若手は真剣に聞いてくれていて、安全になると確信して話をしてますよ。
 
 あるゼネコンの安全大会で、○×をつける安全テストの問題に・・・

     《安全講演3へ 続く》



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安全講演(1)

2009-10-20 08:40:48 | Weblog

              …………………………(安全講演 1)…………

 ライフワークの一つである講演に於いて、とあるゼネコンの若手勉強会から、
「基本は安心・基準は安全」
の講演です。
90分の講演実況録音盤から読みやすくする為に、部分修正してます)

    *********   ********   **********

 (挨拶省略・・・)
 現場所長を15年やっていまして、労災を一度も経験していませんから、災害の話から安全の話は出来ません。

 3日以内の労災扱いにならない事故、自分の手を自分で叩いたとか、転んで血が出たとかは時々ありましたが、労災には縁がありませんでした。

 だからと言って現場がビシッと安全であった訳ではありません。
 会社の安全パトロールの度に評価は悪く、再パトロールになる事は毎度の事でした。

「労務部の為に仕事をしてるンじゃあない!」
「無事故無災害でやる為に仕事をしているンじゃあない!」
 イイ建物を創る為に自分たちで技術を入れているんだよ、イイ建物を創る為に
『早く・安く・良く』
 そして安全に創るのが、現場マンの《やりがい》であり、監督さんの仕事だと思いませんか。

 若手現場マンが竣工の時に「よく頑張ったなあ」と涙を流せるくらいの建物にしたいのだよ。

 そんな現場のことを《建設現場の子守唄》《風来坊》に本音を丸出しで書いていますが、現場の楽しさ・厳しさの本音を読んでみて下さい。

 ネットでもかなり紹介されて出回っているようですが、直接私の所に「本を送ってください」とメールも来るし、若者がかなり読んでいるようですよ。

 さて、安全監理という話をしますが、現場では四監理ありますね。
 工程・品質・原価・安全の四つとそれに『人間監理』も含んで欲しいですね。

 四監理をぐるっと上手く廻さない限り、
「安全監理は望めない」
 が、私の安全の基本の考えで、現場所長としての結論ですよ。

 工期がない現場、突貫をやっている現場でね、安全監理書類なんて構って
いられますか?
 その時に「安全作業をしろ!」
って言ってもソレどころじゃあないでしょ、安全監理の毎日点検なんて実際に出来っこないでょ。

 又、予算をガバッと削られて、
「これだけでやれっ!」
って言われたら、品質は悪くなるよ、品質の悪い物を取り付けて、手直しを食えば再度取り付けるまでの時間が必要となるし、修正代も出てくるし、取り付ける時には足場が解体されていたのはよく有る事ですよね。
 サーカス仕事をさせるようになって、それでも安全監理が出来ますか?

 安全監理の前に工程をしっかり監理していなければ、ならないンですよ。
 竣工に間に合わないと誰しもが思えば、安全監理どころではないでしょ。

 つまり、四監理が廻らず、チームワークも無く、良いモノを創るという心も消えてバラバラとなっている現場に、安全大会や安全パトロールを実施しても良い結果にならないのですよ。

 現場で毎月1回安全大会と安全衛生協議会を開いていますが、成果を感じる事がありますか?成果がありましたか?

 成果が無いものを毎月やってるなら、何の為なのですか?

 やらないよりはイイけれども、
「気をつけて作業しろよな」
 
とKY活動の総まとめをしていて、1ヶ月間安全監理出来るの?必ず事故になりますよ。

 皆さんのやり方を私は知らないけれど、
「会社の為にやっているのか、決まりだからやっているのか」
 という所から、本音で話をしますよ。
       

           《安全講演2へ 続く》                   

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生コン(2)

2009-10-12 09:43:46 | Weblog

……………………(生コンクリート 2)…………
 

 問題なのは一度の打設数量が工場の出荷能力を超える場合である。

 A工場とB工場の生コンクリートを比較すれば、先ずセメントメーカーは違うし、砂・砂利の仕入先も違うから、建物に打ち込んだら平均値の品質が確保できると言うものでもない。

 岐阜県での現場の場合は3工場から均等に搬入するように、神の声が発せられるのは常であったが、品質監理から見れば設計監理者の言われる事に両手を挙げる気持ちは失せていた。

 昔話を続ければ、
「こんな硬いのじゃマメだらけになる、柔らかくしなければ配管が詰まって打設出来ない」
と、土工の親方がスコップ振り上げて、駆け出し時代の私を追い廻して来る。

 狭い型枠の中に上から流し込むのであるが、水道の水のように水平に流れて行くように突き均す筈が、少し硬めなので《カキ氷状態》になってしまうのだ。

 突くのは、バイブレーターよりも竹の棒が主流で、突くと柔らかく流れて行くものでもない。

 コンクリートを柔らかくするのは簡単である。

 生コン車の中に水を加えて、再度ドラムを回転させてかき混ぜてからポンプ車に嘔出する。

  これでは折角の配合計画から規格外の生コンクリートになるのであり、水を加えた結果は半年~2年以内にコンクリートの表面にヒビとなって正直に現れる。

  水を使って練り混ぜたものは、熱処理というかカマドにいれて焼き物(例・土瓶)にしない限り、ヒビは発生する。

 コンクリートは自然界にさらして乾燥(強度発現)させるのであるから、必ずヒビは入るから、
『加水してもしなくてもヒビに対して言い訳が出来る』
と教えられたこともある。

 加水したコンクリートの建物は窓から45度方向にヒビ割れが入り、雨水も入り、応急処置が一目で分かる色になり、その見苦しい一筆書きの補修色で外壁を惨めな姿に晒している。

 もう一つの話題に、
「百㎥の型枠の中に百㎥の生コンを搬入しても満タンにならない」
 と私に教えて、

「お前の工場は空気まで売るのか!」
と生コン工場長に青筋立てて、怒っていた所長もいた。

 確かに大気中で混ぜて作る普通の生コンの中には、空気が4%強含まれているのです。
 そして、生コンを突き固めているうちにその空気は空中に逃げてしまうので、
「百㎥生コンを注文しても96㎥しか実際にはなくて、4㎥分は空気なのだ」
と一気に言われると、もっとものように考えられる。

 しかし、それは間違っていて、生コンの配合計画書は千㏄を千40㏄に置き換えて比重計算をしてあるから、計算上の1㎥は生コン車から出る1㎥と実質量は同じである。

 生コン打設に際し搬入予定を自分なりに計算したものと、実際の打設数値と比較すれば何故か予定数量を超過してしまい、空気のせいにしたくなるのだ。
 しかし、現実には型枠の中には鉄筋が7%以上組んであるのだから、計算式が間違いなのか型枠の外へこぼれ出たのかを振り返る事です。

  ***********   *************   **************

 打設中の現場管理のポイントを話ましょう。(テイエラ72号 抜粋)

 コンクリート打設中は鉄筋が乱れていないか、型枠が膨らんでいないか、搬入予定数量で足りるのか等、現場を終始巡回します。

 状況判断の的確さを要求されながら打設が終わる中で、最大の難問は常に時間に絡む事です。

 工場出荷から輸送時間を含めて1時間以内に型枠の中に打設終了せねばならぬ決まりから逆算すれば、現場から最も近い工場を選択するのが第一歩です。

 しかし、工場には時間当たりの出荷最大能力があり、現場ではポンプ車の打設能力を考慮し
て1時間25㎥、1日250㎥打設が限界と言えるでしょう。

 打設中にポンプ車の故障が起きるとか、配管の中が詰まるとか、型枠がズレるなどで打設作業が止まっても時間は止まってくれません。

 1時間近く経過した生コンは賞味期限切れであり、固まりが始まります。

 均一に固まってこそ躯体と言えるのですから不良生コンは廃棄処分しかないのです。

 コンクリートが出来上がってこそ、建築物そのものが半永久的に地球に残せるのですから、
未来につながる良いモノを創りたいものですね。

  生コン打設の監理は「時間」との真剣勝負です。

    生コンの 賞味期限は 1時間
        ここから生まれる
            躯体の命(いのち)

                《続く》・・・コメント待ってるからね~



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生コン(1)

2009-10-05 08:33:44 | Weblog

            ……………………(生コンクリート 1)…………

 セメント・砂利・砂に水を加えてかき混ぜてコンクリートになるのは、何となく分かるでしょうが、昔、日本人の設計者が練り上げたコンクリートを初めて見た時には、
「こんなどろどろしたものが固まっても、大したモノにならない」
と従来のレンガ積み工法に設計変更を余儀なくしたという東京駅の逸話も残っている。

 今では、車を運転していれば市街地を生コン車が走り廻っているのをよく見かけるし、工事現場前の車道の左隅にコンクリートポンプ車と並んで止まっているのも珍しくもなくなった。

 車線を一つ占領して、交通の流れに迷惑が発生しようとお構いなく、ガードマンが生コン車を誘導してコンクリートの打設工事が行われる。

 生コンを打設している時には前日までの配筋検査・型枠検査・修正確認検査などの苦労話等は跡形も無く消えて、躯体(その階)の区切りがひとまず終わった事を喜べる一日でもある。

 コンクリートの思い出として・・・。

 建設業の中で最も活気があり、仕事の大半を占めるのがコンクリート工事でしょう。

 生コンの無い時代には現場で練る設備、つまり大型ミキサーを設置して、砂と砂利をダンプで運ぶ段取りをして、雨が当たらないようにセメントを置く小屋を作って水を溜めるタンクを置いて、コンクリートを大事に大切に扱っていたものだそうです。

 私は学生時代にコンクリート打設のアルバイトをしましたが、手押しのネコ車(一輪車)を押すのがやっとでした。

 土工の人達は威勢よく上手に足場板の上を通行していましたが、時には転倒して途中でコンクリートをブチ撒けて親方から、
「バカヤロー!大事なものをコボすな!」
と怒鳴られているお兄さんもいましたね。

 監督さんはミキサーで練り上げる係りとそれをタワーリフトで上の階に合図して(垂直運搬)をいかに手際よくしてコンクリート打設をするかが現場の華のようだったのを覚えている。

 私が入社した頃は生コンが市場に出回っていて、コンクリートポンプ車の
数は少ないものの、
「コンクリート打設は重労働」
のイメージはほとんどなくなっていた。

 それでも、工事基準計画書の中には現場練か生コン購入か、それにタワー打設かポンプ打設かをそれぞれ選ぶ項目があり、予算と対比する重要なポイントでもあった。
 
 それが今は、生コンはコンビニで売っていてポンプ車はレンタカーのごとく、簡単に手配出来るのだから、建設現場も楽になったというか大きな進歩をしたものだと思うのである。

 生コン工場に電話一本で用件は済むのである。

 しかし、ここに重大な監理ミスが発生するのである。

「お前、生コンの補正はいつからだ?」
「えっ?(補正?なんじゃいな)」

 コンクリートは使用する場所によって強度が設計図に示されているが、冬の期間は外気温度により固まるまでが遅くなり、強度を左右する1週間経過日までの強度発現の低下防止対策として温度補正値を加えた強度の生コンを手配する。

 地域によって違うけれども一日違いで補強値が上のクラスになる境日も当然ある。

 打設当日が昨日より暖かくても、補正値のアップした生コンクリートを打設せねばならないお役所管理に矛盾を感じない訳ではないが、設計強度に達するまでの4週間分の平均外気温を予想すれば、補正値も納得せざるを得ないのだ。

 補正とは強度アップさせる事だから当然生コン単価も高く」なる。

 一日違いの事ならば、職人のケツを叩いてでも、値段の安い方で打設する事を当然考える。

 だが、天候や検査のトラブルに振り回されてやっと打設になった時が一日遅れていても、補正値変更の連絡をしなければ、強度不足のコンクリートを運んで来ることになる。

 生コン工場もその区切り日は要注意日であり、自動的に強度アップしていれば問題はないけれども、数十種類もある生コンクリートの中から早朝に配送するのであるから、新データのインプット遅れが発生するのもいなめない。

 時には新聞紙上を賑わすような、強度不足のコンクリートだったとか、ヒビが入った等の事件を聞くが、工場は建設現場から指示された強度の生コンクリートを出荷するのだから、強度不足の責任は強度指定をした側にある。

 同じ指定の強度でもスランプ(柔らかさ)・砂利の大きさにより配合は数種類にもなり、それぞれの配合報告書を事前にチェックして、出荷する生コンクリート工場がJIS認可工場であろうとも、構造担当者による配合計画書の承諾を受ける必要がある。

 問題なのは一度の打設数量が工場の出荷能力を超える場合である。

 《生コンクリート2 へ続く》

 




 

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