建設現場の卵

建設現場からのエッセイ。「建設現場の子守唄」「建設現場の風来坊」に続く《建設現場の玉手箱》現場マンへ応援歌。

高架水槽設置と方丈記

2024-07-22 08:30:16 | 建設現場 安全

十一月 三十日(木) 晴れ

今月で一気に完成した気分になったのは、外部足代(あしば)が無くなったせいだろうか。

 建物周辺もさっぱりした感じになっているけれど、花壇の立ち上がり壁コンクリート打設
とか立体駐車場の排水管等の埋設工事もあり、まだまだ地面が落ち着く迄には日数がいる。

 今月を振り返ってみるまでもなく、来月のカレンダー「最後の一枚」12月を開いてみた。
 年末に祝日が一つ増えているし、ボーナス、忘年会、クリスマス会、二日酔い予定の日等
遊ぶ事や楽しい事が沢山ありそうだ。
―――年末休暇、お正月休みも目の前だなあ……。来月のこの頃は正月気分だろう―――
但しKビルが予定通りに出来上がっていればの話だがネ。

足代の材料も予備分を残して返送終了した。
引き続いて今度は仮囲いを解体する。

今までは道路使用許可を受けて車道へ1mほど飛び出していたのが、スッキリとして来た。
しかし、竣工迄は不用心なので、簡単なネットフェンスで仕切りを作った。
背を伸ばせば敷地の中が見える位だが、道路の境界線より内側に一応設置した。

まだ敷地内はアプローチ(道路~正面玄関)に床石貼り工事を残しているし、交通災害に
お互い関わり合いたくない。
この簡単なフェンスで現場内作業時には安心して仕事が出来るが、強風で倒れはしないかと
一抹の不安はあるので、建物から控えを十分に取り付けておいた。

朝の6時からM店舗でも世話になったT組の45㌧大型のレッカーが、入口に座っている。
交通量の少ない時に、屋上へ《分電盤》《高架水槽タンク》を荷揚げの為だ。

レッカー車自体は敷地内に入っていて問題はないのだが、搬入トラックが半分歩道に飛び
出してしまう。
警察で一応許可は受けているものの、第三者への交通の流れを悪くすると事故の誘発原因に
もなりそうで、早朝に荷上げを行う計画としたのだ。

(わずか)40分のレッカー作業時間だけれどガードマンさんにも半日作業補償、つまり半日
分の賃金を支払っての作業だが、もったいないがやむを得ないと言う気持ちにさせられる。
このレッカーは8時には他の現場へ「お早うさん」と何気なく出勤するのだろうね。

屋上へひとまず置いてある荷物は『重量物運搬工』という専門業者で設置する。
コロに載せたり滑車で吊ったりして《物理の原則》がここにあると思える位に、理屈抜きの
方法で作業を行うのは、人間の知恵と言うものだろう。

しかし、いつもの事ではあるが、高架水槽の荷揚げや設置の度に、
(これは何とかならないものだろうか)と思う。

昔から高い所にありデッカイ『高架水槽』だけれども、最近は小型化にある程度なって来て
はいるものの、建物の外観上から奥の方へ追いやられていて、おまけにスペースも狭い。

デザイン的に丸い物やステンレスの物、塗装を施したものもあるけれど、風格のある建物に
見せる場合は塔屋を囲って「外観に現さない」場合が多いが、
しかし、このテッペンを誰が気にして見ているのだ?――と私はいつも思う。

タンク自体もいいデザインだと私には思えるが……。 
設備工もたった一個の物体の為に荷上げ方法で悩むのだ。
レッカーが設置出来ないと、本気で(ヘリコプターで持って来ようか?)と考えてしまう。

私はまだヘリコプターで搬入した経験はないけれど、現実には時間の問題となろう。

そうまでして、高所で辺ぴな所に設置する必要はどこに原因があるのだ?
設計図面通りの位置の為か、それとも建築基準法の斜線制限をのがれるためか―――。

建築とは『建て築く』という精神を忘れて、デザイン、法律に走り過ぎていませんか?
これらは創る側の勝手な言い分だと思えるでしょうが、このタンク一個の為にどれだけ日本
国内で建築業者がムダな事を行っているか迄考えるのは、私位のものだろうか。

官庁の『○○館』の建物ならいざ知らず、一般建物でも屋上にデザインを要求しますかね。
『税金のムダ、土建屋の儲け』のバランスを保っているのなら、私も黙っていよう。

民間の建物の場合、タンクを隠す壁の高さ(建物の最高部)さえ同業他社のビル建物より10㌢
でも高い、高くしろ(この市内では最高だ)と競っている企業もあるくらいだしね・・・。

―――方丈記、曰く―――  
       「たましきの都のうちに棟を並べ甍(いらか)を争へる、
                 高き卑(いや)しき人のすまひは、世々を経て尽きせぬものなれど、
          これをまことかと尋(たず)ぬれば、昔ありし家はまれなり・・・」

 

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足代解体完了・資材搬出

2024-07-08 08:02:14 | 建設現場 安全

十一月二十一日(火) 晴れ

とうとう足代解体が完了した。

6月に組み始めて5ヵ月間も使用していた訳だ。
安全パトロールの前には手をかけて自主点検をおこなっても色々と指摘事項を受けて、是正
しながらの足代も全て無くなった。

足代解体を始めたのが10月30日だったから、20日間も『解体中』を引きづっていたのだ。

 途中で防水工事(2階の屋根、3階の屋根)が終わる迄足代組立を残したり、荷上げ用の
ピアットを残したり、階段室吹き付け用にも一部残していたが、吹き付け工事が終わって
クリーニングも済んで、やっと今日で解体完了となった。

足代を解体して同一部材毎に無造作に置いてあるものの、どこを通るのだと言うくらいに、
場内は整理整頓の文言が失われている。

(11月末日迄に足代の解体完了が出来れば……)
という当初の工程表からは大幅アップになっている。

これでもし軽天工事が今月2週間現場を空けていなかったら、もっと早く決着が付いていた
けれど、これは今更言えない。

足代解体の材料も3分の2は返送済だ。
大切に使ったつもりなのに不良品として修繕費を取られたり、送った数量と受け取った数量が
食い違ったり、帳簿の記載より多く返した事となる物もあったり、無くなったモノとして処理
された物もある。

この『資材台帳』はどの現場でも最後迄書き込むと、収拾が付かなくなる事が多い。
資材を受領している期間は予定数と納入数の比較が出来るけれど、返送し始めると一向に責任
が持てないのだ。

現場ではトラックに積み込む時、運転手や人夫、F君等で返送資材を数えながら積むけれども、
果たして数が正しいのかどうか確約(責任が持てない)出来ない弱みがある。

(最終的には機材センターが数量チェックするのだから任せるしかない・・・)
と、トラックを送り出す。

 こういう現場からのトラックが、機材センターへ門限時刻の16時到着を目指して発進し、
滑り込む。
受け入れ側はどの車がどの現場の品物だったのか迷って当たり前になると思う。

そこまで読んでいるのだから、私は責任を持って数をチェックして届けているつもりだが――。

『同じ会社の資材だから、ドンブリは一緒だから』
とも思えるが、各々現場では足代のコストプラン(予算)を守っているのだから、大幅に
悪化するとマズイ。

機材センターが他の現場へ間違って受領書を送って
「片方は無くなって片方の現場は増えた」
では、本来有り得ない話だが、それが不思議とあるし、多いものだ。

 返す時に50本毎束にして送った筈なのに一束分がない(他の現場伝票へ混ざった)となると、
こちらは50本損失(消耗紛失)換算になってしまう。
それなら運賃かけて運んでも紛失となるのならばスクラップ屋から鉄くず処分代と入金した方が
「お互いに得だ」
となってしまう。
極端に言えばだけどね。

足代を解体する順番にそのままトラックに直接積み込む方法もある。
解体した材料を借り置きするスペースの無い時には、車道にトラックを停めてよく行うけれど、
これもトラック積込から発送時間までの作業時間代がかかり、コストアップになる。

しかし、解体がせっぱ詰まった工程の時では、出て来る順に荷台に載せて搬出して
有効に積もうという考え』
さえ無くなって「とにかく片付けろ」になってしまう。

突貫工事ではこういう所で一気に運搬費の赤字が生じてしまう結果になるものだ。
(4トントラックに3トン半で荷台が山盛り姿になって搬出すれば・・・)

今まで足代そのものに注意を傾けていたのに、解体して一つの部材になると散乱し、踏んで
通っても平然としたヤツもいる。
これには私は文句を言う。

手こそ合わさないにしても《毎日無事であれ》と祈っていた足代及び足代上の作業の部材なのに、
『終わってしまえば知らん顔』
では私の腹の虫はおさまらない。

整然と束になって借りた物を、束にするでもなくゴチャ混ぜで返して
「数をチェックしてヨ」
と言う神経も私には理解しかねるものだ。
(返送する時は、束にする(数量の荷札を付けて)位の心配りは必要だ)

 私だって中にはどうしようもなくて、混載車を作る場合もあるけれど、それが当然だとは決
して思っていない。
ゴメンナサイの一言を必ず添えて連絡する様にしているつもりだ。
まあ、人それぞれが材料に対しての考えもあるので、以上は『私の一人言だ』と解釈してい
いけれども、現場員としては忘れてはならない事だと肝に銘じていて欲しい。

Kビルの足代が無くなって、1階周辺もスッキリした。

場違いの感じのする《非常灯》が吊るしてある1階は、物置兼用の休憩室になっているので
外からは見えない様に、取り敢えずは窓に目の高さまでのシートを掛けておいた。

これから『外構工事』いわゆる建物周辺の仕事がある。

 たて樋の接続、花壇、電柱、電気の引込み等は足代がある時には作業出来なかった部分で、
どうしても足代解体後に行うダメ部分の仕事だ。
それに立体駐車場がある。
これを組み立てるにもスペースが必要だし、本管接続設備用の埋設管の仕事もある。

足代材料を完全に搬出してから場内整地・花壇・植樹・舗装を行う仕事もある。
足代解体して一ヶ月で外構工事完了、引渡しが普通だ。
12月20日の自分勝手な竣工目標も妥当な線と思っている。

 

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