智徳の轍 wisdom and mercy

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衰退することはないだろう

2005-03-13 | ☆【経典や聖者の言葉】
一〇 「向煩悩滅尽多学男達よ、それでは、別の七つの不衰退の法を教え示そう。聴いて、よく作意しなさい。私は説こう。」
「かしこまりました、尊師よ。」
と、彼ら向煩悩滅尽多学男達は覚者にお応え申し上げた。そこで、覚者は次のようにお説きになった。
「向煩悩滅尽多学男達よ、向煩悩滅尽多学男達が、無常の認知を修習し、非我【ひが】の認知を修習し、不浄の認知を修習し、過患【かかん】の認知を修習し、捨断【しゃだん】の認知を修習し、離愛著【りあいじゃく】の認知を修習し、滅尽の認知を修習する限りは、向煩悩滅尽多学男達よ、向煩悩滅尽多学男達には繁栄が期待され、衰退することはないだろう。
 向煩悩滅尽多学男達よ、そして、これら七つの不衰退の法が向煩悩滅尽多学男達に存続し、向煩悩滅尽多学男達がこれら七つの不衰退の法に従って暮らしている限りは、向煩悩滅尽多学男達よ、向煩悩滅尽多学男達には繁栄が期待され、衰退することはないだろう。」

【解説】
 これは、解脱における七つのプロセスである。
 まず、「無常」の認知。これは、現象を正確に把握するということである。次は「非我」の認知。これによって、この現象界の、この肉体も含めた「我」が実体ではないということを認識する。三番目は「不浄」の認知。ここで、完全に身からの出離【しゅつり】の準備を始める。次は「過患」。要するにこの現象界、この欲界に生きていることすべてが三苦であるということをしっかりと認識することによって、不浄と同時に、完全にこの現象界からの出離、三界からの出離の準備を始める。次は「捨断」。結局、過患があるわけだから、捨断しなければならないわけである。捨断することによって、自己の本性である空に到達する準備を始める。次は「離愛著」。捨断し、離愛著することによって、この形状界からも完全に離れる。そして、最後に「滅尽」。滅尽することによって、今度は空【くう】の最高点であるマハー・ニルヴァーナに到達する。つまり、これは個人的最終解脱のプロセスなのである。

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