智徳の轍 wisdom and mercy

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パターチャーラー

2005-01-18 | ☆【経典や聖者の言葉】
一 バドゥムッタラという名の勝者、一切の法における究竟者であるグルは、今から十万カルパの昔に出現なさいました。
二 そのとき、私はハンサヴァティーの長者の家に生まれ、その家は、様々な財宝が輝き、大いなる安楽がありました。
三 その大いなる勇者のもとを訪れて、説法を聴き、それから清らかな信を起こして、私は勝者に帰依いたしました。
四 そしてグルは、持律者の中の第一であり、そのように慚愧【ざんき】があり、なしたことなさなかったことにおいて、恐れることがない比丘尼を称賛なさったのです。
五 そのとき、私の心は喜び、その地位を願い求め、十力がある世界のグルを、サンガと共に招いて、
六 七日間飲食を差し上げ、また三衣を施して、おみ足に頂礼して、こう申し上げました。
七 「勇者よ、もしできるならば、私は今から八日前にあなたが称賛なさった、そのような者になりたいと思います、グルよ。」
八 そのとき、師は私におっしゃいました。
「賢く善なる者よ、恐れてはならない。未来世で、その望みは得られるだろう。
九 今から十万カルパの後に、オッカーカ族の生まれで、ゴータマという名の師が、この世に出現するだろう。
一〇 お前は彼の法の中において、法によってつくられた後継ぎの子であって、パターチャーラーという名の師の弟子の尼となるだろう。」
一一 そこで私はうれしくなって、親切な心で、生涯の勝者である世界のグルとサンガに奉仕いたしました。
一二 その善をなしたカルマと思願によって、人の身を捨てて、私は三十三天に行きました。
一三 この賢なるカルパにおいては、バラモンの末裔であって、大いなる名声がある、カッサパという名の、論者の中で最も優れた方が出現なさいました。
一四 そのとき、大聖の従者は、最高の城バーラーナシーの人間の主、カーシ王キキーという名の者でした。
一五 私は彼の三女であって、ビックニーとして知られていました。そして、最高の勝者の法を聴いて、出家を希望したのです。
一六 私達の父が許さなかったので、そのとき私達は家で二万年の間勤精進して、
一七 幼い娘としては梵行を行じ、幸福に暮らしていた七人の王女としては、仏陀へのおもてなしを楽しみ、喜んだのです。
一八 その七人とは、サマニー、サマナグッター、ビックニー、ビッカダーイカー、ダンマー、およびスダンマーと、第七はサンガダーイカーでした。
一九 それは今生では、私、ウッパラヴァンナーと、ケーマー、バッダー、キサーゴータミー、ダンマディンナーと、第七はヴィサーカーのことです。
二〇 その善をなしたカルマと思願によって、人の身を捨てて、私達は三十三天に行きました。
二一 そして今、最後の有では、私は富み栄え、多くの財産に恵まれた、優れた都、サーヴァッティーの長者の家に生まれました。
二二 年頃になったとき、私は思索にふけり、田舎の人と出会って、私は一緒に去ったのです。
二三 私は子供を一人生み、二人目は私のお腹にありました。そのとき、私は両親に会おうと決心したのです。
二四 私の夫はそれを望んでいなかったので、夫が外出したとき、最高の城サーヴァッティーに行こうとして、一人で家を出たのです。
二五 私の夫は途中で私に追い付いたのですが、そのとき、カルマから生じた激しい風が吹きました。
二六 また、私の出産のときには、大雨に襲われました。そこで、夫は木を探しに行って、毒蛇のために死んだのです。
二七 そして、孤独で哀れな産婦は鳥のすみかに行こうとして、満水の川を見て、
二八 子供を連れて一人で向こう岸に渡り、子供を置いて赤ん坊を渡らせようとして、
二九 戻ると、鷹【たか】は泣き叫ぶ赤ん坊をさらい、流れはもう一人の子供を運び去ったのです。そこで、私は憂いに襲われました。
三〇 サーヴァッティーに着くと、親戚【しんせき】の者が死に絶えたのを聞きました。そこで、憂いに苦しみ、大いなる憂いに襲われて言いました。
三一 「二人の子供は死んだ。私の夫は路上で死んだ。両親と兄弟は焼き場で焼かれた。」
三二 そして、私は一人で、青ざめてやせこけ、卑しい心で、あちこちをさまよううちに、調御丈夫にお会いしたのです。
三三 そこで、師は私におっしゃいました。
「憂えてはならない。あなた自らを求めよ。何を悲しんでいるのだ。
三四 子供達は己を守ることはなく、両親も親戚も己を守ることはなく、死神にとらわれた者を親戚は守ることはないのだ。」
三五 その牟尼のお言葉をお聞きして、預流果【よるか】に達し、出家して程なくして、阿羅漢の位を体得いたしました。
三六 私は神足と天耳界において自在となり、他心を知り、師の教えを順守する者となりました。
三七 宿命を知り、天眼は清浄となり、一切の漏を捨てて、清浄でけがれなき者となったのです。
三八 それから私は、一切見者のみもとで、一切の律と一切の広説を学び得て、如実に説法をしたのです。
三九 勝者はその徳に満足なさり、私を第一の位に置いてくださいました。持律者の中の第一は、パターチャーラーであると。
四〇 私は師に帰依し、仏陀の教えを実践し、重荷を捨て、有に導く煩悩をすべて取り除いたのです。
四一 その意義のために、私は在家から出家者となりました。生存の束縛を滅尽する、その意義を、私は体得いたしました。
四二 私の諸々の煩悩は焼き尽くされ、有はすべて断じられ、もはやこの世に転生することはないのです。
四三 実に私はよく至れる者です。我が最勝なる仏陀のみもとで、三明は体得され、仏陀の教えは実践されるのです。
四四 四無礙解と、またこれら八解脱と、六通を現証して、仏陀の教えを実践いたします。
――このように、パターチャーラー比丘尼は、これらの詩句を唱えたのである。