boban のんびり 株投資日記

備忘録です。ディトレードなどの短期勝負ではないので、日々の変化はあまりありません。

中国が人民元切り下げ、経済指標の不振受け:識者はこうみる

2015-08-11 | 2015
2015年 08月 11日 12:48 JST ロイター



[東京 11日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は11日、人民元CNY=SAECを切り下げた。経済指標の不振を背景に、人民元を約3年ぶりの安値水準に誘導した。市場関係者の見方は以下の通り。

●通貨安戦略ならアジア企業にダメージも

<ニッセイ基礎研究所 シニアエコノミスト 上野剛志氏>

人民元はこれまで、ドルと連動する形で実効ベースで上昇してきていたため、約2%の切り下げであれば、多少是正する程度の影響にとどまりそうだ。これで中国経済が持ち直すようなら、世界経済にとってもメリットの方が大きいだろう。

米国は人民元は安すぎるとの立場を変えていないが、人民元は割安過ぎるという評価だった国際通貨基金(IMF)が最近はトーンを変えてきており、中国政府にとっても切り下げしやすい環境だったのかもしれない。

もっとも、先行き、明確な通貨安戦略を打ち出してくるとすれば話は別だ。

中国は生産設備が過剰となっており、例えば鉄鋼資材は中国から溢れ出ている。人民元安で中国の輸出競争力が高まれば、こうした流れが助長され、アジアでより一層の供給過剰感が出たり、競合するアジアの企業がダメージを受けるおそれがある。

人民元安が進むようなら、中国からの海外旅行・消費にも逆風になる。日本の小売業界にはプラス材料となってきた「爆買い」の勢いに水を差しかねない。

今回は、まず第1手が示された形となる。今後、第2、第3の矢を放ってくるかどうかがポイントになる。

●リスクオフを誘発、インバウンド消費への懸念も

<松井証券 シニアマーケットアナリスト 窪田朋一郎氏>

人民元の切り下げショックにより、日経平均は下げに転じた。切り下げ幅は2%程度と小幅だが、これで終わるとは思えず、いったんリスクオフの動きが広がっている。人民元の切り下げが一段と進めば、インバウンド需要の後退が見込まれ、これまで上昇してきた関連銘柄への利食い売りが強まりかねない。現時点では読み切れないが、アジアの通貨安競争に発展する可能性も警戒される。

●人民元相場の新局面に向けた措置

<TD証券のアジア太平洋部門主席ストラテジスト、アネット・ビーチャー氏>

あまり動きのない夏相場にとりショックだった。市場は預金準備率の引き下げを予想していた。

人民銀行は最近の弱い貿易統計と人民元のプライシング構造の改善の両方を見ている。今回の決定は、オンショアとオフショアのプライシングを同水準にもっていくという新局面に向けた大胆な措置と言える。切り下げでドルは押し上げられ、アジア地域の通貨は下落した。アジア各国の中銀はこれを歓迎するだろう。

●注目はきょう終値と12日基準値

<OCBC銀行(シンガポール)のトレジャリー調査責任者、セリーナ・リン氏>

人民元の切り下げは興味深い疑問をもたらしている。つまり、通貨は引き続き、中国の金利と流動性の状況に対する市場の調整の影響をまともに受けていくのか。また、変動幅は広がっていくのか。

注目すべきはきょうの終値と12日の基準値の設定だ。これらの水準が市場の動きに左右されるのか、再び「管理される」かどうかが焦点となる。他のアジア通貨や新興市場通貨への影響は、人民元の今後の動きを市場関係者がどう解釈するかによって決まるだろう。

●遅きに失した感あり

<ウェストパック(シドニー)のシニア為替ストラテジスト、ショーン・キャロウ氏>

歓迎する。むしろ、市場主導の為替相場への移行という点では遅きに失した感がある。特別引き出し権(SDR)を意識した人民元相場安定の終了を意味するが、7月の貿易統計が無視できないほど弱かったということだろう。

米利上げを意識した局面を控え、アジア通貨も対ドルでの取引レンジが拡大する見通しだ。台湾ドルやマレーシアリンギなどは圧迫されるだろうが、ドル/円のような自由な変動相場は影響が少ないだろう。