2014/12/11 21:08 (2014/12/12 0:14更新) 日経新聞
【モスクワ=田中孝幸】ロシア中央銀行は11日、主要政策金利を1%上げ10.5%にすることを決めた。12日から適用する。中銀はルーブル安をくい止めるために10月末に政策金利の1.5%引き上げを決めたばかり。ルーブルが下げ止まらないことから追加利上げに踏み切った。ただ、市場への効果は限定的で、11日の外為市場ではルーブルが一時、対ドルで過去最安値を更新した。
ロシアの主要輸出品である原油価格の下落やウクライナ危機を巡る欧米の経済制裁により、ロシア経済は苦境に陥っており、ルーブルの急落に歯止めがかかっていない。通貨安を背景に輸入品や食料品などの価格が上昇しており、連邦統計局によると11月のインフレ率は前年同月比で9.1%に達していた。
中銀は「今後もインフレリスクが高まる場合、金利の引き上げを続ける」と表明。物価上昇率を目標水準である4%に抑えるまで中長期的に金融の引き締めを続ける考えを示した。
中銀は大規模なルーブル買い介入も続けているが、原油安を受けたルーブル売り圧力が強く、効果は上がっていない。ロシアの主要株価指数であるRTSは11日、利上げ発表を受けて一時、前日比約4.4%安の817.42に落ち込んだ。
利上げが景気をさらに冷え込ませる懸念も強まっている。世界銀行は9日、来年のロシアの経済成長率予測を2日時点の0%からマイナス0.7%に下方修正した。