パンセ(みたいなものを目指して)

好きなものはモーツァルト、ブルックナーとポール・マッカートニー、ヘッセ、サッカー。あとは面倒くさいことを考えること

受け継がれた優しさ

2024年02月04日 09時03分18秒 | 妹のこと

親が子どもの将来とか夢を託してつけた(現世の)名前に対し
戒名はその人の一生を表す言葉が使われる
と先日のお葬式で和尚さんの説明があった

妹の戒名は忘れることのない「優情純深大姉」
この文字から連想される、まさにそう言う人だった
優しくて、情が深くて、純粋で、しっかり者で、、

妹の優しさは二人の息子に受け継がれた
お葬式の日、老齢の母は棺に花を入れる時
椅子から立ち上がることができないほどショックを受けていた
そこでみんなで、手を添えて連れて行って最後の別れをした

そんなことがあって、一通りの式が終わった夕方
妹と同居していた甥から「そっちに行って良い?」と電話があった
すぐに甥は母(彼にとっては祖母)を気遣って来るのだろうと想像した
彼は家に着くなり母に寄り添って声をかけていた

そうして少し会話をした数分後
「弟の家族(奥さんと双子の6年生と子どもと3年の息子)も来て良い?」
と聞いてきた
彼の弟も母(彼らにとって祖母)を気遣って来ようとしているのだろう

お葬式で火葬している間、無邪気な子どもたちはその行動で笑いを取って
落ち込みがちな空気からみんなを救った
その一瞬でも悲しみを忘れさせたことを思い出し、もう一度沈みがちな母に
元気を出してもらおうと考えたのだろう

彼らは少ししてやって来た
そこからの時間は、無邪気な子どものマイペースな我儘が笑いを取って
数時間前の鎮痛な気持ちは忘れることができた

翌日の朝、二人にお礼のメールを入れた
「おはようございます。昨日はおばあちゃんを気遣って来てくれてありがとうね。
また思い出して悲しむことはあると思うけど、あの一瞬は忘れられたと思います。
すみ子さんは優しい息子を育てたと思います。戒名の「優情純深大姉」はピッタリでした。
いろいろありがとう。」

二人から返信があった
3人の子どもを持つ甥からは
「おはようございます。
 あんな事しか出来ず、すみません。
 ありがとうございました。」

地元に住む甥からは
「こちらこそ何度もお見舞いに来てくれてありがとう。
 お母さんからおばあちゃんの事は頼まれてるので、また時々顔を出させてね。
 こちらも手伝う事があれば手伝うので何でも相談してね。」

ふたりともやはり気遣って来てくれたのだ
そして彼らは妹が望んだように優しい人間になっていた

妹と同居していた甥は妹の行動を見ていた
ある時、家の近くで知らないおばあさんはうずくまって(?)だったか
どうだか忘れたが、兎に角困った状態にあった
それを見た妹はすぐにおばあさんに寄り添って手助けをした
そのシーンを覚えていた甥は母を尊敬すべき人物と思い、
祖母に向かって「ホスピスで会ったら、お母さんを褒めてあげてね!」
と言った

妹は行動で二人の息子を優しい人間に育てた

今朝も寝ていても自然と涙が滲んだ
涙は自分を悲しみから救うための生理作用かもしれないが
故人に対する感謝の念の表現かもしれないと思う

やがて時の魔法で癒やされることになるが
今は、妹の思い出に浸ろう



コメント
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